はるの
2022-08-08 23:05:31
27972文字
Public スタートレック
 

探査艦事故報告書

13+|AOS スポック|2021.8.9|惑星の上陸調査で、スポックとレッドユニフォームくんがSFホラーめいたひどい事故に遭う話。



事故報告書


発生日:宇宙歴22.42
発生場所:A宙域、X惑星、36.16.14.5##9、122.38.26.2##4
対象艦:U.S.S.エンタープライズ NCC-1701-A
アクシデントランク:B
該当項目:【TS】時空間事故、【MM】認識災害


概要:
発生場所に存在する時空特異点への接触により、士官2名が一時的にロストしました。
対象者は異空間に隔離されていたと申告しており、時空間事故として申請します。


安全措置提案:
当該地点より半径1km圏内への立ち入り禁止を提案します。
また、立ち入り調査を行う場合は、艦長承認を得た上級科学士官の同行を推奨します。調査の際には線量カウンターにて特異点の正確な位置を測定し、士官が触れないようバリケードを設置してください。
異空間内の調査については、対象者に深刻な影響を及ぼすため実施不可が望ましいと思われます。これ以上の対応については、准将以上の承認を得てください。


発生原因:
ロストの原因になった特異点は、地表から1.2m上空に存在する直径9.3cmの正円形ワームホールです。表、裏、どちらからでも触れた物体を瞬時に異空間へ転送する性質を持ち、任意の時間をかけて48m離れた特定のポイント(36.16.14.6##0、122.38.26.2##9)へ対象をワープさせます。対象となる物体は、体積、質量、構成物質を問わず、あらゆるものが該当すると推測されます。

ホール全体は無色透明ですが、ホールの外縁にはうっすらとした空間のひずみが見受けられます。重力レンズと類似の現象ですが、周囲に特異なエネルギーは観測されませんでした。また、ホールは微弱のガンマ線を発しており、線量カウンターによる撮影が可能です。
その外見特性から、ホールは一般的な探索警戒による注視が困難です。そのため、上陸調査班の2名が意図せず接触し、今回の事故が発生しました。


補足:
ワームホール内部はおよそ正円形の幅を持つ空間で、目測では約1km四方の広さです。空間外への進出を試みた場合、対象は円の対角線上へとシームレスに転移します。この現象から、空間はループ構造を形成していると思われます。
また、ロストから発見までの経過時間、およびロスト者自身の状態から、内部では時間の速度が、地球標準時間のおよそ1000倍に拡大されています。

異空間にはX惑星の環境に酷似した林と丘が広がっており、どのようなメカニズムにおいて環境保全されているのかは不明です。また、内部では100人以上のヒューマノイドが生息しており、林を開墾した農村にてコミュニティを形成しています。
なお、現在、X惑星上にヒューマノイドは存在していません。

異空間内のヒューマノイドには知性があり、基本的には温厚ですが、過度に信心深く、しばしば攻撃的です。彼らの倫理観に反しない限りでは、安全な交流が可能になります。
彼らは例外なく、迷い込んだ者に対して永続的な滞在を求めます。また、彼らの所持するアノマリーにより、迷い込んだ者も永続的な滞在を望むようになる認識災害が見られました。

異空間からの脱出が発生するタイミングについては不明です。無機物投入テストにより、進入時の対象の速度に関係していると思われますが、現時点で明確なルールは発見されていません。


影響範囲:
以下士官の位置情報がロストしましたが、最大24時間以内に復帰、発見に至りました。健康診断の結果、90日間の経過観察とカウンセリング、およびAランク適正テストが施行されます。結果により、勤務地異動となる可能性があります。

○ニキータ・アバルキン少尉(保安部所属)
発生時刻から8時間後、脱衣、錯乱状態で発見。ロスト後11か月経過していると申告しており、身体上でも同期間の経過が確認された。帰還後は異空間内への強い帰還欲求を訴え、自認に混濁が見受けられたが、療養により回復の傾向が見られている。

○スポック中佐(科学部所属・主任)
発生時刻から24時間後、脱衣、心身衰弱状態で発見。ロスト後2年と1か月以上が経過していると申告しており、身体上でも2年9か月の経過が確認された。帰還後には異空間内への帰還欲求があったものの、時間経過とともに正常な精神状態へ回復している。


備考:
ワームホール現象は未知の物理法則により存在しています。安全措置が妥当であるかの検証として、継続的な観測を提案します。