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吾妻
2023-05-19 18:48:06
16139文字
Public
アークナイツ
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FIRST OPERATION
■女ドクター、俺設定、ドクターの髪の色と長さ程度の容姿描写を含みます。ロドスに入職直後くらいで、まだドクターの顔を見たことのなかったテキーラくんが初めて直接指揮を受ける話です。甘さはなく、捏造が激しい。多分テキーラくん、頭のいい人がめちゃくちゃ好きだと思う。
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23:15 P.M.
ロドス本艦 作戦室
「ドクター、聞こえるか」
作戦室のモニター前に立ち、ケルシーは白衣のポケットから抜き出した手を胸の前で組んだ。
画面には複数の赤い点が不吉な光を放っている。
《聞こえている》
聞き慣れた声が返る。
その声に焦りや恐怖、逼迫した気配が感じられないことに、ケルシーはひとまず短く息をついた。
「既にPRTSから警告が飛んだと思うが、君たちの進路上に複数の生命反応を検知した。こんな時刻に荒野をうろついている連中だ、物見遊山の観光客などではあるまい。大方、この付近を根城にしているギャングだろう」
《生命反応は十七。多くはないが、少なくもないな》
「夜とはいえ、付近は見晴らしのいい荒野だ。そして不幸なことに、彼らは君たちとロドス本艦の間に展開している。車があるとはいえ、突っ切ってくるのは些か難易度が高いと言えるだろう。ブレイズの手が空いている。こちらから迎えをやるから、君たちはその場で待機を
――
」
《駄目だ。私たちの現在位置とロドス本艦の位置関係を考えれば、救援の到着まで最短でも三十分以上かかる。それでは間に合わない》
「
……
何か問題が起こっているようだな」
《今日合流予定だった患者が襲われている。見殺しにはできない》
ケルシーは目を閉じ、嘆息する。本日収容するはずだった患者が行方をくらました件に関しては、既にアーミヤから報告を受けていた。
再び目を開いて、モニター上で点滅する光点を見つめる。このうちのどれがその患者とトランスポーターなのか、ここからでは知る術もない。
「
……
ではどうする、ドクター? 君たちの現状戦力は決して潤沢とは言えまい。対象の無力化だけならばさほど難しくもないだろうが、救出対象がいれば話は別だ。この程度は今更君に言うことでもないが」
《民間人の救助に注力し、完遂後この場を離脱する》
「他に手立てもない、か。やむを得まい。通信回線は開いたままにしておいてくれ。君の指揮だ、万が一はないとは思うが、状況が変化したらすぐに報告を」
《わかった》
ドクターの声が遠のき、同行しているオペレーターたちに指示を飛ばす気配が伝わってきた。
(『見殺しにはできない』
……
か。今の君ならば、そう言うだろうな)
チェルノボーグから帰還したドクターは、そういうものとして成立している。日々の振る舞いからは感情が読み取りづらく、常に泰然として見えるものの、実際には誰よりも勤勉で、不条理に憤り、生命を尊ぶ善性を有する。
(君はいつまでそのままでいられるのか。それともいつか、消えてしまうのだろうか)
決して少なくない犠牲を払って奪還した指揮官は、かつての記憶を失っていた。
ケルシーが心の底から憎み、同じくらい必要とした『ドクター』は消えてしまった。
その事実を知ったとき、ケルシーは深く失望した。また裏切られた、と思った。だが、今はどうだろう。
かつての君を取り戻したいと願っているのか、それとも。
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