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豆炭々炬燵
7662文字
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The Night
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【The Night】結婚とは人生の墓場である
嬢と氏の時系列バラバラの単発小話三話セット
大体氏の口調性格が迷子&一部モブが出張ってます御注意
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◇うたた寝読書
これまでの生活リズムは太陽に合わせ過ごしてきた。大袈裟に言えば何処かの国の歌みたいに朝日の後に起きて夕日の前には寝る昼行性らしい暮しをしていた。
だが人間の世界に別れを告げた途端、月が太陽の代わりになって一日の生活リズムが前と逆転した。見事な夜行性の夜行性たる暮し。しかも、人間の頃にはごく当たり前の存在だった太陽が命の脅かすおまけつき。
(
……
結構陽が昇ってきた)
ふと膝上の本から視線を緞帳の隙間から漏れる陽の光に向け、読みかけの場所に栞を挟み本を閉じ傍のテーブルに置いた。
読書するに差当り手元を照らす光源は合っても無くても別に大したことはない。されど、薄暗い室内で読むより窓辺から差し込む月明かりの中読む物語は格別で、月明かり星明りが無い夜でも最近プレゼントされた夜光虫のランプを傍に置き読書に耽るのが日課になっていた。
そして、夜更かしならぬ朝更かしをする時は決まって月が沈んだのを見計らい早めに緞帳を閉める。でなければ此方から一方的に別れを告げた太陽が会いに来るからだ。
夜光虫が放つ仄かで冷たい灯りと違い、力強く暖かみに満ちている陽の光は夜の世界に生きる者達を忌み嫌う。
つい以前の癖で思わず開いた隙間を閉じようと手を伸ばして息を飲んだ。指先がすれすれの位置で止まり、その先から室内に差し込む陽の眩さに目を眇め下唇を噛む。
やにわ様々な感情が胸中混ざり合ったが、陽の光に当たらぬよう緞帳を掴みサッと閉めた。陽の光が消え夜光虫のランプの周りだけが杳として照らし出されている。
「馬鹿馬鹿しい」
踵を返して元いた場所に腰を下ろした。読み途中だった本を再び膝上に置き本の世界へ意識を沈めた。脳裏を過る懐かしい日々から目を背けるように本の世界にのめり込んでいった。
どのくらい時間が経ったか。完全に日光をシャットアウトしているお陰でおおよその予測も出来ない。未だ慣れ切ってない昼夜逆転の生活は時間間隔を大いに麻痺らせる。
まだまだ沢山読み続けたいが、そろそろピークが近い。小さくでた欠伸を噛み殺し、丁度キリ良く読み終えた本を積み重ねられた本の塔の一番上に置いた。
「続きは寝てからね」
腰を上げ静々歩き出す。目的地は無駄に寝心地の良いベッド。吸血鬼のお約束として棺桶もあったが断固拒否した結果、王族や貴族が愛用するベッドを用意された。如何やら特注品のようでやたら冥界で~、人気の~、寝る者に合わせた~などと自慢げに語っていたが右から左に受け流していた。
徐々に思考能力が低下する脳内でベッドが届いた時の記憶が朧げに再生されては遠ざかり、ぷっつり切れたのと同時にベッドにダイブした。ダイブした衝撃で数回跳ねる体。跳ねる間隔が狭くなり揺れが収まると、じわじわベッドの中心へ潜り込もうと動き出す。暫しもぞもぞ動いて寝心地の良い態勢を探し、見付けると体の緊張が更に解れていった。鼻腔を擽る香りがいつもと違うのが少しばかり気になるものの、後方に引っ張られる意識を保ち続けるのは容易な事ではない。
ベッドにダイブしてから寝る間で目を一度も開けず眠りについたMissiはすぐ間近、目と鼻の先ほどの近くにいるDukeの存在に気付けなかったのは最大の失態であった。と後に彼女は語る。
始めは良くある純粋な悪戯だった。
ベッドに隠れターゲットが来た瞬間、わっと吃驚させる。あと最近寝不足気味なのでちゃんと寝ているかの確認も含めての事だった。
さて、ベッドに待ち構えていざスタンバイ。
そしたら如何だ。彼女自ら此方の懐に潜り込んでくるではないか。これは夢か?目を瞑っているお陰で警戒せず擦り寄った上に安堵に満ちた息が口元から漏れている。まだあどけなさが残る寝顔、規則正しく上下するふくよかな胸の膨らみが直球で下半身を刺激する。
寝始めた相手を起こしてはならない。如何にか小さく呻き耐えた、がっ!ふわりシーツに広がる宵色の髪が情欲を掻き立てる。いっそこのまま起こして事を運ぼう。そんな疚しい考えが脳内で生まれ間髪入れず実行に移した。
しかし、幸か不幸か彼女は全く起きない。肩を掴み揺れ動かしても全く起きない。完全に寝入っている。かなり残念ではあるが流石に寝ている者と事を致す性分は持ち合わせていない。
そんな事をしては彼女を乏しめてしまう。此処は紳士然となければならない。
物音一つ立てずベッドから抜け出し、ズレた上掛けを掛け直してから深い眠りに落ちている彼女の頭を優しく撫でベッドから離れた。
ささやかな期待を込め扉の隙間からチラリ中を覗いて起きたか確認。1ミリも変わってない。
苦笑を漏らしながら扉を閉めその場を後にした。
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