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戌丸アット
2022-05-29 23:18:02
5716文字
Public
戦国basara
ホオズキの煩い
三家(戦国basara)
1
2
3
「ホオズキは三成に取られたっきり、か
…
代わりはあっただろうか
…
」
秀吉と半兵衛へ報告を終えた家康は設けられた部屋で苦笑いを浮かべながら、持参していた薬箱を開いていた
本当は、戻ってすぐに三成に奪われたホオズキを干して夜には煎じて飲もうと考えていたのだ
何より持参してきている薬の素材にも限度がある
拳を傷つけながら戦う家康にとって、解熱剤となる素材が少ないのは少々辛いだけに困り果てていると部屋の障子が突如、開いた
「おい、家康」
「三成か!どうしたんだ?夜に来るなんて」
「
………
やる」
「おっと!
………
これは?」
投げて寄越された小さな袋はシャリシャリとしていて、手触りからして中身は乾いた何かであるのは察する事が出来た
しかし家康から見れば、いつも三成の行動は唐突である事が多い
無論、よくよく観察したり推測すれば理由は理解出来たが、いつもそうとはいかない
分からないのであれば、素直に尋ねた方が良いのが常であった
「
………
ホオズキ、だったか?あの草だ、飲め」
「飲めって
…
わざわざ干したのか?」
「
……………
私がした訳ではないがな」
「そりゃあなぁ
…
ふふ」
話しながら眉間に皺を寄せて話している顔も言葉も凶悪だが、ようは心配して解熱剤の為のホオズキを代わりに準備してくれたのだ
干したりしたのは、命令しただけだろうが家康はそもそも三成が心配してくれただけで嬉しかった
だが三成は中々どうしてせっかちで短絡的、極論的な所のある性分であった
まじまじと袋を見つめる家康に業を煮やし、渡したのに奪おうとする
「っ!いらぬならば返せ!!!」
「おわっ!これは有り難く頂戴する!
…
ありがとう、三成」
「
……………
ふん」
ようは照れ隠しのソレと同じなのだが、余りにも乱暴に奪おうとするので家康は袋を胸に押し付けて三成の手から逃れて慌てて貰うと宣言する
そして動きを止めたのを見計らって、しっかりと礼を告げた
本来、渡すのが目的の三成は照れが抜けきらないものの満足したらしく、腕組みをしてふんぞり返った
そんな三成の様子に内心、苦笑いを浮かべながらも折角だからと早速、ホオズキを飲もうと考えた
勿論、三成と共に飲もうと
「あぁ、そうだ!折角だから三成も一緒にこのホオズキを飲まないか?冷え性に効くんだ」
「
……………
いいだろう、さっさとしろ」
「あぁ、少し待っていてくれ!今、湯を沸かそう」
落ち着いて目的も果たしたからか、誘いを受けた三成に俄然、気持ちを上がり家康は嬉々として備え付けの茶釜を確かめるも火をつけた
あとはとりあえず沸くのを待つのみなのだが、家康は三成がわざわざホオズキを準備してくれただけでなく誘いまで承諾してくれた事に自然と笑みが溢れていた
「ふふふ
…
」
「なんだ、突然」
「あぁ、悪い
…
お前は優しい男だなと思っただけだよ」
「私が?
…
"優しい"と言うのは貴様の方が似合うだろう
………
」
「え
…
あぁ、まぁ、時々は言われるがそんな事はないさ、言葉には色んな意味があるのだから」
誰かの為に行動できる三成を褒めたつもりだった逆に似合うと言われてしまった
勿論、言葉の認識の違いは、なんとなく感じられたが問題ないと思って説明せずに思った事を話した
がそれがいけなかった
家康の言葉をキッカケにゆっくりとだが確実に三成が不機嫌になっていくのを感じ取っていた
「
…
説教のつもりか」
「まさか、そんな訳ないだろ」
「なら!私の方を向いたらどうだ!」
「三成、お前は何を言って」
「何故、貴様は私を見ない!背を向けるのだ!」
いきなり三成が怒鳴りながら立ち上がったかと思うと胸倉を掴まれていた
殴られるかもしれない
そう咄嗟に思ったが、今までだって殴られた事はあった
何より三成の偏った発想だけで自分を否定されたくなかった家康は怖じけずに声を張り上げたが、三成は断固として家康に喋らせない
「三成、ワシは!」
「貴様は最初からそうだった!土足で踏み歩く癖に腹を見せようとしない!」
「
…
三成、少し落ち着け!ワシにそんなつもりは」
「黙れ!
……………
チッ、もう良い、それは貴様が飲んでおけ!私はいらん!」
「三成!!!」
「
………
邪魔したな」
自分も怒っては逆効果だと悟った家康は、なんとか静かにゆっくり喋りかけようと試みる
しかし三成は家康の話を聞く気が無いのか、聞きたくないのか
早々に話を切るように掴んでいた胸倉を突き飛ばすように離すと、踵を返した
そしてそのまま、ドタドタと怒り狂ったまま出て行くかと思いきや、三成は一言、冷静になったような言葉を残して静かに去っていった
静かに去っていった事によって拍子抜けしてしまった家康は、湧いている茶釜など気にする様子もなく
ただ脱力したように俯き、見送った背中を瞼の裏に思い浮かべた
するといつの間にか、家康は存外、寂しそうに呟いていた
「
………
許してくれ、三成
…
ワシはこんな生き方しか知らんのだ
…
っ!」
ーーあとがきーー
ここであえて除外してたホオズキの花言葉を載せときます
ホオズキの花言葉
…
「心の平安」「不思議」「自然美」「私を誘って下さい」「頼りない」「半信半疑」「欺瞞」「偽り」
花言葉見ると分かりますがタイトルのホオズキ、家康が偽物、影武者だと言う事を指している
…
つもりですorz
花言葉を載せとくと分かり易過ぎると思って隠してましたが分かりにくかったかも
………
ちなみに本当のタイトルは「影武者家康の恋煩い」です
ただ三成にとって家康(影武者)は、心の平穏をもたらしてくれる者の1人だったんじゃないか?と言う意味でホオズキを採用しました
てか影武者家康に萌えた結果、またシリーズとは関係ない物、書いちゃいました
…
楽しかったです( ˘ω˘ )(反省してない)
あ、ちなみに忠勝はちゃんと家康が影武者って知ってます
あと後半の家康と三成の「優しい」の意味が違います
家康は、身がやせ細るような献身的な思い、と言う意味で使い
三成は、他人に対して思いやりがあり、情がこまやかである、と言う意味で使ってます
一応、認識の違いを家康だけは気付いてます
あとがき長いですが、ようはすれ違い二人が書きたかっただけです、はい
ともかく!今回も読んで下さり、ありがとうございました!
今回はわざとコンセプトを隠してみたのですが、どうでしょう?
楽しんでもらえたら幸いです!
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