水井白羽
2021-02-27 01:02:47
5369文字
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ニクラウス・そうめん人形

大遅刻のバレンタインデーの話を書いてたはずだのに……

 時は3月に差し掛かろうとしていた頃、バツたちは色々諸々あって、ある国にいた。そこは、セントール国と敵対するラヴェスティア共和国を実質支配している「ラヴェスティア総合工業社」、通称ラヴェ工の倉庫がいくつかあった。その内の1つを前に、バツたちは立っている。
「この中に『人類お掃除ロボット』なるものがギッチリあるのか……
 バツは倉庫を見上げ、そう呟く。「人類お掃除ロボット(命名者:ニー姫)」それは、その国の会社が作ったごく普通の床お掃除ロボット……をラヴェ工の工作員が改造した戦闘兵器。何も知らない一般の人がこれを使うと、あっという間にこのロボットにきれいさっぱり「お掃除」されて、家の中に誰もいなくなる、という酷いシロモノだった。どうやら、ラヴェ工の奴らは大規模工場プラント建設のために立ち退きを拒んでいる住民たちを、これで一掃するつもりらしい。
 バツの隣にいるばつ美が準備体操をしている。実はバツたちは周辺住民の安全と、地元の会社の名誉の為、そしてラヴェ工の企みを阻止するべく、例の人類お掃除ロボットが大量に格納されている倉庫を全てぶっ壊しているのだ、1つずつ。というのも、ラヴェ工の奴らはご丁寧に自分の倉庫に獣人改造罠に似た仕掛けを用意しており、いきなりばつ美の魔法で爆破解体するものなら、中途半端な改造魔法が発動して周辺の諸々が化け物に変えられ、元人間の化け物ウジャウウジャ☆パラダイスの大惨事になりかねないからだ。そこで、まず倉庫内の獣人改造罠を全て回収することになった。
「全くだねぇ……こんなハタ迷惑なもの作るなんてさ」
 さんかくはそう呟いて裏口のドアを開ける。仕掛けを探すのを少しでも楽にし、回収漏れを防ぐため、その手の魔力に敏感なさんかくと、微力な魔力でも倒れ得るバツを先導に倉庫に入り、後で魔法をぶちかますばつ美以外の面々も2人に続いた。
 何でこんな回りくどい事をするんだ?、なんで自動掃除ロボットなんだ?、とバツはふと思ったが、突っ込んだどころで周辺住民の安全が守られるわけではないので、諦めて仕掛けの回収にかかる。
 そして数十分後、バツたちが回収した仕掛けが入った袋を引っ提げて外に出ると、ばつ美がバトンを手に詠唱を始める。
猛き火球よ、爆ぜて周囲を吹き飛ばせハシクワ・フキエト・アトメノ・サヨトエ
 すると、倉庫の真下に魔法陣が展開された瞬間、倉庫は油断したら鼓膜がやられそうな爆発音と共に見事に崩れ落ち、一瞬にして瓦礫と鉄屑の山が出来上がった。
「うわーお、壮観」
 ニー姫の口から零れ落ちた。