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アスナショウコ
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【創作|馬子軸】レゾン・デートル
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【創作|馬子軸】レゾン・デートル 番外編- 市ノ瀬咲良の醜聞
新刊用に準備していた短編ですが、何か全体のテーマから一本だけ浮いているような気がしたので供養しようかなと思います。咲良が合コンで出会った女性とすったもんだある話です。意外にバイオレンス 匿名感想はこちらまで→
https://wavebox.me/wave/b064pup7uhwd9l39/
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――
後日
あの飲み会の後のことはもう二度と思い出したくない。あんなイカレサイコ魔術師に引っ掛かったなんて一生の恥だ。俺は痛む頬と顎の湿布を取り換えながら思う。
腕にくっきりと残っているピアノ線で締め付けられたような跡に、腹部には思いっきりピンヒールで踏まれた派手な痣。何で女性と出かけてその帰りに襲われてこんな酷い目に遭わなきゃならねえんだ。しかも俺に勝手にくっついてきている(自称)神使である黒い狐
——
いなり、と俺は呼んでいるが、そいつもズタボロになっている。聞くところによれば随分とあの魔女に痛めつけられたらしく、尾を引っこ抜かれたとか言っていた。流石に比喩だとは思いたい。
「まあ、勉強料っすかねェ~」 正面に座る大河カレンは心底面白いという表情を浮かべて言った。
俺の惨状に憐れみを見出したらしい椿のおごりで、少々高めの昼飯をテイクアウトして研究室で食べているわけだが。確かに美味しい。俺と大河は一番値段の張るロコモコ丼を選んだ。椿は健康志向なのか、それともズボラなのかサラダボウルとローブパンのセットだ。
「
……
高すぎる勉強料やったけどな」
「っていうか咲良さんが引っ掛かる女性って、とんでもない方向にぶっ飛んでる人、多くないですかァ? やばい女が好みなんですかァ~? ね~え~~」
「しゃあしい! 黙って食ってろ!」
「ふふふ
……
はァ~~い」 ニヤニヤしている顔が死ぬほど喧しい。
「しかし腑に落ちないな。火刑の魔女は二十八年前、フランス神秘管理局に所属する神秘秘匿執行官が殺したはずだ。本当に火刑の魔女か?」
「それは俺に言われても困る。知るかよ
……
もう二度と関わり合いになりたくねえ」 俺は思わず吐き捨てた。この一件で俺はすっかり金髪の女性が苦手になっていた。
だが確かに椿が言う通り、刑罰の冠名などという、そうお目にかかれない高位の魔女にこんな確率で会うものなのか? いや、考えるのはもう止そう。考えれば考えるほど自分の醜態を思い出して穴があったら入りたい気分になってくる。俺は思わず顔を顰めて、残っていたロコモコ丼をスプーンで掬って口に突っ込んだ。美味しい。
「つうかお前ら、あの時俺の後付けてきたやろうが。あの時点で気付いとったんやないんか? でもどうせお前らの事やけ
――
」
「だってぇ~あんなやっばい魔術師のヘイト買いたくなかったんですよォ~
……
まあ、面白がってましたけどォ」 大河はプリンの蓋を開けながら言った。
「珍しく今日は慧眼だな。見世物としてかなり面白かったから放置していた」 椿は一切悪びれるそぶりを見せずに言い切った。
「そんなところやろうと思ったよ」
だが何故か、いつも通りの二人の顔を見ると安心するのも事実だった。口が裂けてもそんなことをいう気はないが、少なくともこいつらは信頼できるのだ
――
信用できない一面があることは否めないが。
「
……
ん?」
ゴミ箱にロコモコ丼の空を捨てに向かうが、ふと俺の机に見慣れないものが置かれていることに気付く。そして同時にさっと血の気が引いた。
小瓶。あの魔女が神秘の肉片を吸い取っていたあの小瓶が何でここにある? しかもご丁寧なメッセージ付きで。
『余ったから、返す』
本当に
――
心の底から。二度と関わり合いになってたまるか。
俺は思わず肺に溜った全ての二酸化炭素を吐き出す勢いで巨大な溜息をついた。
心模様とは対照的に、本日は快晴である。
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