水井白羽
2021-02-27 01:02:47
5369文字
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ニクラウス・そうめん人形

大遅刻のバレンタインデーの話を書いてたはずだのに……


 そんなこんなで、最後の倉庫へ到着して、仕掛けを外し後は爆破するだけとなった。だけだったのだが、
……!?」
 ばつ美が呪文を唱えても、いつまでも魔法陣が展開されない。こうなると可能性として彼女が考えられることは1つだけだった。
「誰かが魔法ジャマー設置してる!」
 ばつ美がそう叫んだため、バツたちは何事かともう一度倉庫の中に入った。
 そこには、一人のネジマキを模した鞭を持った女性が、でかでかと「試作」のラベルが貼られたラヴェ工製の魔法ジャマーを、重そうに設置している姿があった。
「お前そこで何しやがる?!」
バツがそう叫ぶと、女性が振り向き鞭を構え始めた。
「それはこっちのセリフよ!何勝手に法人の倉庫に入ってるのよ!連絡が来たから慌ててすっ飛んだら、わが社の倉庫が軒並み瓦礫の山に……!あなた達の仕業だったのね!――生かしちゃいけないわ!」
 と女性が鞭を一振りすると、何も起きない。周囲はずっこけた。
「しまった!」
「ひょっとして、それ、魔力を放出するタイプ~?」
 ディアは顔を上げて指摘する。ラヴェ工製の魔法ジャマーには値段や用途に応じていろんな方式があるのだが、その中に膨大な魔力を周辺に発生させる方式がある、と前にペイシェンスから教わったのだ。それを裏付けるかのように、バツは倒れたまま全く微動だにしないし、女性が使おうとした猛獣使いの術も使えないのである。
「バツさん!」
 ディアがそう叫ぶのを他所に、女性はポケットからリモコンを取り出し、電源スイッチを押す。
「仕方がないっ!わが社の自動掃除ロボットのランダム走行を解くと味わうがいい!」
 すると段ボールの山が揺れ始め、充電が空っぽ0%であるにもかかわらず、ロボットが箱をぶち破って飛び出したのである!電源のランプが灯り、起動音と共にバツたちの方へ向かってきた。
「うぎゃーっ!」
 さんかくが悲鳴を上げる。魔法ジャマーがある為、魔法なしで1つずつ叩かなければならないが、生憎倉庫内にある人類お掃除ロボットは1000個は下らないだろう。地道にやるにはあまりにも骨が折れる。
そんな中、先程の女性と同じくニー姫もバッグの中を漁っていた。確かこの中にしのえが作った「ラヴェ工マシンバイバイ」なる装置の試作があったはず、と手探りしている内に、何か手ごたえがあったのでそれを取り出した。
「なんでこの人形が入ってるのよ?!」
 ニー姫の手にあるのは、あの「ニクラウス・そうめん」だったのである。確かあのテーブルに置いたままのはずだったのに、なぜ?、と彼女はキーッとなってそれを迫りくる人類お掃除ロボットに向けて投げつけたのだった!すると、ロボットのうち1台が例の人形を吸い込もうとする。――しかし、中途半端に人形の腕を吸い込んだため、ロボットからは正しく使用すれば鳴るはずのない変な音を立て始め、それどころか火花と黒煙が噴き出した。
「えっ、何?何?!」
 ニー姫が困惑している内に、人形を吸い込もうとしたロボットがバーン!と爆発し、周囲のロボットも巻き込まれていくらか破損したのだった。――ニクラウス人形は変形していないなかった。これを見たマルは、前にこの人類お掃除ロボットに巻き込まれたメタリック蜜柑の木が、ベッコベコのボッコボコになったのを見たため、自分の、他人には見えない目を疑った。
「下手したら鉄柱も平気でお掃除しちゃうあのロボットが……?」
 すると、何か嫌な予感を抱いたばつ美も倉庫の中に入って来た。
「何事?!」
「何事もなんも、ニー姫があの変な人形投げたら、ロボットの方がぶっ壊れた!」
「はあ?!」
 さんかくが指す方向には、次々と人類お掃除ロボットが、ニクラウス・そうめん人形をゴミと見なしては特攻し、次々と玉砕する光景。恋人の仇であるニクラウスを模した人形が、本人に似て無駄に頑丈であることに、ばつ美は無性に腹が立ってきた。
「なんか腹立つ」
 しかし、あのセントール皇帝を模した人形、「一人軍隊」だの「負け知らずの戦帝」だの「歩く敗戦フラグ」だの言われるような男を模した人形、無駄に頑丈なだけで終始するはずがなかった。異変が起きたのはさんかくが矢を外して魔法ジャマーに当たった時。最初に気付いたのはディアだった。
「あれ?あの人形、目が光ってる?」
 よく見ると、ニクラウス人形の目の部分が光っている。憎むべき敵国の工程の人形に困惑していた女性もそれに気付く。
「え?!何ぃ……?」
 そして、マルたち他の人がニクラウス人形の異変に気付いた瞬間、人形の目からカッと怪光線が飛び交った!
「あ!」
「えっ?」
「いーっ!!??」
「おわーっ!!!!」
「うぅ……