MN*B
2024-06-19 01:19:13
14303文字
Public 二次創作単発:pixivバックアップ
 

五条悟の口調は初恋の人譲り

「あなたと無限の時を過ごしたい」  

注意
五条悟の幼少期・家・口調の模造、失恋気味
ネームレス夢主、オリジナル術式有、夢主視点なし
恋愛要素薄目
原作未読の書き手

時間軸謎空間です。五条先生と一年生三人が話してる感じの。
夢主は、五条先生の2歳上くらいを想定して書いてます。  

内容的には、ギャグ(第三者目線)→シリアス(五条悟目線)→ギャグ(第三者目線)な感じで書いてます。
コンセプトは、キャプション一行目です。
ガバガバ理論と模造のオンパレードです。

 
勢いで書きました。もったいないので勢いで上げます。
設定が原作と違うって部分は、まぁこの小説だとそういう設定ってことでゴリ押しスミマセン。
ネタ被りあったらすみません。廻戦二次の恋愛物読んでないんで、被ってるかもわかんないです。

恋愛シーンを頭打ちつけながら書くタイプですので、糖度低めになります。
夢主がどう思っているかは、ご自由にどうぞ…。

とりあえずこの二人は対話した方がいいと思う。

 
なんでまた夢小説書いてんのか、本人にもわかんないです。
しかも五条先生視点ばっか書いてるし…現状、一番書きやすいキャラじゃあります。



#五条悟 #夢術廻戦 #夢小説
2021年1月26日 17:54


五条悟 18歳の冬


 結局、彼女とは滅多に会えないまま、電話でのやり取りが続いていた。

その間、俺にも様々なことがあった。
そんな中でも、やっぱり彼女は変わらないままだった。
人の事情を知ってか知らずか、わからないがその空気の読まなさ加減は健在で、それに救われた部分もあった。

それが崩れたのは、俺が18の誕生日を迎えた冬のことだった。


彼女は俺のことを気にしているのかいないのか、誕生日付近ではいつも連絡してくる。
おめでとうとも言わないし、誕生日に関することも話さない。
もしかしたら電話してくる時期が近いだけで、俺の誕生日なんて知らないのかもしれなかった。
昔からそんな感じで、冬のときの方が会う回数が多かったような気もする。

そんな彼女から、連絡がないまま2か月が経とうとしていた。
誕生日前くらいに、一度連絡を取ったきりで、それ以来音沙汰がなかった。

彼女からの連絡がないだけなら、別に気にしなかった。
でも、こちらから連絡しても、一度も応答がなかった。
彼女はかかってきた時に電話がとれなくても、その都度、一応折り返してくるはずだった。
それが1週間後なんてこともあったがここまで長かったことはない。


そういえば、自分たちは呪術師なのだと、思い知らされた気分になった。
そして彼女は、その能力が下がるばかりだったことを思い出した。


電話をかけるコール音、留守番電話、切る。
かける、待つ、切る。かける、待つ、切る。
それを繰り返す。

彼女は出ない。
何十回かけただろうか。
特定の人物の安否確認は、どこに連絡すれば教えてもらえるんだっけ
そう、動かない頭で考えた。

ぼんやりとしていると、不意に電話が鳴った。

彼女の番号からだった。
一気に覚醒し、通話ボタンを押した。

「なんッで出ないんだよ!!」

相手からの言葉も聞かないまま、そう怒鳴った。

「あーごめんごめん。ていうか、鬼電し過ぎだよ。ウケるね

向こうからは彼女の声が返ってきて、安堵と同時に違和感があった。
いつものふざけたような感じはなく、覇気のない声だった。
彼女は、そんな声で言う。

「ボクね、呪術師やめるよ」

は、なんで」

思わず、理由を問いかけた。
昔の彼女とは、何かが変わってしまったような気がした。





 数日後。
俺は彼女の生家へやってきていた。

彼女はあの後、「今外に出れないから会いに来てよ」と、この場所へ来るよう話した。
思い返せば、彼女の家のことも、まともに聞いたことがなかった。
彼女とは色んなことを話しているようで、お互い自身のことは深く話していなかった。


