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七海ななみ
2026-07-20 10:42:18
3715文字
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Re:verse V/F 3rd
ルカキリ。現ドルパロになります。再びアイドルになる夢を追いかけるファルカ(45)と、養成所時代からファルカの限界オタクであるフリンズ(33)の話。二人とも元俳優です。ファルカが恋愛ドラマの主演になる話。モブ女優との恋愛撮影描写はありますが、モブ女優の描写はほぼないです。
Re:verse V/F(リバース)のファルカが、待望の連続ドラマ『おじさんに恋をする』の主演に大決定!
ドラマの世界観を華やかに彩る主題歌、3rdSingle『Secret Game』も本日より好評発売中!
執筆中に脳内でイメージしていた選曲リストはこちら。
あくまで本作における作者個人の妄想・解釈に基づいたものです。
https://youtube.com/playlist?list=PLd5E4egltyBM&si=wsRO5iMX2-yCDr2S
pixivのシリーズまとめはこちら
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=28307266
感想、マロリク、アイドルのイメソンになりそうな曲を募集しております。採用するかは断言できませんが、よろしければ知識を授けて頂けると幸いです。
https://marshmallow-qa.com/zehlnw53ydg00nd?t=G4bsWU&utm_medium=url_text&utm_source=promotion
前話はこちら
2nd |
https://privatter.me/page/6a59f99b7b493
一話目はこちら
1st |
https://privatter.me/page/6a572c1d0bd67
「恋愛ドラマの主演?! 俺が?!」
「『おじさんに恋をする』
…
、あんたにぴったりな役じゃないか」
ネフェル所長に呼び出されたと思ったら、まさかのドラマ主演の仕事で驚いた。主演なんて、俳優時代でも滅多に貰わなかったのに。
しかも恋愛ドラマか。初めてだな。今までは不良とか、やくざとか、軍人とか、父親とかそういうゴツイ男にぴったりな役ばかりだった。
概要を読むと、職場の上司であるおじさんに恋をしてしまう、というものだった。
…
まあ、おじさんだし、コンセプトには合っているのだろう。主題歌もRe:verse V/Fで担当することになったし、久々の俳優業だ。全力を出そう。
…
そういえば、フリンズは恋愛ドラマ、まあまあ出てたよな。せっかく仲良くなれたし、色々と聞いてみるか。
━━━━━━━
「ファルカさんが、恋愛ドラマの主役
…
?!」
恋愛ドラマの主役なんて初めてではないか! ファンとしてようやくそういう役を貰えた事に歓喜をしてしまう。つまり、口説くファルカさんを体験できるのか。ガチ恋勢が増えてしまうな
…
。
「で、先に主題歌をレコーディングすることになってな。今回は俺がメインになるらしい」
「それは楽しみですね!」
「あとさ、フリンズは恋愛ドラマって出演したことあるだろ? なんかコツとかあるのか
…
?」
「ファルカさんなら大丈夫ですよ。そのまま、役にのめり込んで口説いてください」
素で口説いてるような人だから問題など一切ない。主演に抜擢する人はよくわかってる。ファルカさんの恋愛ドラマ主演は僕が一番望んでいたことだ。
ファルカさんはそのままでいいことに疑問を浮かべていたが、余計な情報を入れたくない。素のままで口説く姿が見たいな
…
。
あと撮影シーン見学したい。相棒なんだから、撮影シーンを見ても問題はないはずだ。イルーガに確認をしないと
…
。
━━━━━━━━
撮影の前にレコーディングが始まる事になり、3rdSingleになる『Secret Game』の曲を聞いたが、なんだこの曲は!! JAZZ風味な曲調がファルカさんの色気を強調している!! 作曲者にノーベル賞をあげたい!!
やばい、この色気を振り撒いたファルカさんとステージに立って、気絶しないようにするの、難しい。今から耐性をつけないと本当に不味い。
…
できるのか?
あ゛あ゛あ゛っ!! そのウインクは死者が出る!! 僕も死ぬ!!
「
………
ヒュー、
…
ヒュー」
「フリンズ、なんか過呼吸になってないか?」
「
……
ゲホッ、
……
だ、大丈夫です。生きます」
「
…
ならいいんだが。にしてもこんなアダルティな曲
…
、俺、浮かないか
…
?」
「
…
しょうき、ですか?」
やっぱり思っていたが、ファルカさんは自分の顔の良さを認識できていない! 格好いいし可愛い面もあるなんて最強なのに自覚をしていない!! このままだとガチ恋勢にお持ち帰りされてしまう! 僕が守らないと!!
「凄く似合っていてファルカさん以外に似合う人はいません。自信を持ってください」
「
…
そうか?」
「
……
ぐふっ!
……
カヒュッ
…
」
「フ、フリンズ?!」
「
………
だいじょうぶです」
不安げに微笑む姿で心臓を貫かれてしまった。死ぬところだった。致命傷になったが、ファルカさんに心配される訳にはいかない
…
!
