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enoki181
2023-12-02 21:52:57
18283文字
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【七不思議レポート】宿口友子と西田雪乃の場合【プレイログ】
ソロジャーナル「七不思議レポート」
https://talto.cc/projects/IiQj64HiYYIwQrR8drTPy
1
2
3
4
前日譚
人の噂に戸は立てられないものである。彼女に声をかけられるまで、私はそのことをすっかり忘れていたのだ。
「先輩、七不思議を体験したことがあるって本当ですか?」
知らない後輩に呼ばれ、人気の無い廊下に連れていかれたと思ったらこれだ。告白かなぁ、と呑気に構えていた少し前の自分が恨めしい。そもそも女同士で告白など、ホイホイ起きると思うんじゃない。自分め。
さて、私は誰に「七不思議に遭遇したんだよ」なんて喋ったのだっけ。こんな私のくせに何故か友人が多いので、候補はたくさんいるのだ。不思議な体験をした、誰でもいいから聞いて欲しい、と騒ぎ立てる自分の姿はすぐに思い浮かぶ。
「教えてください。私、この学園の七不思議を解明しようと思ってるんです」
知らない後輩が目の前で懇願する。解明って何さ、何をもって解明とするのさ。この学園には七不思議の噂がたくさんあるくせに、どれもこれも曖昧で正確性に欠ける。だから、まあ、そういう人間が出ることに疑問はないけれど。
「なんで?」
こんなおっとりしてホラーと縁がなさそうな女の子が言い出すようには思えなかった。誰かに脅されていたりする?
「自由研究ですかねぇ。夏休みも近いので」
うーん、アホの子かな。どこにそんな自由研究に評価をつける教師がいるんだろう。
「断ってもいいですよぉ。他の人に聞いて乗り込んでくので」
「まって、乗り込むって何?」
「実際にこの目で見るに決まってるじゃないですかぁ。解明ですよ? 机上の空論より
……
実際の実験? そういうのが大事ですから」
ふんわりと笑う彼女の緩さに脱力する。アホの子ならほんとに乗り込んでいくんだろうなぁ。そういう行動力はあるっていうのがお決まりだもんな。
見知らぬ後輩
――
西田雪乃との出会いが人生を変えるなんて思いもしなかった。
まさか、一人の人間の生を閉ざしてしまうことになるなんて。
1日目/1つ目の七不思議
1d10 (1D10) > 1
『★ライターが以前自分が遭遇した七不思議の話をする。霊障値+2』
霊障値:0→2
★:0→1
場所:家庭科室、調理室、技術室
「まあ、話をしてあげるから、実体験にするなんてやめなよ。おすすめしないから」
この馬鹿げた計画を止めさせるには、私が経験したとびきり怖い話をしてやろう。そんな思惑も知らず、雪乃は「やった」と無邪気に顔を綻ばせる。笑ってろ、余裕ぶってられるのも今だけだから。
「去年だったかなぁ。裁縫の授業があって」
「はい、ちょっといいですか」
中断を求められたけど、もう怖いポイントあったっけ。
「何を作ったかはネタバレなので絶対言わないでくださいね。人生のネタバレ過激派なので」
歴史の授業全部が大河ドラマの登場人物の人生ネタバレだが? んなこと言っても仕方はないので、はあ、と気のない返事でお茶を濁す。今後一生アホのレッテルが剥がれると思うなよ。
「
……
家庭科室でミシンを使ったんだけど、そこに忘れ物をしちゃったんだよね。部活終わりに気付いたから暗かったんだけど、できれば今日中に欲しいやつで。先生は帰っちゃったかもって思いながら家庭科準備室をノックしたけど、やっぱり返事は無くて。ワンチャンを願って家庭科室の扉を開けようとしたけど、鍵がかかってたよね」
「家庭科の先生って帰るの早いですよね。クラスの先生じゃない人っていつの間にかいないし」
「でさ、扉のとこに窓あって、中見えるでしょ。誰もいないのかあって、何気なく覗いたのね。
……
そしたらさ、いたんだよ」
「いないんじゃなかったんですか?」
「いないのにいたんだよ。厳密にはね、人影だけが部屋に落ちていたんだ。扉が開かなくて心底よかったと思った。アレに直接出会っていたらどうなっていたか」
「へぇ」
「ちょっと、反応が薄くないかな。人に説明させておいて」
調子にのってもったいぶった話し方をしたけどさぁ。そんな興味ないような
……
と思ったら、雪乃は手帳にメモをしていた。
「思ったよりちゃんと聞いてる」
「言ったでしょ、自由研究だって。模造紙に書いて発表するんですよ」
「ほんとに小学生の自由研究みたいだな。どこに発表すんの」
「さあ~?」
私の呆れ声をものともせず、ぽけらんとしている。そんな雪乃の返答に、溜め息を吐くしかなかった。
2日目/2つ目の七不思議
1d10+0+2 (1D10+0+2) > 8[8]+0+2 > 10