玄関口で会った彼女は、目の前で五体満足に立っていた。
そして、黒いワンピースを着ている喪服かと思うような、そんな黒い服。

「やぁ。久しぶりだね。元気だったかい」

いつもの飄々とした態度はなく、言っている内容だけがいつも通りで。
雰囲気も違っていて、まるで知らない人物のようだと思った。

おいで、と誘われるまま、彼女の後をついていく。


たどり着いたのは、おそらく彼女の部屋。
人が暮らすというより、アトリエのような場所だった。

部屋の中央には、灰色をしたキャンバスの置かれたイーゼルと、その前に椅子が一脚。
落ちきれない絵の具が、その周辺にこびりついている。
近くに置いてあるゴミ箱には、折れて絵の具がついたまま捨てられた筆が、何本も入っている。


「ボクの術式は知ってるよね」

彼女は俺の方をみて、そう尋ねてくる。


 彼女の術式は『色』だ。
彼女の認識によって、色を操る術式。
それは、彼女本人の感覚によって操作できる範囲が変わってくる。

彼女の術式は、歳を重ねれば重ねるほど弱くなる。
その一番の要因は、眼球の劣化だ。

幼いころの方が、見えていた景色が鮮やかだったという記憶はないだろうか。
それは年齢を重ねた結果、受け取り方が変わったということもあるが、同時に目も劣化しているからだという。
紫外線などのダメージや年齢によっては老化により、見える色の範囲が変わってくるのだ。
そんな彼女の強さのピークは、俺と出会った頃くらいだった。

そして。
子どもとしての世界の感じ取り方と、大人になってからの感じ取り方は変化する。
彼女が世界に魅力を感じなければ、さらに『世界は色褪せていく』。

彼女自身の感覚が、その強さに比例する術式だった。

俺の呪力や術式を防ぐことが出来ていたのは、俺の術式には元々色という概念がなかったから。
無下限無限というものに、彼女は色を見出さなかった。
色がないものは、彼女の世界には存在しない。幼いころの彼女の認識はそうだった。
存在しないものの影響を、彼女が受けることはない。
まさに相性によって、その防御は保たれていたものだった。
それも、俺が術式を発展、強化したことにより、破ってしまったのだが


そこまでを思い返して、俺は素直になれないまま、憎まれ口を叩く。

何。術式が弱くなり過ぎたから、やめるっていうの?」

呪術師は死と隣り合わせだ。
言葉とは裏腹に、弱くなるばかりなら、いっそやめてくれた方がいいそう思ってしまう。

彼女は首を振った。

「術式が、暴走してるんだ」

無理矢理、術式を強化してきたツケが回ってきたんだよ。と彼女は語った。


 世界に色を感じれば、彼女の術式も強くなる。
明るく、鮮やかに世界を感じるには一番は世界を楽しむこと。
そのための、『青春』の謳歌だ。

そして、世界を物理的に明るく見える方法として彼女が選んだのは、『恋』。
人は、好きな物や人を見ると、瞳孔が開く。
好きな人といると世界が鮮やかで光り輝いている、なんて文句を聞いたことがある人は多いはずだ。
彼女はそれを利用して、弱まっていくばかりの術式を補強した。


「もちろん、本当に好きだった。好きだったよ

俺の好きな人は、そう誰かへの愛を語っていた。
それを聞くだけしかできない俺は、ただ彼女を見つめていた。

「でもこの間の任務で、死んじゃった」

きっと連絡が途切れていた間の話。
俺に連絡もできないほど、彼女は憔悴していたのだ。
どれだけの想いを、その相手に抱えていたのか。
俺は、考えたくもなかった

そして彼女の言っていた、術式の暴走。
彼女の感覚が、術式に影響する。
愛した人を失えば、その世界の色はどうなるのだろうか。  


「”私”の視界は今、色がない」

彼女はいつも俺と話していた言葉遣いをやめていた。
いやずっと前から実は、一人称だって変わっていたんだろう。
幼いころと違い、大人になった彼女は、口調だってそれに合わせてきたはずだ。
俺も前に、一人称や言葉遣いを指摘されたように。
俺の前でだけ、昔と同じ口調で話し続けてくれていただけなのだ。

