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豆炭々炬燵
10897文字
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星のカービィシリーズ
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【デデカビ】一番星に手を伸ばす【小説詰め合わせ】
※新作ゲームのネタバレ含みます※
またまた大体ふせったーの妄想集めてまとめた感じです。
1
2
3
4
◆待ちくたびれたぜ
(あっという間だったな)
カービィとバンダナ、それとエフィリンという奴がワドルディたちを助け築き上げた町で過ごすようになって幾日か。
二人を先に行かせるためビーストたちを足止めした際に負ったダメージは殆ど癒えている。
自分がやって来た時より大分賑やかになった町の中にいても、目を閉じればあの日の出来事がつい先日のように鮮明に思い浮かぶ。
倒しても倒しても無尽蔵にやってくるビーストの群れに息が上がる。
そろそろ限界が近い、と内心毒付いた刹那とてつもない轟音と共に辺りが揺れ始めたかと思えば、先に逃がしたワドルディたちが奥から慌てた様子で戻ってきた。
なんで戻ってきた、あいつは、あいつらはどうした。そう大声で叫ぶ暇さえないらしい。一瞬の油断を付いてビーストたちがわっと飛び掛かってくる。
しまった。目の前に横たわる何もかもがゆっくり動く中、手痛い一撃を食らうことを覚悟した瞬間。眩く輝く光が突如勢いよく落ちながら周囲にいたビースト軍団を蹴散らしていった。
それは見慣れたものだった。燦々と輝くワープスターが目の前にやってきてその身を揺らす。丁度駆け寄ってきたワドルディたちをワープスターに乗せ、自身もワープスターに乗り込んだのと同時に足場がマグマに沈んでいった。
危機一髪と思うのも束の間、もの凄い勢いで天井を突き破ったワープスターから見えた景色に息を飲む。
火山の頂上の遥か上。裂けた空から次々と飛来する隕石のそのまた奥に見覚えのある星があった。
今乗っているワープスターと同じ星型の星、ポップスター。それが徐々に大きさを増している光景は絶望を抱くには十分すぎるが、ついぞ抱くことはなかった。
遠すぎて目視で確認できないが、はっきりと感じる気配に知らず口角が上がる。
あいつがいるならどんな状況だろうがひっくり返しちまう。それは身をもって体験しているからこそ言い切れる。
首謀者がどんな奴か知らんが残念なこった。なんせここにもあいつが来たからな。
吹き荒ぶ風にワドルディたちが飛ばされぬよう押さえつつ強い光が衝突する光景を目に焼き付ける。それは一瞬の出来事で瞬きをする合間に空に広がっていた裂け目は最初から無かったように消え去っていた。
「
…
勝ったんだな」
小さく零した言葉は青く透き通る空に吸い込まれ、喜びを分かち合うワドルディたちの声が賑やかに響く。
最期を見届けさせてくれたワープスターがゆっくり動き始める。
きっとご主人様のところに戻るのだろう。その時はそう疑いせず漠然と思っていた。
緩やかな軌跡を描き降り立った場所は、この世界にしては実に見慣れていて懐かしさを抱いた。
要らぬ心配を掛けさせぬようワープスターから降りれば町中にいた沢山のワドルディたちが周囲を囲む。建物から飛び出てきたのかそこかしこから扉が勢いよく開けられる音が聞こえる。
心配をかけた、迷惑もかけた、すまなかった。そう皆に聞こえるように言えば、わあっと上がっていた歓声が徐々に静かになった。
そして、皆一様にご無事でなによりです、全然へっちゃらです、ぼくらの大王様が帰ってきたと声がぽつりぽつりと聞こえ思わず近くにいたワドルディたちの頭を撫でながら、じんわりと部下たちの無事と感謝の気持ちを噛み締めた。
「無事戻ってこれたのだな」
「おう」
空から落ちてくる声は相変わらず無駄にクールぶっているが、今は軽口を叩く気力も起きやしない。身軽な動きで傍に降り立ったメタナイトを鼻で笑いながら問う。
「で、あの食いしん坊はどこにいるんだ」
全く気が乗らないが今回もあいつが如何にかしたのだろう。一応声を掛けてやるか、そんな思いで問うた言葉は目当ての応えに辿り着くことなく消えていった。
「カービィか
…
、彼はまだ戻ってきてはいない」
「──は?」
振り返り先程まで乗っていたワープスターを見やる。それは燦々と輝きながら広場の真ん中に鎮座し続けていた。
何処にも行かず飛んでいかない。ただそこで輝き続けていた。
くたくたでヘロヘロな体に鞭打ってこの町の中を探し歩く。ワープスターがこの場所にいるのだから、その主人でもあるあいつが近くにいるはずだ。根拠も確証もない自信がぶっ倒れる寸前の体を突き動かす。
町中隈なく探してもあいつの姿はどこにもなかった。
「ワープスターが主を残し此処に居続けるわけがない。いずれ戻ってくるだろう」
「んなこたぁ、分かってる」
