七海ななみ
2026-07-15 15:43:41
3475文字
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Re:verse V/F 1st

ルカキリ。現ドルパロになります。アイドルになる夢を諦めたファルカと、ユニットを組むことになったフリンズの話。二人とも元俳優です。

原神プロ所属の俳優、ファルカ(45)とフリンズ(33)がアイドルユニット『Re:verse V/F(リバース)』としてのデビューを発表した。1st Single『Starting Over』好評発売中!初ライブ抽選券と握手券がついてくる!

やってみたかったアイドルパロ。プリズムの煌めきを浴びたら出来ました。ちなみにアイドルは全然知らないです。アイドルに詳しいリア友にご協力をして頂きました。ありがとトッモ。

​執筆中に脳内でイメージしていた選曲リストはこちら。
あくまで本作における作者個人の妄想・解釈に基づいたものです。
https://youtube.com/playlist?list=PLd5E4egltyBM&si=wsRO5iMX2-yCDr2S

pixivのシリーズまとめはこちら
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=28307266

感想、マロリク、アイドルのイメソンになりそうな曲を募集しております。採用するかは断言できませんが、よろしければ知識を授けて頂けると幸いです。
https://marshmallow-qa.com/zehlnw53ydg00nd?t=G4bsWU&utm_medium=url_text&utm_source=promotion

この世界に入ったのは、アイドルになることを夢見ていたからだ。
確かに、かつてアイドルとして憧れていた時期もあった。だけど、数十年経てば、夢は消えていったのだ。
俺ももう、四十五歳になった。アイドルなんてやる歳でもない。アイドルになれず、俳優に路線変更してからそこそこ売れて、今では父親役として抜擢されることも増えてきた。
そんな俺が、今さらアイドルとしてデビューするように言われた。本当に急に。

「いやいや、俺みたいなおっさんがアイドルなんて、不向きにも程があるだろ」
「悪いけど、これは決定事項さ。おっさんだから、なんて言い訳は通用しないよ」

ネフェル所長に睨まれて、言葉が詰まる。隣に座る男を見る。
長髪に整った顔立ちをしているこの男は、俺とユニットを組むことになった人気俳優のフリンズだ。
確かに、フリンズならアイドルとしてもやっていけるだろう。なんで、俺みたいなおっさんとユニット組んでるんだよ
けど、事務所での決定事項に反対するわけにはいかない。叩かれなきゃいいんだが

「ユニット名はこれさ」

机に置かれた紙には『Re:verse V/F』と書かれていた。

なんて読むんだ、これ? リバース、ブイエフ、か?」
「リバースだよ。そっちはあんた達のイニシャルさ。俳優からアイドルになるんだから、丁度いい名前だろ?」
………

なんで読まないんだ。アイドルのセンスがよくわからない。名前負けしてないか、これ。
不安になる俺を他所に、フリンズが俺に向かってお辞儀をした。

「ファルカ、さん。よろしく、お願い、します」
ああ。こんなおっさんですまんな」

フリンズとは、一緒に仕事をしたことのある仲だが、どうも俺に対してよそよそしい。嫌われているのか、俺が怖いのかわからんが、本当にこんなのでアイドルをやれるのか、不安になる。心の中でため息を吐いた。


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身体は鍛えている方だが、踊りとはこんなに疲れるものだったか。

「全然だめっ! もっとリズムに乗って乗って!」
リズム、なぁ

フリンズの方を見ると、俺より上手く踊れている。基礎がしっかりと出来ているようだ。
ダンスレッスンなんて、養成所にいた時以来だな。あの時はアイドルになりたくて必死で、夜遅くまで独りで練習もしていた。
その夢は、叶うことなど、なかったが。

………

目を閉じて、昔の記憶を掘り起こす。アイドルになれなかったが、今の俺は俳優だ。俺がアイドルデビューをする、よりも“アイドルをする役”として考えた方がいいかもしれない。
リズムを感じろ。今の俺は、“アイドル”だ。

「おっ、いい感じになってきたよ~!」

講師にも褒められるくらいになってきたようだ。この調子でいけば、問題ないだろう。
フリンズを見ると、息を切らしながら俺を見ている。だいぶ汗をかいているな。
鞄から、開けてないペットボトルを取り出して、フリンズに差し出す。

「ほら、やるよ」
……ぇっ……?」

なんか、親交を深めるために渡したのに、予想とは違う反応だな。ペットボトルと俺の顔を、交互に見ている。

……ぁ、ありがとう、ございます……
お、おう」

掠れるような声でお礼を言われる。飲むかと思ったら鞄にしまっている。飲まないのかよ!
その後のダンスレッスンも、フリンズは一人だといい動きをするのに、俺と一緒に踊ると動きが固くなる。お陰で、ダンスレッスンを多めにやる羽目になった。まあ、いいけど。


