るいざき
2024-01-24 04:09:56
22134文字
Public AC6_ラス6_銀環
 

比翼の君 解√ラス6♀

⚠️不穏
・長い
・自己解釈を多分に含みオリジナル登場人物がいる(名前はほぼ無い)
・相変わらずラスティが主人公。あと少しエア
・スタンニードルランチャーくらい長い



《はじめまして、ミドル・フラットウェル。》
 抑揚の薄い女声が秘匿チャンネルに現れた。早速と言うように、彼女はレイヴンの受け入れに関して切り出す。更には、コーラル調査の協力を申し出た。技研都市の遺産、その研究成果の残滓は解析に難航しており、ただでさえコーラル神秘主義が大半を占める解放戦線では、その調査さえ冒涜である。技研が取り扱うそれらは全て邪なものであるという妨害さえ起こる始末だったが。外部機関による調査ならば彼らを納得させられるかもしれないと帥叔の返事は好感触だった。
「今朝方のレイヴン救出にも協力してくれていたと、同志ラスティより聞き及んでいる。その能力を是非とも貸して頂きたい」
《喜んでお引き受け致します、帥叔フラットウェル》

……本当にレイヴンの身元引受人なのか。ラスティはフラットウェルが友好的に接する後ろで、ルビコニアン・エアについて調べていた。
 住民録、アリーナ、傭兵支援システム登録と、それらに付随した起用企業、組織リストなどなど。だがそのどこにもエアという人物は存在しない。
 彼女の通信座標を割り出すが、レイヴンのガレージではない。測定不能という結果のみが眼前に表示される。エアのハッキング能力は優れたものだが、ラスティも負けず劣らずの密偵術がある。だがどうしても、エアの防御を破るに至らないのだ。
《私が協力を求める理由のひとつに、バスキュラープラントの存在があります。前回は相変異より48時間で氾濫し、技研はそれを焼滅させました。……現在、同じ予兆は既に生じ、その氾濫の規模はアイビスの火をはるかに上回ると予測されます》
 提示された資料によれば、真空環境のコーラルはプラント内で大増殖し、その密度は限界値間近だと言う。切迫した状態であることが伺える。
《私がレイヴンの保護を求める理由はこの為です。彼女はアイビスの火の再現を避けるべく、単身ザイレムへ挑んだ。今尚その抵抗は続けなくてはなりません》
 ラスティはある人物から受け取った一通のメールアーカイブを開く。スネイルがウォルターから聞き出した計画。それらは簡潔な文面で綴られていた。
「オーバーシアー……ハンドラーさえ裏切って、か」
《はい》

 あの協働で、彼女は多くを語らなかった。ただひと言、消え入りそうな声で「ありがとう」と言った事だけを、ラスティは鮮明に覚えていた。
「それで。君がオーバーシアーでもなく、企業の手先でもないという証明はできるのか?」
《え、あのゴシップ誌の解析は信頼してくれたから任されたのでは……
「君の力量が見たかっただけさ」
……はあ、貴方はそういう方でしたね。大方ヨルゲンでもそうしてレイヴンを試したのでしょう……
「弱いものから喰われる世界なんでな。だが君は用いるに相応しい存在の様だ」
《お眼鏡にかなったようで何よりです、ラスティ。》
「ああ。くれぐれも、よろしくな」
 エアの特大溜息がチャンネルにこだました。