紺色歯車
2024-04-19 12:35:33
2796文字
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ロボットの感情発展に係る特殊事例報告書

――教授が「幾つか抜粋した上でざっくり要約したのを配るから、これ読んでどれでもええから一件以上に触れてレポート書いて提出してや」って言って渡してきたやつ。
触れた上で何について論じればいいとか一切教えてくれなかったから正直今詰んでいる。
……くそっ、単位取るのにテストじゃなくてレポートでいいからって安直にコマ取るんじゃなかった。

――・――・――

※っぽいの
今後増えていく(はず)



・事例3

【事案】
 パドックルールの違反者へ対するレーサーによる障害未遂

【該当機体】
・機種名:ラフェル(Fehderglihat)
・機体識別用登録個体名称:ラフェル
・登録所有者:Fehderglihat N.V

【発覚した経緯】
 パドック内でのファン交流中、該当機体が一般男性の胸ぐらを掴み上げながら怒号をあげたことにより発覚

【概要】
 本事案は、一般的な知名度も高いものであるが、そもそもの発端はパドック内における一般男性の規則違反であることを留意しなければならない。
 この事案に於いては、後にレースが控えていたために、レーサー機体との接触アプローチは機体側からに限るという規則が定められていた。
 フェーデルリアット陣営へ足を運んだ該当男性は、ラフェルの兄弟機であるツェレン(Fehderglihat)にバイザーを外すよう執拗な要求を行い、結果的に許可の無いままこの機体のバイザーパーツを除去。
 これにより、視線交錯を起点として致命的な不具合を引き起こしてしまったツェレンはフリーズを発症。
 その旨のアラートを受信したラフェルが激昂し、男の襟首を掴んで自身の元へ引き寄せた後、胸ぐらを掴み上げ怒号を発した。

【対応】
 フェーデルリアット陣営の担当者による強制停止処置とマーシャル担当機体の補助により男を開放させた後、警備担当が男を回収。
 精査の結果、人間へ対する倫理的制御機構に問題はなく、基準値もクリアしていたことが分かった。
 なお、本レースはフェーデルリアット陣営のレーサー二機の棄権処分が行われ、およそ45分の遅延の後に決行・再開された。

【備考】
 ラフェルの見せた行動は、人間で言う所の親兄弟や親族へ対する親愛的感情から起こったものだとの見方が強い。
 すなわち男の襟首を引っ張ったのは兄弟機(身内)から危険を遠ざけるためのもので、胸ぐらを掴み上げたのは威嚇行為と見られる。
 「考えるより先に身体が動いていた」とも言えるこの行為は極めて人間的であると考えられ、私刑的な行動を咎める声が比較的少数派だったのもここに起因しているのだろう。
 なお、再起動されたラフェルはこの件へ対し「親しい者を害されて沈黙を貫き、一切の行動を試みぬ者が果たしてどれほどいるのか」「喜怒哀楽を持つが故の激情だ」と答えており、このためか人間へ対する障害未遂でありながら、該当機体へは特に対策措置などは命令されなかった。