星に願いを

「流れ星に何を願いますか」から始まる各カプの流れ星話
1.ウィルアデ/2.セイカレ/3.アンリュー/4.ジルフリ/5.ユルマル

「流れ星に何を願うの?」
「決まってるわ、ウィルトールの――
「俺?」

 夜空を仰いでいたきみが振り返った。その頬は見る間に赤く染まっていく。続く言葉をしばらく待ってみるが、彼女の口はただぱくぱくと開いては閉じてを繰り返すだけ。

「俺の、何?」

 視線を絡ませたまま小首を傾げてみれば、少女はいよいよ慌て出した。

「だから、あの……、そ、そういうウィルトールこそ、願いはなんなの?」
「俺の願い?」
「聞いた方が先に言うべきだわ」

 眉尻を上げまっすぐ見上げてくるアデレード。腰に両手を当て、唇を尖らせる可愛らしい様にはつい苦笑が漏れそうになる。
 だが思案気に拳を口にやった。今貼りつけるべきはあくまで〝困ったような〟笑み。

「参ったな。願い事は人に言ったら叶わないと聞くし」
「え!?」

 少女が口許くちもとをぱっと手で覆った。
 驚愕が過ぎると次にきたのはどうやら怒りのようで、その後は「ウィルトールひどい!」とまるで悪人扱いだった。堪えきれずに破顔し、あとは素直に謝罪の語を口にした。

 星はきっと手に入るだろう。望んだものと手にしたそれは始めは違うかもしれないけれど。たとえ差があろうとも、歩み寄りは可能なはずだから。
 ならば俺はよき〝兄〟でいよう。夢見るきみが目覚めるまでは。



***
「流れ星に何を願いますか」で始まって、「君が目覚めるまでは」で終わる物語。〜寝る前に読みたくなる話〜
〈ウィルアデ……2019年3月27日〉


 <目次> 2≫セイカレ 3≫アンリュー 4≫ジルフリ 5≫ユルマル