彼女だけは変わらないと思いたかった、俺のために。


「昔から、術式の把握のためにも、絵を描き続けてきた」

そう言う彼女は、キャンバスの方を見た。
深い灰色で塗られたキャンバスは、絵ではなく、ただ色が乗せられているだけ。ぱっと見ではそうだった。
そこには、塗り重なりすぎて、色と描かれたものが乱雑に混ざり合い、濁りきった何かがあった。

「そして今では、絵の具の判別すら覚束ない。どこに、どの色をのせているのかもわからない」

色がないって、どんな感じ」

「明暗しかない。世界が灰色に見えるなんて言葉は、生ぬるいとわかった」

世界のコントラストが強すぎて、灰色もないんだ。と、彼女は語る。

彼女が外に出れない理由は、きっとそこにあった。
俺はかけていたサングラスを外して、彼女の目を見た。
彼女はいつもなら、真っ直ぐと俺のことを見つめ返してくるはずだった。
その視線は揺らめくばかりで、まるで

光と影しかない世界で、他人は俺のことは、どう見えているのだろうか。
俺がどう考えているのかわかっているかのように、彼女は言った。

「今の私の視界だと、君の顔はほとんど見えない」

君の色調は明るいからと、残酷にも聞こえる言葉だった。


俺だって、好きでこんな色に産まれたんじゃない。
そう思うことは今まで多々あった。
今は特に、そう思わざるを得なかった。


そんな思いを食いしばって耐えて、彼女へ聞く。

呪術師やめて、どうすんの」

彼女は、目を伏せて言った。

「術式が劣化した失敗作は死ね。そう言われてる」

そうだ彼女も遠縁とは言え、五条に関係のある家だ。
呪術を代々受け継いできた家に、期待なんてするものじゃなかった。

「何も残すな、と言われた。私が描いてきた絵も、死ねば燃やされる」

彼女はすべてを諦めたように話した。
俺は、信じたくなかった。

「俺を呼んだのは、死ぬのを伝えるためでそれで、絵でも形見分けしてくれるっていうのかよ」

言葉が荒くなる。
彼女は、それも気にしないで、ただ淡々と言う。

「そう、君には直接会っておきたかった。わざわざ来てもらったのは、私のことを少しでも憶えていてくれたらいいと思ってしまったわがままだ」

「何も残すなと言われた以上、君にだって絵は持ち出させるわけにはいかない。だけど、ただ知ってもらいたかったんだ」

「なんだよ、それ死ななきゃいいじゃん。家なんて無視して逃げ出せばいいだろ!」

思わず彼女の腕を掴んだ。
その腕は、酷く冷たかった。

「術式が暴走してるせいで、体力も消耗してる。もう長くは持たない

彼女は、俺が今まで見たことない顔で笑った。  

「ありがとう、悟」

悲しくて、苦しくて、綺麗だった。




 領域展開 無量空処




彼女は目を見開いた。

無下限の内側、知覚や伝達を無限回強制させる空間。
何もかもが見え、感じる世界。

術式のせいで認識が阻害されているのなら、それを上回る量の情報を。
もう死んでしまうと言うのなら、無限の感覚を。


きっと、この世界でなら、彼女は”僕”を見ることができているはず。

そう信じて、彼女の頬を両手で包んだ。

彼女を真正面から、見つめる。

彼女の瞳に、僕の姿が映っている。


「君と、無限の時を過ごしたい」


そう願いをこめて、キスをした。