はるの
2022-08-08 23:05:31
27972文字
Public スタートレック
 

探査艦事故報告書

13+|AOS スポック|2021.8.9|惑星の上陸調査で、スポックとレッドユニフォームくんがSFホラーめいたひどい事故に遭う話。

添付003:スポック中佐の対話ログ


発見後12時間の経過観察ののち、レナード・マッコイ医療主任によって試みられた対話のログです。

マッコイ少佐:よう。気分はどうだ?
スポック中佐:あなたの顔が見られて大変嬉しく思っています。
マッコイ少佐:お前がヴァルカン人じゃなきゃそのジョークに笑ってやったんだがな。
スポック中佐:これは経過観察用のログですか? それとも事故の詳細調査でしょうか。
マッコイ少佐:言っとくが、たぶんこのログ本部送りだぞ。ずいぶんとラフに喋ったものだな?
スポック中佐:ああ……。すみません、まだ、本調子ではありませんので。
マッコイ少佐:お前の個人ログは聞いたよ。こいつもな。
スポック中佐:……でしたら、これは経過観察ログですね。
マッコイ少佐:でしたら、改めてお伺いしましょうか。気分はどうだ?
[沈黙]
スポック中佐:あなたがたの顔が見られて、大変嬉しく思っています。
カーク大佐:スポック。
マッコイ少佐:あー。オーケー。ちょっとあとにしようか。あのログのあと、何があったんだ。
スポック中佐:ログは、どこまで取られていましたか?
マッコイ少佐:お前が、拘束されるところと……、正体不明の女性のログ、最後に男性の音声が入っていた。以降はブランクだ。
スポック中佐:なるほど。あれも録音されていたのですね。情報をアーカイブできる端末に接触することで、自動的にアップロードするシステムでしょうか。コミュニケーターであれ、人の脳であれ、無条件に。
マッコイ少佐:……お前、なんでそう冷静なんだ?
スポック中佐:あなたは何故そう不機嫌なのです?
マッコイ少佐:[溜息]……お前が帰還したときの、あの衰弱状態はどういうことだ。
スポック中佐:村の記録に触れたあとの記憶はあいまいです。あれは、家族を失った夫が製作した装置でしょうか。
マッコイ少佐:実物を見てないから何とも言えん。けどそうなら、ずいぶんと高度な文明をお持ちだ。
スポック中佐:最後、英語じゃありませんでしたか?
[沈黙]
マッコイ少佐:……これ以上のホラーは別部署に投げよう。とりあえず俺は俺の仕事をする。
スポック中佐:その別部署、科学部のような気がするのですが……。いいでしょう、受けて立ちます。
マッコイ少佐:ばか! お前は今後一切かかわるな! ニックにもそう厳命してる! おま、ふざけんなよ、また精神不安定になったらどうするんだ! お前が見つかったとき、お前は――
スポック中佐:そうですか。分かりました。
マッコイ少佐:……このやろう……
スポック中佐:おそらく、私は「対話の部屋」に留め置かれたのでしょう。神祇官でもない者に記録を触れさせることは、彼らにとっては禁忌です。コミュニケーターがオンになっているかを確認する発想も出ないほど、私はすべてを奪われていたのだと思います。
[沈黙]
スポック中佐:あなたが苦しむ必要はありません、レナード。
マッコイ少佐:……よく、12時間かそこらで、そこまでふてぶてしく喋れるようになったもんだな。宇宙一の図太さだよ。
スポック中佐:どういたしまして。言ったではありませんか、あなたがたの顔が見られて大変嬉しく思っていると。
マッコイ少佐:それが?
スポック中佐:心からの安寧を得られれば、誰だって落ち着きます。
マッコイ少佐:……じゃあ、ニックにも顔、見せてやれよ。あと12時間はここで横になっててもらうがな。
スポック中佐:分かりました。彼にお返しするものもありますので、そうします。
マッコイ少佐:それから、そのくっつき虫も適当になだめておいてくれ。ログ終了。