豆炭々炬燵
3732文字
Public ONE PIECE
 

不可視のつながり

夢の中じゃ普通に逢えるし見た記憶もばっちり覚えているコアラと,夢の中以外でも普通に彼女の傍にいて彼女や他の者(一部例外者あり)には見えない最早幽波紋化してるタイガーさんの話。





「(ありゃ誰だ?)」
壁の陰からこっそりコアラの様子を窺う影一つ。
「(他の奴らには見えていないのか?)」
帽子のつばを指で押し上げながら呟くサボが訝しげにコアラの後ろを付いて歩く――、見上げるほど大きな魚人を目で追った。海賊団の船長らしき風貌と風格を漂わす厳つい見た目に反し、コアラを見る眼差しの穏やかさは父が娘を見る眼差しと何ら変わらない。
一先ず悪意や敵意はないようだ。
「(かと言っていざ被害が及ぶもんなら如何対処すればいいのやら)」
いくら幅広い層を兼ね揃えた革命軍でも幽霊退治専門の同志はいない。遭遇したら幽霊も裸足で逃げ出す濃ゆい同志ならいるが。
さて、本人に伝えるべきかしないべきかとサボが思索していれば――不意に例の魚人と目が合った。咄嗟に身構える。
しかし、魚人はサボが此方を認識しているのを知るや否や振り返り深々と頭を垂れた。まるで親のする振る舞いに面を食らい、思わずサボも会釈を返せば顔を上げた魚人の笑みは深くなる。

「(ま、悪い奴じゃないのは確かか)」
踵を返しコアラの後を再び追う魚人をサボは無言で見送った。