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豆炭々炬燵
6340文字
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アンデッドアンラック
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【フィル風】無警戒の信用
王子様のキスでお姫様は目覚める(要約)なお話とおねが抱くクッションポジになりたいショタのお話二本立て。フィル風編。
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代わりならいつだってするよ
風子お姉さんと一緒に映画鑑賞する時間はとても楽しい。
ボクは感情を表に出せない。でも、隣で見ている風子お姉さんは泣いて笑って驚いてハラハラしてとても楽しそう。
興奮して映画を食い入るように見るお姉さんの腕の中、ぎゅうっと抱き締めているクッションをチラって見た。丁度おさまりが良いみたい。いつも映画を見る時は膝上にクッションを置いて抱き締めている。
それが何だか羨ましくて、クッションを抱き締めている力が緩まるタイミングで風子お姉さんの腕の中からクッションを引き抜き代わりにボクがそこに収まった。
映画に夢中ではじめ風子お姉さんは気付いていなかったけど、大きな音でビックリした瞬間にぎゅうっとボクを抱き締めてクッションじゃないのに気が付いた。
「え? あっ! フィルくんごめんね、痛くなかった?」
クッションじゃなくなった事を怒らないどころか抱き締めた力が痛くなかったか心配してくれる。
それをボクは空中に表示させたディスプレイに「大丈夫」と文章を打ち込んだ。ホッと胸をなでおろした風子お姉さんは、映画を見終わるまでボクの事を抱っこし続けてくれた。
お母さんやショーンお兄さんとは違う風子お姉さんの膝の上。シートベルトみたいにボクの腰の前で指を組んでいる風子お姉さんの手にボクの手を重ねる。大きさの違う手。宇宙ステーションで”奴ら”の弱点を教えるため負傷したボクを抱き寄せ守ってくれた優しくて頼もしいホッとする手。
「(
……
もっと抱っこしていてほしい)」
下から見上げるように少しだけ首を後ろに倒した。流れている映画のクライマックスが近付くにつれ怒涛の展開を食い入るように見る風子お姉さんの真剣な眼差し。息を飲み映画に没入しているのを邪魔してはいけない。
見上げていた顔を前に戻して次に何が起こるのか展開を知っている映画を視界に映す。
多くを求めてはいけない、そう思っていてもボクは流れている映画が終わらないで続けばいいのにと非現実的な思考を抱いてしまう。
そうこうしているうちに映画のエンドロールが流れ終わり風子お姉さんの体から力が抜けていった。感嘆の溜息を吐いて「すっごく面白かった」と短い感想に込められる満ち足りた想いにボクの手が勝手に風子お姉さんの手をきゅっと握りしめる。
組んでいた指が解けていきボクの手をそっと包んでくれる風子お姉さんが砂糖菓子みたいな笑顔で微笑んだ。
「息するのも忘れるくらい見入っちゃった。今日は映画見るのに誘ってくれてありがとう」
自然な動きでボクを膝の上から下ろして頭を優しく撫でてくれた風子お姉さんを見送る。玄関ドアを開けて振り返る風子お姉さんに「さっきの映画、続編あるよ」の意味合いを込め部屋から持ち出したパッケージを見せれば、腰を屈め目線を合わせてくれた風子お姉さんが楽しそうに語尾を弾ませ言ってくれた。
「また見に来るね」
金斗雲に乗り小さくなっていく風子お姉さんの背中をお母さんと一緒に手を振って見送った。目の前に見える空にはもう風子お姉さんの背中も金斗雲も見えない。だけど、一度だけ振り返り空を見上げてからボクは玄関ドアを静かに閉めた。
数日後。約束通り風子お姉さんが映画の続編を見に来てくれた。風子お姉さんから滲み出る楽しみで仕方ない雰囲気。お母さんに挨拶をし終えた風子お姉さんの手を取って部屋に案内する。
先にソファに腰掛けてもらい、映画のディスクをプレイヤーに食べさせボクもソファに座るべく踵を返した。そんなに大きくないけど小さくもないソファ。風子お姉さんの隣に座ろうとしたら、お姉さんが自分の膝をポンっと叩いた。
ボクが座る予定だった場所の反対側。風子お姉さんを挟んだ向こう側にはいつもお姉さんの膝の上を独占していたクッションが行儀よく座っている。
まだ空いている風子お姉さんの揃えられた膝の上。静かに風子お姉さんに背中を預けるかたちで膝の上に座ったらお姉さんの手のシートベルトがボクの前にされた。
組まれた指の上にそっと手を添え見上げた先、ボクの好きな風子お姉さんの喜んだ顔がそこにあった。
「今日の映画も楽しみ!」
『今日の映画も面白いよ』
心の中で言ったボクの言葉。聞こえないのを思い出して急いでディスプレイに表示する前に風子お姉さんが「期待しちゃう」と答えたあと、流れ始めた映画のオープニングに視線と意識が引き寄せられていった。
前作以上に手に汗握る展開の数々。その熱の入りように風子お姉さんはボクではなくクッションを抱えている感覚でボクの頭の上に顎を乗せてしまい、数テンポ遅れて映画の登場人物が叫ぶシーンに重なるように風子お姉さんも叫んで≪不運≫が発動する前にボクを急ぎ抱きかかえニコおじさんに連絡を取っていた。
そんな事があってからボクをクッション代わりに抱っこするのをやんわり断っていた風子お姉さんだったけど、ボクがパンパンダの着ぐるみパジャマを着るのを条件にボクは風子お姉さんの膝の上を勝ち取った。
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