『★七不思議確認! しかし説明がつく現象だった
……
はず
……
調査値+1、霊障値+1』
調査値:0→1
霊障値:2→3
★:1→2
場所:トイレ、手洗い場
「トイレについてきてください」
放課後、先輩のクラスまで来て呼び出した理由が連れションとは。肝の据わった後輩である。
……
なわけあるかい。
「やだなあ」
素直な所が友達の多い秘訣だと思っているのでそのまま言った。知らんけど。その多くのお友達から「後輩が呼んでるんだから行ってあげなよ~」と快く送り出された。売られた気分。この女に関わるとろくなことにはならないんだって。
「花子さんって定番ですよねぇ」
ほらぁ
……
。
不穏なことを言いながら。この時間には人気のない校舎のトイレまで連れてこられた。それも男子の方に入って行く。
「七不思議は全部確認しないと気が済まないもので。すみません、こんな所で」
「確かに定番だけどさあ
……
」
そう答えると、先輩は嬉しそうに微笑む。
……
なんだかなあ。
「ところでどうして男子トイレに花子さん?」
「さあ、詳しい理由は。けど、先輩と男子トイレに入ったら、面白いことが起きそうですよね!」
「
……
本当に肝据わってるね、君
……
いや、私でなくても普通に無理だからね? 用もないのに男子トイレにいるの、普通に犯罪だから」
後輩は「大丈夫です」と笑うが、その根拠のない自信はどこから来るのか。
「だから肝が据わってるって言ったじゃないですか」
「そういう問題じゃない
……
」
けれどトイレはトイレなので、普通に用を足した。
手を洗っているとき、後ろからとんとん、と肩を叩かれた。驚いて振り向くとそこには誰もいなくて
……
という展開はよくあるものだ。
「まったく、そんな悪戯までして
……
」
「え?」
「え?」
真後ろではなく、予想もしていなかった方向から後輩の声がした。
「
……
うん、気のせい」
「違うと思うけどなぁ~?」
「早く出たいから気のせいってことにしておいてくれないかな」
呆れ顔ながら、後輩は手帳にメモをとっていた。
3日目
1d10+1+3 (1D10+1+3) > 8[8]+1+3 > 12
『街に出てミステリーショップによってみた。霊障値−1or霊障値+1』
霊障値:3→4(ダイス目偶数)
「ミステリーショップ? なにそれ?」
「学校の七不思議を調べるための、七不思議スポットなんですよ」
七不思議がゲシュタルト崩壊してないか。変なの。
渋い顔をした私を気にもせず、後輩は「まぁ行ってみたらわかりますよ」と無邪気に笑うのだった。
私たちが入店すると、いらっしゃいませと聞こえてきた。店主らしい。店の中には、私たちと同じように暇をしているのであろう学生たちが数人いた。
「こんにちは」
雪乃は丁寧に頭を下げる。私もそれにならうと、店主はにやっと笑って言った。
「雪乃ちゃんが誰かと一緒、それも女の子同士で来るなんて。珍しいね」
「先輩と一緒に七不思議のスポット巡り中なんです。今日は休憩で、欲しいものがあって」
「そうかい。それじゃあ、楽しんでおいでよ」
店の商品を見回っていると、雪乃は私が名前を知らないような道具を手に取って眺めていた。そして、気になるものがあると「これは?」と質問する。店主がそれに答えて、雪乃はなるほど、とメモに書き付ける。
私はあんまりそういうの詳しくないからなぁ。
「先輩はなにか買いたいものあります?」
「いや、私はいいよ」
「えー、もっと興味もってくださいよ。先輩がいないと七不思議のスポットを全部回れないんですよ」
「そんなことはないんじゃない?」
「そんなことあるんです」
うふふ、と笑う後輩。この時の私には、その真意に触れることができなかった。
4日目
1d10+1+4 (1D10+1+4) > 7[7]+1+4 > 12
『街に出てミステリーショップによってみた。霊障値−1or霊障値+1』
霊障値:4→3(ダイス目奇数)
昨日と同じようにミステリーショップへ向かう。欲しいものを超特急で取りよせてもらったらしく、今日は買えたのだという。後輩はとても喜んでいた。
5日目
1d10+1+3 (1D10+1+3) > 10[10]+1+3 > 14
『神社にお参りに行き、2人でのんびり過ごした。霊障値−1』
霊障値:3→2
お参りに行こう、と言い出したのはどちらだったか。七不思議を暴くなんて罰当たりもいいところな気がするので、私としては神頼みも大賛成である。
鳥居をくぐると空気が変わり、静寂に包まれる。まだ日の高い時間なので人気は少ないが、鳥の声が時折聞こえてくるのはどこか不思議だ。
手水舎で手を清めてから参拝を済ませた。私は作法がわからないのでとりあえず手を合わせておく。隣を見ると後輩は真剣なまなざしで何か祈っているようだった。盗み見ていると、視線を感じたのか後輩と目があった。
「先輩も、願い事あるんじゃないですか?」
「いや、私作法とか全然わかんないから
……
」
「あぁ、それならお参りの手順はですね」