━━━━━━━━
よし、ジャブで高級菓子を用意した。これなら問題ないだろう。
ファルカさんも驚いていたが喜んでくれた。推しに課金ができるって素晴らしい。
これから撮影があるらしいから、じっくりと網膜に焼き付けないと。
ファルカさんは、主人公役の女優を、壁ドンしていた。
「
…
俺に内緒でどこに行くんだ?」
熱い視線で、相手の女性を見つめている。ずくんっ、と何かが痛んだ。
ファルカさんの手が、髪に触れている。あっ、と声を出そうとしたら、女性がファルカさんの手を振り払って逃げ出した。
…
そういう、シーン、だったのか。
心臓が、嫌な音を立ててる。嫌な予感が、した。
━━━━━━━
あんなに楽しみだったのに、撮影の見学は、何故か行きたくなくなった。あの光景が、頭から離れない。思い出す度に心臓が嫌な音をたてるのだ。
でも、今日は久々にファルカさんと一緒に仕事だ。こんな事を考えている場合ではない。
今日の仕事はバラエティー番組だ。もちろん、宣伝で『おじさんに恋をする』の話も出てくる。
「そういえば撮影の裏話とか、何かありますか?」
「そうですね
…
。最終話でキスシーンがあるのですが、初めてやるから、上手くできるか緊張してしまって
…
」
…
キス、シーン?
会場は盛り上がっていた。恋愛ドラマなら、キスシーンは、もちろんあるだろう。僕もやった事は、ある。
…
なのに、今にも声をあげたくなってしまう。カメラが回っているのに、倒れそうになる。
ここで、倒れたら、武道館の夢が、不利になるかもしれない。足を引っ張る訳にはいかない! 歯を食い縛る。
なんとか撮影を終えることができた。安堵の息を吐いていると、ファルカさんに話しかけられる。
「久しぶりだな、フリンズ。どうだ、これから飲みにでも」
「
………
」
「フリンズ?」
「えっ、ああ
…
、すみません。行きます」
つい、ファルカさんの唇を見つめてしまった。
…
何を考えているんだ、僕は。
━━━━━━━
「フリンズ、さっき、何かあったか?」
「特に何もないですよ」
まるで何もなかったかのように、にこりと微笑む。
…
そういえば、今は変な感じがしないな。
ファルカさんは怪訝そうにしながらも、触れないでくれた。
ファルカさんが何度も話しかけてくれたが、僕は上の空になってしまった。
会話が少ないせいか、普段よりもハイペースで飲む。ファルカさんも同じペースで飲んでいき、どんどん空の缶や空き瓶が増えていく。
「
………
ぐがー
……
ぐぉー
……
」
気がついた時には、ファルカさんは酔い潰れていた。頭を撫でると、ゴワゴワとした髪の毛が、心地よかった。
「
……………
」
ファルカさんの唇が、視界に入る。
『最終話でキスシーンがあるのですが、初めてやるから、上手くできるか緊張してしまって
…
』
キスシーン、あるのか。ファルカさんの、初めてのキスシーン。あの女優と、初めてのキスシーンをするのか
…
。
…
いや、だな。
顔を近づけても起きる様子はない。
…
これは、他意はない。ただの、練習、だ。
ちゅ、と口が触れる。
「
…………
ぇっ」
今、僕は何をした?
「
…………
んぐっ
…
」
「
………
っ!!」
ファルカさんが身動きしたので慌てて離れるが、気持ち良さそうにイビキをかいていた。
コツン、と背中に何か当たる。距離を取りすぎて、壁に寄りかかっていた。そのまま、床に座り込む。
頭を抱え込む。ファルカさんにキスをしてしまった。ファンとして、一番してはいけないことをしてしまった。
…
いや、違う。僕は、ずっと、
………
ファルカさんが、好きだったんだ。
アイドルなのに、相棒なのに、
………
同性、なのに。
今まで、恋をした役を演じた事もある。恋をしたら世界が輝いて見える、そんな役もやってきた。
…
でも、そんな事はなかった。これは、自覚をしてはいけない恋だった。
苦しくて、ファルカさんの顔が見れない。背を向けて、床の上で横になる。
…
初めての飲み会も、こんな風に床に寝ていたのに、あの時と全然違う気持ちだ。何も見たくなくて、目を閉じた。
━━━━━━━
今回で最終話の撮影か
…
。いよいよキスシーンか。女優の髪を撫でる。
………
ん?
何か、違和感がある。
…
何でだ?
…
いや、今は撮影に集中しろ。
なんとか撮影を終える。周りを見回すと、スタッフの中にフリンズがいた。
…
なんか、様子が可笑しいな。
「よう、フリンズ。来てくれたんだな」
「ファルカさん、撮影、お疲れ様でした。
………
キス、シーン、
………
おじょうず、でした」
「そうか? キスのフリだから出来ているか不安だったから、上手く出来ていたならよかった」
「
…………
キスの、フリ?」
「ああ。ネフェル所長が今はアイドルだから、本当にキスしてたら炎上する、と配慮してくれてな」
「
…………
」
「
…
フリンズ?」
フリンズの顔色が悪い。今にも倒れそうだ。
「フリンズ、顔色が悪い。今すぐ帰って休め」
「
………
ええ。すみません、これで、
…
しつれい、します」
見送りたいのは山々だが、仕事がまだ残っている。フリンズの背中を見ていると、手入れされた長髪が揺れていた。
…
あ、さっきの違和感は、あの女優の髪の毛がフリンズよりも短かったからか。
確かに、仲良くなってスキンシップも増えてきた。フリンズの髪の毛はさらさらしてて、触りたいと思っていたんだ。
…
まあ、同性だからそんな風に言った事はなかったが。
名前を呼ばれる。
…
フリンズの事は気がかりだが、そろそろ撮影に戻らないとな。
撮影は無事に終わり、打ち上げをしても、脳裏からフリンズの姿が離れなかった。
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