【カミ東】『ひとりヨりふたりがいイ』

🔪🍮で神隠し(未遂)話。癖の塊癖ィィィ。
【カミ東】其の御心、神のみぞ知る の設定を引き継いでいます。





東雲の視界から完全に消えたのを確認してから両手に意識を集中させる。
程なくして現れた缶は異様に軽く中身が入っていないことなぞすぐに分かった。
だが、それでいい。古く錆びついた缶を両手で包み込むように握り、──祈りを込める。
すると、見る見るうちに錆びついていた缶の表面が綺麗になっていき、底の方から何かに満たされ重くなっていく感覚に黒く澱み満ち足りた吐息を零した。
其れは缶の中をぐじゅるぐじゅると犇きあい、缶の縁まで満たされたのち姿かたちを冷たい緑茶に変える。
缶の上をそっと撫でれば空いていたプルタブが閉められ、さも自販機で買ってきたばかりだと云わんばかりの一本の緑茶缶が出来上がった。

東雲が冷たい緑茶だと信じて疑わず口を付け胃の中に収めていく姿に思わず生唾を飲み込んだ。
本当は全て飲み干して欲しかった。されど、半分近く飲んだ其れはしっかりと東雲の胃の底に落ち蠢いている。
闇色の蛇か蚯蚓の如き犇きあう姿をうっそり目を細め見遣る。
まだ東雲は自分の異常に気付いていない。気付くはずがない。気付かれぬようにやっているのだから当たり前だが、とんとん拍子に進むことが嬉しくてたまらない。
手に持った緑茶缶を東雲が見ていない間に黒い霧にして霧散させた。

あと少し、あともう少し。
夜の帳が完全に落ちたら此方の勝ち。

今度はもう失敗させない。



「捕まえた」
「二人でかくれんぼすると見つけるのも見つかるのもすぐ終わっちまうなー。というか、そこは捕まえたじゃなくて見つけたじゃない?」
「ううン、捕まえた」
「ま、どっちでもいっか」