戌丸アット
2022-05-29 23:18:02
5716文字
Public 戦国basara
 

ホオズキの煩い

三家(戦国basara)




「何故、草など抜いてる、家康」
「え、あ!み、三成!」
「貴様手当てをしていたのではないのか」
「あー偶然、ホオズキを見つけたから、その帰ったら薬にしようと思ってな」


ホオズキを抜いた後の姿のまま振り返ると三成が眉間に皺を寄せて、家康を思い切り睨んでいた
直感的に家康は、あぁ、また怒鳴られるなと感じたが誤魔化せば更に火に油を注ぐ事になる
そんな事は分かっていたので苦笑いをしながらホオズキを見せて、素直に答えて見せる
すると三成も答えは予想していたのか、呆れたようにため息を吐いたかと思えばズカズカと歩いてきて隣に腰を下ろした


………はぁ、またか!勝ったとはいえ戦の後だというのに惚けるな!家康!」
「そう言いながらお前だって休んでいるじゃないか、三成」


文句を言いながらも腰を下ろした三成に苦笑いを送る
勿論、反論されるのは分かっているが家康も黙っている性分ではないのだ
それに三成との言い合いで喧嘩のような会話は、もはや慣れてしまえば楽しみの1つである
相手は至って、いつも真面目で真剣なのだが


「煩い!貴様が動かないからだ!………それで、その草の効果はなんだ」
「ん?あぁ、これはホオズキなんだが、ワシは解熱剤に使っているな、他にも冷え性とかに効くが主に風邪なんか引いた時に飲むと良いぞ」
「そうか」
「あ、すまん喋りすぎたな!さぁ、戻るか!」


三成と言う男は勤勉である
趣向の有無は関係なく、知らぬ物は知ろうとする
なので効能を尋ねたのも、家康が取った為に気にかかったに過ぎない
しかし、それでも尋ねられた事、興味をほんの少しでも持ってくれたのが嬉しくてペラペラをよく口が動いてしまった

別に三成の反応が悪かった訳ではない
ただ家康自身が、浮かれてしまったと感じたに過ぎない
だが家康は何処か照れたようにそそくさとホオズキを仕舞い込み、大袈裟に立ち上がる

が、肝心の三成は反応しなかった


三成?」
……………
「どうしたんだ?三成、戻るよう知らせに来たのではないのか?」
………き、ずは塞がったか?」
「へ?」


一瞬、家康は三成が何について尋ねてきたのか分からなかった
しかし、すぐさま察して家康は心の中で納得した
たった数分前に開いた傷口の事を言っているのだ

では何故、三成が珍しく家康の傷なんぞを気にしているかと言うと
不意打ちを喰らいそうになった三成を家康が庇ったのだ
傷はその時に出来たものだった

庇った時は酷い言われようだったが、なんだかんだと三成は気にしていたのだ
その為だろう、答えない家康に早々に痺れを切らして声を荒らげる


「傷は塞がったのかと聞いているのだ!さっさと答えろ!!!」
「あ!あぁ、前に三成を庇った傷か?はは、なんだお前、もしかして気にしていたのか?」
「う、煩い!!!私の質問に答えろ!!!」
「落ち着け、三成、傷なら塗り薬でしっかりと塞がっているよほら!」


珍しく焦っているらしい三成に包帯を解いて当てた布も取って見せる
傷も本当に塗り薬を塗って塞がっているので、再び布を乗せて巻けば良いだけなのだ
三成も偽りなく塞がった傷跡を見て、焦燥感が収まったのか今度は少々拗ねたような声色で、傷の具合を確かめてくる


………毒はあったのか、熱は出たのだろ
毒があるような異変は無かった、お前が気にするような事は無いよ」
……………チッ、ならもういい、行くぞ、家康」
「え、あ、ちょっ、待ってくれ!三成!」


心配するなと言う意味を込めて言った言葉が伝わったのか、否か
やはり拗ねたような態度で立ち上がると、何を思ったのか家康が包帯巻き直していたうちに家康の懐のホオズキを奪い去った
かと思うと、早足にその場を去ってしまう

これには流石に包帯を解いていた家康は慌てたが、布をある程度には巻いたら三成の背中を追いかけながら巻き直した

結局、本陣へと戻った後すぐに大阪城へと報告の為に進軍する羽目になり、三成と顔は合わせられなかった