無窓居室
2023-05-31 04:44:57
3925文字
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BJ二次創作詰め合わせ

10年以上前に書いていたらしいBJの二次創作BLが発掘されました。
カップリングはBJ×キリコ。
そもそも姉がハマっていて、『Antonius』は姉の友人に差し上げたものなのですが時効かなと思ってここに再掲します。
『Angel Of Death』は話の大半が欠損していたので、書き直して前半だけ載せました。



Det sjunde inseglet


筋の浮いた首からスカーフを抜き取る、その仕草が良いと思ったので、両手を縛った。
先程まで身に付けていたベージュ色のそれで、鍵のかかったクローゼットの取手に後ろ手を括り付ける。怒る切っ掛けを見つけられずにキリコは笑った。
苦虫を噛み潰したように片頬を上げ、明らかに怯んだ目を合わせない。彼がシャワーを浴びている数分のうちに、勝負は決していたことになる。
「なかなかいかした趣向だろう」
「先生がこんな趣味とはな」
首尾よく閃きを実現したBJは上機嫌だ。せめてもの意地で、キリコは出来るだけ嫌味たらしく応じた。手を伸ばすと無駄な抵抗で乾ききらない髪が乱れる。
「言ってなかったかい、わたしは根っからのサディストでね」
BJが告白する性癖は毎回違う。そのどれもがろくでもない。要はどのような触れ合い方をしても、2人の根本は変わらないのだ。キリコが今度は本当に、少し笑う。
雑草の花をすり潰すような、呵責の無い指が首筋に触れた。

辱めで彼を汚せないことをBJはよく知っている。
羽織っただけのシャツは容易くはだける。彫りつけたような鎖骨から、肋骨の形を視認できる脇腹へ辿ると、キリコはもう抗わなかった。無防備にしかならない体で、ただ呼吸の音をひそめている。
肌の上を指が擦るたび、閉じられた片目蓋が痙攣するのが、白い喉が露になってゆくのが、どれほど露骨かにも頓着しない。
キリコの、この際限の無い受け入れ方は諦観だ。己の中心となるべき何かに執着が無い。
彼自身にすら見捨てられた彼の本分を、他の誰かが掴める筈も無いのなら、キリコの寛容さは限りなく拒絶に近い。
医療用の滅菌ガーゼのような白さだ、と貧血質な肌の色とは関係なくBJは思う。
救うことと復讐することの、矛盾する血膿の中へ自ら沈んだBJを、今さら誰も汚せも堕とせもしないのとは逆に、キリコもまた侵されざる者なのだ。
省みられない彼の彼たる部分を暴きたいと思うときもある。しかしそれは恐らくキリコの本質を理解することとは矛盾する。一度血の付いたガーゼが、もはや医療品の定義を受け付けないのに似ている。

思いの外、早く掌に滲む汗にBJは舌打ちした。
何と解釈したのかキリコが目を開ける。不健全に弾む吐気の中から揶揄する。
「まだ、かかるのか、ずいぶん手際が悪いじゃないか」
胸の先を強く掻いてやると息を呑んだ。手首を結わえ付けた金具が軋み鳴く。まるで拘束の一部のような、型の古いジーンズに押し込められた下肢が床を蹴った。
「がっつきなさんな、持たないぜ」
彼らはこれで貶め合っている訳では無い。どんな手段での抱き合い方も、2人の在り方を根本から変えるには至らない。
「お前……くそ」
「まだだ、わたしに何かが残るまで、わたしがお前さんに何かを刻めたと思うまで……針の先ほどの傷でもいい」
堕落しないが故に、決定的なものを欠く2人は焦れるような愛撫に似ていた。

Det sjunde inseglet (END)