【あしゅやよ】恐れ知らず幼女

王子様のキスでお姫様は目覚める(要約)なお話とおね(ロリ)が抱くクッションポジになりたいショタのお話二本立て。あしゅやよ編。螢詠要素含む。








静かな寝息を立て寝入っている夜宵を黒目と白目が反転した目に焼き付け、幾ばくかの意識を自販機の前で談笑に耽っている二人に割きつつ、黒阿修羅は薄っすら開いている柔い夜宵の唇に己が唇を躊躇せず重ねた。
弛緩している夜宵の幼い体を抱き寄せ抱き締めるやせ細った黒阿修羅の腕。夜宵がどす黒い血に汚れるのも構わず大事に大切に搔き抱く黒阿修羅の足元から生え続ける無数の手たちが彼女に向かって伸ばされる。
丸みのある頬を包む手、細い首筋を指でなぞる手、特徴的な髪をふわふわ撫でつける手、だらりと伸びている夜宵の手に指を絡ませる手、他にも彼女の体を余すところ無く覆い隠す無数の幽微な手たち。
規則正しかった夜宵の息遣いが不規則になるにつれ淡い艶やかさを纏い、血生臭い黒阿修羅の舌が口腔内を所狭しと蹂躙しては無抵抗な夜宵の舌を絡めとり引き合いに出した。

──ちゅくちゅっ……

混ざり合った唾液が口端から、たらり零れる夜宵の口から絶えず漏れるくぐもった声。
粘着質で卑猥な音が暗い車内をたっぷり盈した頃には、夜宵の意識は黒阿修羅によって引き上げられた。熱に浮かされぼんやり揺らめいている重瞳に頗る嬉しそうな三日月がみっつ映り込んでいた。
酸素が足りない上に寝起きの頭で現状を上手く飲み込めないものの、夜宵は自分に覆い被さり抱き着いている黒阿修羅の下からの脱出を試みた。試みたが、黒阿修羅自身の腕をはじめ幽微な手たちが苦しくならない程度の何処か心地よい力で夜宵の動きを封じ込んでしまっていた。
「もっとしよ。ね?」
夜宵の死角から伸ばされている幽微の手の一本がまだ二人の帰りが遅いのを告げ、眼下にいる血色のよい頬を更に赤らめさせている夜宵を反転した目で捉える。
すると、夜宵の重瞳が何かを訴えかけているので黒阿修羅は目を細めその真意を見極め──、静かに彼女の手に絡めていた蔦を解いた。
突き飛ばすとは真逆の、招き伸ばす夜宵の両手が黒阿修羅を抱きしめ夜宵自ら血に染まった黒阿修羅の唇に湿り気を帯びた唇を寄せる。同じ年齢の子らよりも小さな夜宵の手が骨ばった黒阿修羅の背中を撫で擦っては抱き寄せ、鉄の味がしみ込んでいる黒阿修羅の舌に自ら舌を押し付け深く絡ませ合った。
「たりない」
息継ぎの合間に放たれる無垢な我儘 おねだり。僅かに息するのも許さない黒阿修羅が夜宵の呼吸を喰らう。深い深い口付けが夜宵の頭の中の霧を濃くしては、彼女の意識の飲み込み溺れさせ塗り潰していく。
聞こえ香る潮騒が悉くねっとりとした赤黒い血に埋め尽くされ、抱き寄せ抱き締めていた手は薄汚れた服にしがみ付き離れない。
貪欲に求める黒阿修羅を拒まず応える夜宵は、傍から見れば健気の他なく二人が帰って来るまで途切れる事無くいたいけな愛を謳い落ちていった。