「流れ星に何を願いますか」
「は、願う?」
満天の星の下。怪訝な目で見下ろせばきらきら輝く双眸とぶつかった白藍の色をしたそれは一体何に驚いたのかさらに丸く見開かれる。
「三回願うと夢が叶うって言いませんか」
「なんだそれ。都合よすぎだろ」
星に願うだけ、それもたった三度で叶うというなら人生こんなに苦労はしない。歳の差があるばかりに兄からはいいオモチャにされ、貧乏くじを引かされているこの境遇。何度呪ったかしれないし、隙あらばこれを百八十度ひっくり返して兄たちの鼻を明かしてやりたいとずっと思っている。
だが思っているだけでは何も変わらない。それが現実。努力という言葉は嫌いだが明るい未来のためにはやるしかない。うう、今に見てろ。
「努力
……そうですね。その通りだと思います」
少女はきゅっと唇を引き結ぶ。否定と取れなくもない言葉を生真面目に、何度も確かめるように反芻する小さな顔を眺めているとふと疑問が湧いた。
「なに、お前の叶えたいことって」
「え?」
「あるから聞いたんじゃねえの」
天を指し示した。つられて振り仰ぐつぶらな瞳に星屑の海が映りこむ。
やがて振り返った少女は真正面に向き直った。
「ずっと、こんなふうにお話できればいいなって」
意味を理解するのに数秒を要した。柔らかな眼差しが恥じらいつつもふわりと綻びハッと我に返る。
「なななに言ってんだよ! 帰るぞ!」
あたふたと少女の手を取り踵を返す。
草を踏む音は二人分。その音に紛れるように、
「
……わざわざ願うことかよ」
そう小さく呟いた。
***
「流れ星に何を願いますか」で始まって、「そう小さく呟いた」で終わる物語。〜曖昧な話〜
〈セイカレ
……2019年4月2日〉
<目次> 1≫ウィルアデ
3≫アンリュー
4≫ジルフリ
5≫ユルマル
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