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納豆
2022-01-28 18:41:42
6076文字
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揺籠はいずれ墓場となる・番外編の番外編
ソさんがトレーナーとして戻ってくるお話
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バトルタワー挑戦者の管理は基本的には手持ち及びトレーナー名のみの確認となっている。
ランクが上がれば誘導、それも機械上のもので直接案内には出向かない。
あくまでもサポート、円滑にバトルを行う環境整備が我々の職務である。
本日もまた滞りなく、我らがガラルが更なる飛躍へ向かうため、適切な処理に励むばかり。
そう、あくまでもこれは職務であって。
廊下を走っていた。
伝令を頼まれたのだ。
先輩も自分も、後輩たちもだが、我々はガラルの一大興行たるバトルを愛してやまない。
トレーナーとパートナーが繰り広げる技の応酬の美しさを、野蛮さを、我々は広く多くに知ってもらいたい。
だから、この仕事を選んだ。
沢山の人が挑戦できる場を支える立場になりたかったのだ。
つまるところ、皆、バトルフリークと言っても差し支えはなく、ジムチャレンジのシーズンなど仕事終わりの飲み会は捗って仕方ない。
我々は、バトルタワーのスタッフであり、同時にリーグのファンなのだ。
生まれてこの方、親の世代から、リーグを観戦し参戦もしてきた。
同年代には、元チャンピオン、現在の我らがトップオーナーがいた。
その年の決勝戦、自分は元チャンピオンを応援はしていなかった。
ファンだった、だけど、彼を応援することはなかった。
ならば誰を応援したか、それは彼がライバルと認めた少女。
彼女の賢い戦略と目まぐるしく変化させられる盤上、敵わない強敵を前に、それでも尚、パートナーたちの可能性を無限大にも引き出そうと立ち向かう姿に、勇気をもらった。
勝てないだろう、誰もが思った。
けれど、誰もが思ったことだろう。
負けるな、そうとばかりに誰もが思った。
頑張れ、まだ負けてない、まだやれる、勝てないかもしれない、でもキミを応援してるから、頑張れソニア。
あの決勝戦の声援は、実のところ半分以上は劣勢強いられた彼女に向けられていたことはガラルの多くが知ることだ。
本人にこの声援が届いていたかはわからない。
彼女はその年の決勝戦を最後に、バトルの舞台から消えた。
代わりに、彼女は偉大な博士となった。
ポケモンを愛する姿勢が変わらない。
そんな彼女をまた、多くが応援した事だろう。
そう、あの決勝戦はきっと彼女の最後だった。
コートという戦場にある、最後の瞬間だった、そのはずだった。
走る、走る、走る。
駆け抜ける廊下の先、ノックも忘れて飛び込んだのは執務室。
いつもならば挑戦者の昇級戦は内線で伝えるものだ。
けれど、そんなもの待っていられない。
確実にオーナーの予定を抑えてこい。
任された伝令を頭の中で巡らせる。
本日の担当者は自分と先輩、それからまだ研修中の新人三人で、その三人で確認した挑戦者の登録名と登録パーティに目を剥いた。
間違うわけもない。
あの決勝戦を忘れていないものならば、誰も彼もが間違えるわけがないのだ。
小気味良くもぐんぐん上り詰めていく戦績に、三人で歓声を上げたのは職務放棄だったかもしれない。
それでも嬉しくて仕方なかったのだ。
ドアを開いた先、驚いた様子のオーナーがいる。
自分は肩で息をしながらつかつかオーナーのデスクへ向かった。
オーナーを後悔させたくない、それは勿論、だけれどやはり実現を待ち望んでいた。
何十年も前の決勝戦、あの続きが叶うのならば、それは奇跡に等しいだろう。
自分は思わず笑顔にも、オーナーに交渉するのだ。
「オーナー、後悔はさせません。ですので、何を置いてもすぐにこちらへ来てください」
完全非公開、誰の目にも止まらない。
けれども、閉じられた夢の続きを描きたい。
自分は見れないとしても、動かずにはいられない。
あの時確かに輝いていた、最高のライバルだった少年少女の夢の続きを、ただ、描く手伝いがしたかったのだ。
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