後ろから掛けられた気遣いの言葉。生憎重く鈍くなってしまった心を動かすには些か力が足らなかった。
言いようのない憤りが肩を震わせる。だが、このままじゃいけない。また部下たちに余計な不安を抱かせてしまう。
大きなため息を吐き心を落ち着かせる。今度は一人じゃない、まったくもって癪だが腕の立つメタナイトもいる。ワープスターも何処かに飛んで行かず町に留まり続けている。
(飛ばされた当初と比べれば随分マシなもんだ)
一先ず今は体調回復に勤しむか。意識を向けた途端、体のあちこちが痛み出す。控えめにワドルディを呼べば準備は出来ておりますと言わんばかりに医務室に連れて行かれた。ほんとにこの町は以前より栄えてんな、などと包帯ぐるぐる巻きにされながら独り言ちるのも仕方ないだろ。
調子が戻ってきてからこの世界での出来事をメタナイトから聞いた。大方の予想通り此処はポップスターとは別の星で、あの空の裂け目からこちらに飛ばされてきたらしい。ワドルディたちを攫っていたビースト軍団の内部事情は悲しいかな洗脳されていた記憶が薄っすら残っているお陰で説明を聞かずとも分かった。
裏にいた親玉をあいつがぶっ飛ばしてくれたお陰かビースト軍団がこの町を襲撃してくることはないものの油断は出来ん。
あとは不甲斐ないが洗脳されていた時に捕まえてしまったエフィリンというやつの安否も気になる。少なからずあいつらのことを手助けしてくれていたのだから悪いやつじゃない、と思いたい。
(まあ、アレが例外だっただけかもしれんが)
以前の思い出をふるり頭を振るい吹き飛ばし視線を手元に戻した。
ひょっこりあいつが戻ってきた時に何か役に立てればとハンマーの設計図を書きながら物思いに耽る。
メタナイトは既に自分のソードを渡したようだ。これも特に深く考えず受け取るあいつの間抜けに緩んだ顔が浮かぶ。
ワドルディたちが用意してくれた部屋でひとり設計図とにらみ合っていれば、にわかに外が騒がしくなる。わにゃわにゃ騒がしい。扉を開け顔を出せば何やら広場にワドルディたちが集まっていた。
ワープスターが鎮座する広場の真ん中、鮮やかなエメラルドグリーンの小さな何かが楽し気にふわふわ浮いている。
見間違えるはずがない。アレは確かに自分の手で檻に捉えたものだ。
足早に広場に駆け寄るや、それは気付くなり空をふわりと舞いこちらを出迎える。
「あ! 君も無事でよかった~! えっと、あらためてはじめまして! ボクはエフィリンっていうんだ」
よろしくと無警戒に笑顔で挨拶する姿にあいつの影がチラつくのを無理やり押し込んだ。
なぜなら見知った姿のやつがゆっくり瞬きをしながら軽く会釈していたからだ。
しなやかな体、軽やかな動きで敵を翻弄しながら攻撃するのに長けた、キャロラインに思わずハンマーを取り出す。
「ま、まって! ボクたちは争う意思なんてないんだ!」
「お前さんは分かるが、そっちには色々と思う節があるんでな」
「 レオンガルフを操っていたエフィリスがいなくなって、彼女たちビースト軍団はもう前みたいに君たちと敵対する理由はなくなったんだ! ううん、そもそもみんなレオンガルフを信じてやってきてただけで
…
、とにかく争う意思はないから、お願いどうか話を聞いて!」
「
……
町にいるやつらに危害を加えないってならいいぜ」
取り出したハンマーを懐に戻せば、感謝の意を表しているのか静かに頭を下げた。
もっとも敵意があるならコロシアムのところで町を見渡しているメタナイトがとっくに動いていただろうしな。
エフィリンの話によると如何やらふたつの星の衝突を避けるため時空の裂け目を自分の身を顧みず閉じ、意識を無くし倒れていたところをキャロラインに助けてもらったらしい。
体力が戻るまで随分と彼女の世話になり、この町に訪れたのもついさっきだという。
そして、以前のような力は無いがポップスターとこの世界を繋ぐくらいには力が回復したからこの町に来たのだと。
何故この町にわざわざ来るのか分からん。それだけ相手にとって思い出深いものなのかという疑問は次の一言で吹っ飛んだ。
「ボクが迎えに行くから、どうかみんなでカービィたちを出迎えてほしいんだ」
あとから知ったが、ふたつの星が近付きすぎた際あいつとバンダナのふたりはポップスターに戻ったというじゃねえか。
そりゃあ待てど暮らせど一向に来ないわけだ。まあ、もっともエフィリンの空間移動能力が使えなくとも、もう少し体力が回復次第ポップスターに戻る手段を探しに行っていたところだ。
「じゃあ行ってきます」
星型に割けた時空の歪みの先、見慣れた風景が広がる。帰りたい気持ちがないわけじゃないが、あいつがこっちに来るっていうならまだこの世界にいてやる。
あいつがオレさまの知らない風景を場所をこの世界のことたんまり聞き出して、それから──。
ただいま!
堪能しつくそうぜ、なあカービィ。
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