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豆炭々炬燵
6340文字
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アンデッドアンラック
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【フィル風】無警戒の信用
王子様のキスでお姫様は目覚める(要約)なお話とおねが抱くクッションポジになりたいショタのお話二本立て。フィル風編。
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〘否定能力は敢えて緩くしておきました〙
〘その方が面白いので〙
揺すっても起きる気配が無いフィルの目線が空にいる天使が横切るのを追い掛け、再び気持ちよさそうに寝入っている風子の顔、そして重ねられた手に注がれる。
器用に重ねられただけの輪を解き、その内側に小柄な身体を収め腰を下ろした。向かい合うかたちで風子の膝の上に跨り、うんと狭まった距離に新緑色の大きな目に星が舞う。フィルの≪託す者≫である球体関節の身体が風子の生身の身体に凭れ掛る。
細い腕が長い黒髪のカーテンを揺らし首に巻かれ、幼げで整った顔が眠り続けている顔に近付き──、唇と唇が重なり合った。
定番中の定番。寝ているお姫様を起こす王子様はお姫様の唇にキスをする。
触れ合うだけのキスは可愛らしいリップ音と共に終わり、若干の名残惜しさがあるも離れたフィルは寝ているお姫様が目覚めるのを待った。
でも、いくら待てど風子は潤いふっくらとした唇から静かな寝息を零すだけで起きてはくれなかった。
此処でフィルは”自分のキスで起きないのは自分が彼女にとっての王子様ではない”という考えよりも、”まだ起きないのであれば起きるまでキスをすればいい”、という考えのもとキスするのを続行した。
柔らかで甘い風子の唇を塞ぎ、薄ら開いている隙間から小さな舌を口腔内に忍ばせる。歯列をなぞり上顎を擦り頬裏を撫で寝入っている風子の舌を絡めとった。
二人の重なり合った場所から産まれる控えめな水音。卑猥さのない何処か愛らしさすら感じる粘膜を弄る音色に混じるくぐもった声。
無意識に息苦しさから脱しようとする風子にフィルが重ね合わせていた唇を離した。離れた事で双方の間に伸びる透明の糸がぷつり切れる頃、ぼんやりとした意識の中で風子は自身に起きた出来事をフィルが口端から零れていた涎をちうっと吸った事で理解する。
そして、上手く働かない混乱を極めた頭でよく分からない事を口にしてしまった。
「えっと
…
。こういうのは人の目が届く場所でやっちゃ駄目だよ?」
風子自身我ながら何を言っているのか度し難い言葉。
だが、フィルは何か思うところがあったらしく虚空を見遣ったあと小さく頷いた。やにわに風子の膝から下りテーブルの上に広がっていた書類を手早くまとめ風子に持たせたかと思いきや、その彼女ごとお姫様抱っこをするのだった。
「え? あ、あれ?」
風子を抱えて浮遊移動し始めるフィルに彼女は小さく「ティーカップ
…
」と呟いたので器用にそれも書類の上に乗せ移動を再開する。さながら無重力状態のような感覚を場違いに感心している間に如何やら目的地に辿り着いたようだった。
とても見慣れたどでかい組織のエンブレムの意匠が施された扉は紛れもなく風子の自室であり──。
「たしかに人の目が届かないプライバシーが尊重される場所だけどっ!!」
鋭いツッコミを風子が入れた。
だが、気にせずフィルはロックされていた扉を開け部屋に入るなり厳重にロックをし直した。
丁重に風子をベッドに腰掛けさせ、彼女が持っていた書類とティーカップをするり奪いナイトテーブルに置く。フィルが振り返るのに合わせ風子の喉奥から小さく息を飲む音が産まれ、やがてそれは違う声色に塗り替えられた。
映画やうっかり他の人達の逢瀬に遭遇した時にしか聞いた事のない声と音が風子の頭蓋奥に響き渡るだけではなく、記憶にぬっとりべったり張り付いたお陰で風子はそこそこの期間ゼリー系が食べられなくなったという。
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