後輩が懇切丁寧に教えてくれた。一度で覚えられるか自信はないが、せめて次にここに来るまでに覚えようと心に決めた。
後輩と二人、肩を並べて歩く。鳥居を出て少し行ったところで後輩が立ち止まった。
「お稲荷さん食べません? 作ってきたんです」
「いいね、食べたい」
とても美味しい味がした。感想を伝えると、後輩は照れながらも得意気に笑った。
6日目
1d10+1+2 (1D10+1+2) > 5[5]+1+2 > 8
『霊現象の噂を追った。しかし、何も起きない。起きなかったよね? 調査値+1、霊障値+1』
調査値:1→2
霊障値:2→3
さて、七不思議の調査としては何の成果もない日が続いたわけだ。私としては構わないのだけど、黙っていられないのが後輩である。
「モタモタしていると夏が来ちゃうんですよ、先輩」
「夏休みの自由研究にするんだっけ? 模造紙にまとめて」
「あ、覚えててくれたんですね~」
後輩は呑気にぽけらんと嬉しそうにしている。まあ、こんなアホみたいな話は忘れたくても忘れられないからね。
「さあ、今日は霊現象の噂を追いかけますよ」
「はいはい」
今日は近くの体育館の裏に向かうことになった。体育館の裏側ってたいてい草ボーボーじゃない? なんでそこを心霊現象スポットだと言い張るのか分からないけど。
予想通りに草はボーボー。私はちょっと嫌そうな顔をわざとしてみせたが、私の腕を掴んでグイグイ引っ張っていこうとする後輩には通じなかった。
「草ボーボーだぁ! 霊とかいるかもしれない雰囲気バリバリですね~!」
「いないんじゃないかなぁ」
雪乃は私の腕を離しそうにない。
「いなくないですよ、絶対
……
あ! ほら、今の!」
今の、って
……
もしかして、草がガサガサ揺れたのを言ってる? 幽霊の仕業だって?
「風でしょ? もし霊だとして、そいつは何の悪さをするの。ほっといてあげてもいいんじゃない?」
「もう、悪い霊だったらどうするんですか? 悪さする前に除霊しておかないと」
「だから、幽霊がどんな悪いことをするっていうの?」
「えっとぉ
……
あ! また!」
風だって言ってるのに、後輩は譲らない。
まあでも、これがいわゆる霊感ってやつ? それとも思い込み? 私にはよく分かんないけど。とにかく彼女は張り切っていた。
「
……
ん? 除霊? もしかして、ミステリーショップで買ったのって
……
」
「除霊グッズです!これがあれば大丈夫!」
後輩が鞄から取り出したのは、なんか胡散臭いお札とか、謎の液体が入った小瓶。え、これをどうするつもりなの?
「先輩にもあげますね!」
「いや、私はいいかな」
「なんでですか~?」
逆になんで貰わないとダメなの?後輩は不思議そうだけど。
「とにかく、何もないんだ、いいね」
腕を掴まれているということは、こちらから引っ張っても相手がついてくるということで。私は嫌がる後輩と共にその場を後にした。
7日目
1d10+2+3 (1D10+2+3) > 8[8]+2+3 > 13
『調査中に、言い争いになってしまった。進展なし。』
「一週間よく続きました。参加賞をあげましょう。これで勘弁してくれないかな」
「なんの冗談ですか」
後輩の眉がひくりと跳ねる。
「仕方がない、わかりやすく伝えてあげる。調査をもう止めるのはどうかって言ってるんだよ」
「は?」
彼女の表情が険しくなる。
「ずっと調べてきたのに、ここでやめたら意味がないでしょう。まだ七不思議の一つも解明できてないのに」
「それだよ。何をもって解明とするのさ?」
「何って
……
どうしてそんな七不思議が噂されるようになったのか、とか、明かして
……
」
「誰のためにそんなことするの。変な噂を掘り起こすって。それこそ私たちはトラブルに巻き込まれるかもしれない」
「それは、」
「何も起きないことを確認できたので、七不思議探索は終了です」
私は、自分がにこやかであるように気をつけながら告げた。後輩はむっとした表情を隠そうともせず睨み返してくる。
「先輩、それじゃまるで私のやっていることが無駄みたいじゃないですか」
予想通りの反応に内心ため息をつく。
正直、うんざりとした気分だった。この後輩は私が心配していることも、忠告も一向に聞こうとしないのだ。
「私は、君の身を案じて言っているの」
「だから、そんな心配いらないって言ってるでしょう。もう放っておいて下さいよ」
彼女は苛立ったように吐き捨てると背を向けた。
その背に声をかけようとするが、うまく言葉が出てこない。結局何も言えずに、私は去っていく後輩の背中を見送ることしかできなかった。
「
……
心配しているというのに
……
」
ため息をつくとその場に座り込む。
このままではいけないということは分かっているのだ。だが、どうしたらいいのかわからない。一体どうすれば聞き入れてくれるのだろう。
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