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なんとかダンスも形になって、レコーディングに移ることになった。デビュー曲は『Starting Over』という、明るい曲調と歌詞だ。なんというか、若者向けじゃないか?
俺は歌が上手い訳でもないが、ボイストレーニングを思い出しながら歌う。フリンズも、拙いながらも頑張って歌っていた。
本当に、アイドルとして、やっていけるのだろうか。一抹の不安が過る。
いや、今の俺は“アイドル”だ。余計な事を考えるな。ただ、自分の歌とダンスを磨き、フリンズと共に切磋琢磨することだけを考えればいい。
雑念を排除すると集中できて、クオリティは上がっていった。フリンズは、俺をじっと見つめていた。

どうかしたか」
………っ! あ、すみません。なんでも、ないです」

何を考えているのやら。俺とアイドルなんて組みたくなかったのだろうな。すまん。恨むなら事務所を恨んでくれ。
俺はただ、“アイドル”としての役割を徹底するだけだ。


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衣装合わせをすると、こんなおっさんがキラキラした衣装を着れる事に罪悪感を覚えてきた。フリンズは普通に似合っている。褒めると、フリンズは固まった。なんなんだ、本当に。褒めるのも駄目なのか?

……その、ファルカさんも、お似合い、ですよ」
お世辞でも嬉しいぞ。ありがとうな」

本当に、ユニットでやっていけるのだろうか。
そんなこんなであっという間にライブ本番になった。不安はありまくりだ。
衣装を身に纏い、深呼吸をする。俺はアイドルの初ライブをするのではない。“アイドル役の初ライブ”を演じるのだ。
フリンズを見ると、緊張した面持ちだった。だけど、俺を見て、微笑んだ。

「初ライブ、緊張、しますね」
「おう、お互いにへましないようにしような」
しませんよ。夢が、叶う時が、来たんですから」

その言葉に、呆気に取られてしまう。
フリンズは、アイドルになるのが、夢だった、のか?

「行きましょう。“僕らの”初ライブを、成功させましょう」

そう言ってフリンズは先にステージに登って行った。

………ゆめ」

床に這いつくばって、レッスンをする幼い俺が、脳裏に過る。
本番前に何を考えているんだ、俺は。“アイドル役”の初ライブだというのに。
ステージに登ると、ライトが灯されていないステージで、フリンズは待っていた。
観客は、サイリウムを輝かせ、俺達を待っている。大半はフリンズのカラーであるアメジストだった。
でも、俺のカラーである、ターコイズも、ある。
キラキラと輝くステージに憧れていた。
でも、今の俺は、憧れていたステージに、立っているのだ。

憧れだった、アイドルに、なったんだ。

曲が流れる。自然と身体が動く。タイミングがずれることなく、音程も外すことなく歌える。
今までの練習で上手くいかなかったのが、嘘のように、一番上手に動けている。
楽しい!
フリンズも、練習でタイミングが合わなかったのが、嘘のように上手くなっている。
そうか、フリンズも夢が叶って、嬉しいのか!
『Starting Over』の歌詞は、夢を諦めず追いかけるような内容だ。俺も、フリンズも、夢を諦めず追いかけていた。感情が、歌に乗っていく。
気がついた時には、曲が終わっていた。俺達は、盛大な拍手に包み込まれた。



━━━━━━━


ずっと、夢を見ていた。

『原神プロ養成所所属のファルカです! よろしくお願いします!』

幼い頃、親に連れて行かれたお祭りで、養成所のアイドルがライブをしていた。寂れたお祭りで、太陽のように輝きながら踊る彼に、心を奪われた。
定期発表会も親にせがんで連れていってもらった。おこづかいでブロマイドも買った。いつか、彼と一緒にアイドルをやりたい、そう夢を抱くようになった。
でも、彼はアイドルとしてデビューできなかった。俳優に路線変更をしたので、僕も後を追いかけた。
初めて、共演した時、すごく嬉しかった。でも、緊張して、まともに話せなかった。
そんな中、僕のアイドルデビューの話が出てきた。だから、ファルカさんと一緒なら、デビューする。そうネフェル所長に宣言した。
そして、夢が叶ったのだ。

「「ありがとうございました!!」」

二人で観客にお礼を伝える。ファルカさんを見ると、初めて見たときのような、太陽のように輝いている。

ずっと、憧れていた。貴方と一緒にライブをしたかった。

ファルカさんと視線が交わる。ファルカさんが手を上げたので、手のひらに向かって拳を振り下ろす。
パチンッ、とハイタッチの音が、ライブ会場に鳴り響いた。


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