無窓居室
2024-04-15 03:25:05
3594文字
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お花見短文

春の短いお話四つ。同じ家に帰ったり一緒にお風呂入ったりしてるので多分付き合ってる😈👹
相変わらずフィーリングしかありません。


チェリーマッピング


 開ききった桜に春の嵐が続いて、枝々はその多くが花を落としてしまっていた。風雨の止んだ朝に街路樹の一本の根本から、寂しくなった枝を見上げてアカネは肩を丸める。

「ずいぶん散っちゃったな……仕方ないことだけどさ」
「名残惜しさも美しさの秘訣かもですね」

 ブラックが、このときばかりは天邪鬼をやめて慰めるように言った。それに頷きはしたもののやはり落胆を隠せない様子のアカネに、ブラックは静かに歩み寄る。そして断りもなく腰と背に腕を回すと、次の瞬間には二人の体は十階建てのビル程の高度に飛び上がっていた。

「ちょっ……ブラック!?」

 高所よりも突然のスキンシップに驚いたらしいアカネに抗議する間を与えず、ブラックは眼下を指差した。落ちた桜の花びらが地面に広がり、淡いピンクのカーペットのようになっている。

「わぁ

 アカネの声から鋭さが消え、目は喜びに丸くなる。そのままブラックは街の上を滑空し、桜の木が多く植わる公園の上空で静止した。悪魔の翼は羽ばたきもせずその宙空に二人を留めることができる。

「ここからなら、もうしばらくお花見が楽しめそうですよ」

 花風に吹かれ春霖に流された花びらは、公園の池へ辿り着いて水面に柔らかな色彩の地図を描いていた。
 夢見心地から我に返り、そろそろ離せと暴れ出すまで、アカネはブラックに横抱きにされたままで春色の世界図に見惚れていた。


  2024/04/15