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おか
2026-06-17 21:39:42
5548文字
Public
クロリン
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2回約束する話
・6月のクロリン
・捏造、なんでも許せる方向け
・何か問題がありましたらご連絡ください
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2
窓から朝日が差し込み、銀髪の髪に反射してキラキラと光る。癖のあるその髪が、手で梳くと思いの外引っかかることなく通り、ふわふわと優しい手触りをしていることを俺は知っている。普段は飄々としていて、それでいて頼りになりいつも周りを安心させてくれるその人が、朝に弱く寝顔があどけないことを、俺だけは知っている。
**
クロウとの関係性は、先輩と後輩、同輩で悪友、敵対、相棒と経て、今では恋人という名前が追加されている。この関係性は、"あの日"を乗り越えてから暫くして、リィンの方からもう一度想いを伝えたことで追加された。お互い大切に想っていることは分かっていたから、すぐに頷いてくれると思っていたのに、「本当に俺でいいのか?」なんて言い出して。リィンも熱くなって「お前の過去も全部含めて好きなんだ、俺はクロウ・アームブラストに隣にいてほしい」なんて言い放ったのは記憶に新しく、思い返すと少し恥ずかしい。その後少し驚いて、嬉しそうに笑って抱きしめてくれたのでよしとする。今ではリーヴスに2人で住むようになった。クロウはあちこち飛び回っているが、帰る場所は同じだ。丁度昨日は、共通の友人の結婚式に参加したため、2人ともこの家で過ごして今に至る。今日はリィンの方が早く起きたので、クロウの寝顔を見つめていた。先輩と後輩であったときは一線を引いていたのだと今ならわかる。それを思うと、無防備なクロウの姿を見られるのは、嬉しいものである。
「なーに朝から幸せそうにニコニコしてんだ?」
いつの間に起きていたのか、こちらを見ていたクロウと目が合う。クロウとのことを考えていたんだ、なんて正直にいうのは少々気恥ずかしい。
「昨日のことを思い出していたんだ、いい式だったなって」
嘘ではないのでよしとしよう。
「
…
あぁ、確かにいい式だったな」
そう言ってクロウは、何やら真剣な顔をして黙り込んでしまった。はっきりと覚醒しているかと思ったが、まだ眠気があるのだろうか。季節は6月。雨さえ降っていなければ暑すぎず過ごしやすい気温であるから、中々眠気が引かないのも頷ける。昨日の結婚式は快晴、今日も晴れの予報だ。
「まだ眠いのか?もう少し寝ててもいいぞ
…
ってうわぁっ!」
先に朝食の準備でもしているかと立ちあがろうとすると、突然クロウに腕を引っ張られ体勢を崩す。完全にベッドに逆戻りだ。成人した大人の男が2人横になって十分な余裕のあるベッドを買ったから、落ちたりすることはないが。
「何するんだ、危ないだろう、
…
クロウ?」
「まぁ、ちょっとそのままな」
姿勢を整えクロウと向かい合うように座ると、そう言い残して反対にクロウは部屋の外へ出ていってしまった。大人しくそのままでいると、クロウはすぐに戻ってきた。手には白い何かを持っている。それは交換用の真っ白なシーツだった。クロウもベッドに上がり向かい合うように座ると、2人の頭の上にシーツが被せられる。
「なに
…
を
…
」
これでは、これではまるで昨日のーー
「俺たちも結婚式してぇなって」
名案を思いついたというような、嬉しそうな悪戯っぽい顔でクロウは言う。時が止まったように声が出ない。かろうじて喉から絞り出す。
「俺、たちは、でも、」
「何か気になることでもあるか?こういうのは気持ちが大事なんだよ気持ちが。もっとロマンチックに盛大にってのはお前はあんまり興味ないだろうし、やりたいってんならまた話し合おうぜ。ただ俺が今、お前と未来の約束をしてぇなって思った、それじゃだめか?」
あぁ、視界がぼやけてきた。熱いものが頰を伝う。止まらない。決して悲しい訳じゃない、嬉しくて仕方がないのに。一度は敵対して腕の中で冷たくなっていった、ボーナスステージだといって1人終わりへ向かって進んでいった、過去を背負ってリィンの隣にいることに引け目を感じていた、そんなクロウが、未来を約束したいと言っている。
「ふっ
…
うぅ」
「おいおい、泣かせるつもりじゃなかったんだけどな」
困ったように笑いながら、親指で涙を拭われる。
「正式な言葉なんか知らねぇし、女神に誓える立場でもないからな、ただお前に、リィン・シュバルツァーに誓わせてくれ。聞いてくれるか?」
「あぁ、聞いてるよ」
クロウの言葉ならいつだって聞いている。その声色で紡がれる音を聞き逃すまいと、いつも。
シーツが落ちないように両手で軽く押さえながら、クロウの口が開いて空気が震える。
「好きだリィン、愛してる。最期までお前の隣で生きると誓う。だから、一緒に幸せになってくれ」
嬉しい、好きだ、クロウのことがこんなにも。まだ眼には水の膜が張っているのに、震えることなく、溢れるように言葉が出てくる。
「あぁ、俺も誓うよ。クロウのことを愛してる、これまでも、これからもずっと。一緒に幸せになろう、クロウ」
クロウはまるで眩しいものを見るかのように目を細めて聞いていた。唇が優しく触れ合う。温かくてどうしようもなく幸せだ。
2人だけでよかったと思う。この瞬間を、永遠に誰も知らなければいい。クロウとリィンだけが、この時間をこれから先にもって行く。この生が終わっても、ほどけることのない気持ちだと今なら信じられる。クロウは自分が女神のもとへ行けないと思っているようだが、クロウと共に在れるのなら煉獄だってどこだってかまわない。もしも、離れてしまったらまた手を伸ばすから。だから、ずっと。
**
「あぁ、俺も誓うよ」そういって涙を溜めながらリィンは笑った。眉尻を下げることもなく、ただただ嬉しそうに、幸せそうに。眩しいのは、朝日が差し込んで2人の空間を照らしているからだけではないだろう。
あぁ、俺はこの顔が見たかったのだ。
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