【ライコト】その先

ライバルくんがコトネちゃんに悶々するお話。



決していい出会いだったとは言えない、されど自分にとって一番初めのポケモンが放った鋭い一撃がコトネの最後のポケモンを沈めたのには変わりない。
何回、何十回目のバトルだろうか。夢にまで見た光景を目の当たりにして言葉が出てこなかった。
――勝った?」
信じられなくて零れた言葉に傷付きながらも最後の一撃を放ったポケモンが振り返り嬉しそうに頷く。そして、その奥にいるコトネが倒れたポケモンに声を掛けモンスターボールに戻す姿を眺めていれば彼女が此方に近づいてきた。
「ライバルくん、おめでと!負けちゃったのちょっぴり悔しいね。でも、おめでとライバルくん!」
コトネの言葉を少しずつ理解していく内に込み上がる感情が抑えきれず爆発した。
「勝った、勝った、勝った勝った勝った!コトネに俺は勝ったんだ!」
沸き上がる喜びに任せ傷付きながらも嬉しそうに笑ってくれるパートナーに抱き付いた。こんなにボロボロになってよく頑張ってくれた。感謝の気持ちしかない。何回も礼を言いボールに戻して漸く気分も落ち着いてきた。



それで これからどうするんだ?



晴れ渡っていた心が徐々に曇りだす。しばしば、バトルの最中や修行の時に聞こえていた雑念染みた声。それを今まで無視し続け、今も無視しようとしているのに何故か出来ない。意識しないようにする度、その声は声量を増し脳内を埋め尽くす。聞かなかったフリ、聞こえないフリはもう出来ない。
「どうしたのライバルくん、具合でも悪いの?顔色よくないよ?」
すぐ近くから聞こえる彼女の声すら霞んで聞こえる。下手すれば視界も不明瞭だ。
その後、どうやってポケモンリーグから立ち去ったのか覚えていない。コトネに何か言ったのか、はたまた何も言わずに立ち去ったのかさえも。