はるの
2022-08-08 23:05:31
27972文字
Public スタートレック
 

探査艦事故報告書

13+|AOS スポック|2021.8.9|惑星の上陸調査で、スポックとレッドユニフォームくんがSFホラーめいたひどい事故に遭う話。




[翻訳開始]
私たちはどうやら、小さな空間に取り残されてしまったらしい。
土も、草も、水もあるというのは、たぶん幸いなことだろう。
それに、いなくなってしまったと思っていた夫もいたのだ。
嬉しかった。ふたりなら、きっとなんでもできるから。当面は、食料の確保である。


私たちは見よう見まねで家を作り、試行錯誤しながら草を育てている。
食べられそうな草をいくつか試したが、最終的には夫が掘り出してきた芋が当たりだった。
あなたがいてくれてよかった。もしかしたら、長いことここで暮らさなければならないかもしれない。


私たちは話し合って、脱出を試みることをやめた。
毎日を穏やかに過ごし、不要なことで喧嘩をしたり、ストレスを溜めない選択をしたのだ。
もうすでに数か月になる。経過日数を数えることも、やめてしまった。
ここでは悠久の時が流れている。


死ぬかと思った。こんなにも出血が止まらないものなのか。
分娩を舐めていた。
私たちの赤ちゃんは、今は夫の腕の中で健やかに眠っている。
野原と林しかない場所で、原初の人々はどうやって子供を育てていたのだろう。


突然死を危惧する期間はそろそろ脱しただろうか。
疲労困憊である。俺のおっぱいから乳が出ないばかりに、と夫は謎の落ち込み方をしている。めんどくさい。
けど、ありがとう。頑張るね。


ああ、戻ってきた! やった! 戻ってきたぞ!
びっくりした! 突然外の世界にワープするんだもの、ほんのちょっとそこまでの距離でよかったけど、うんと離れた場所に飛ばされてたら大変なことだった。
スープも火にかけたままだ。夫が気づいて引き上げてくれただろうか?


どうして。どうして。どうして。
どうしてこんな、どうして。
嘘だ、こんなの。
なんで、こんな。
どうして――


私たちの家は、すっかり荒廃していた。
夫はどこにもいない。けれど彼がいくらかの期間、四苦八苦していたような形跡はあった。
ほんのちょっとそこまで。
ほんのちょっとそこまで、だったのに。
私が離れている間に、この世界では、ずいぶんと長い時間が流れてしまったようだった。
私たちの娘は、干からびてしまっていた。


あなたはどこへ行ってしまったの?
あなたも私と同じように、ちょっとそこまで、行ってしまったのだろうか。
きっとこんなふうに、あなたも私に置いていかれたのだろう。彼はどれだけ、私を待ったのだろうか。
可哀想なエイリニ。あなたはまだ、ひとりでは何もできなかったのに。
どうして連れて行けなかったのだろう。
どうして――


悲しくて寂しい。
ひとりはとても寂しい。
寂しかったでしょう、エイリニ……


もしかして、私の夫は逃げてしまったのだろうか。
ここに戻る努力をしなかった? そんなことはないと信じたい。
ひとりきりで、言葉を忘れてしまいそう。
私たち以外にも、ここに誰かが住んでいたら、よかったのに。
そしたらきっと、エイリニが死ぬことはなかった。誰かがそばにいてくれれば、私は笑って彼女を迎えに行けたのに。
ひとりきりで、言葉を忘れてしまいそう。


あなたに会いたい。
ごめんなさい、もう頑張れないみたい。
[翻訳終了]