サブさぶれ
2026-05-31 15:21:50
11362文字
Public パロディ
 

【パロディ】惑溺空間

人間スグリ×人魚アオイ 人魚パロです。
【注意書き】
・ほの暗いです。やや不穏気味(でも両想いです!)
・性器表現があります。交尾はしてない。
・嘔吐に似た表現があります。
・スグリが可哀想。最終的にはラブラブです。
・メリバ寄り。人によってはバッドかも。ご不快になったら申し訳ございません。

原稿の息抜きに書いたので私の性癖にしか対応していない。文章の書き方もかなり癖があると思います。読みにくくってごめんね。
種族間の文化の違い、認識の違いが好きです。とても好き。ダンジョン飯の水馬回とかめっちゃ好き。

※数十年後のねーちゃん視点も書き足しました。


運命の恋


 ほんの少し前のこと。上の世界で美しい生き物を見つけた。黒と紫の、小さな生き物。海にはいない色の生き物。おどおどキョロキョロ、自分より大きな生き物の影に隠れながらも、何かを見つけて目を輝かせてた。
 ああ、ほしいな。本能的に、そう思った。
 叶わないことだと分かってるのに。

 上の世界が騒がしい夜、なんとなくあの生き物の様子を見に行きたくなって、荒れ狂う波に身体を取られ、打ち上げられた。ごうごうと勢いよく巻き上げられたからか、頭が割れそうなくらいに痛くて起き上がれなかった。

 気が付くと、見知らぬ巣に連れ込まれていた。
 
 気を失ってる隙に自分の巣に連れ込むなんて、なんて恥知らずだろうと思って睨め付けてやる。目の前にいたのは、あの美しい生き物だった。前見たより大きくなっていた。そういえば、上の世界の生き物は成長速度が著しいんだっけ。
 すっかり大きくなった生き物は傷口に妙な液体をかけるという謎の行動をとった。痛くて痛くて涙が出た。これが地上の生き物の求愛行動なのだろうか。よく分からない。でも、届かないと思ってた相手に求愛されるのは最高に幸せだった。この子も私を望んでるんだと思うと嬉しくなった。

 美しい生き物は「スグリ」と名乗った。そして私を「アオイ」と呼んだ。
 スグリの求愛行動は止まらなかった。せっせと狩りに行っては餌を運んできて。(変な食べ物が多かったけど味はよかった)一生懸命語りかけてきて。震えながら水に入って、私と泳ごうとしてくれた。水分を奪う変なものを被せてきた時はさすがに驚いたけど、怒って水に逃げたら一生懸命頭を下げてくれた。悪気はなかったみたいだし、地上とこちらで求愛行動が違うのは仕方がないことだから許してあげた。許してあげると言うと、スグリはパッと笑って私の髪を撫でてくれた。可愛い生き物だと思った。
 ある日、夫婦でもないのに鱗を取られた。なんて破廉恥な、と思ってたら排泄腔までめくられた。スグリは昏い表情のまま、自分の排泄管を取り出した。ぴたり、尾鰭に排泄管が擦りつけられる。

「アオイ……

 繁殖を望まれている。素敵だと思った雄に求められるのは私だって嬉しかった。
 でも、まだできない。だって、このままじゃ赤ちゃんできないから。悲しくなるほど弱く儚い地上の生き物と私たちでは、赤ちゃんは作れないから。
 スグリは優しくて不思議で最高に素敵な個体だ。だけど長く水に入っていられない。まともに泳げない。潜ることさえ下手くそだ。身体を触ると火傷しそうなほど熱く、なのに常に凍えている。
 なんて不完全な生き物。鱗と尾鰭を失い、寿命さえ短くて……
 だけど懸命に私に求愛してくれる。交尾をしたいと熱望してくれている。交わらない恋を叶えようと、必死になってくれている。
 可愛い。愛しい。狂おしい。私も君を愛してる。君の赤ちゃんが欲しい。君と一生を添い遂げたい。

 だから、スグリの望むままを叶えてあげることにした。

 この巣穴は元々⬛︎⬛︎⬛︎の繁殖場だったのだろう。使い切らなかったと思しき材料が一通り揃っていた。スグリがここに連れてきたのも、そういうことだったんだ。

「大丈夫。私が何とかするからね」

 哀れで健気な生き物を思うと涙が滲んだ。彼の切実な願いに応えるべく、岩壁に刻まれていた調合方法の通りに薬を作った。少し時間はかかったけど、どうにか問題なく作れた。あとはこれを私の中で育てて飲ませるだけ。もうすぐ大好きな雄と、彼が望んだ形で夫婦になれる。考えただけで、排泄腔おなかがとろんと疼いた。


 薬を飲ませた。弱い生き物には少し苦かったのか、スグリはとても驚いていた。身体の変化は痛みを伴うのか、スグリは藻掻いて叫んで暴れ続けた。
 可哀想に。大丈夫だよ。そばにいるよ。
 尾鰭でギュッと抱き締めて安心を与える。包んであげている内に落ち着いてきたスグリは泣き疲れた顔で私を見つめてきた。まだ熱の残る腕を私の背中に回して、意味の分からない地上の言葉をぽつぽつ零して、そのままぐったり眠ってしまった。

「これからは、ずっと一緒だよ」

 彼のためにと作っていた寝床に二人で入り、まだ尾鰭になりきっていない下半身に私の鱗を挿し込む。赤い血が水面に向かって流れていく。私の鱗はすぐに馴染んだ。受け入れられたことに安堵し、そのまま抱き締めあって眠りについた。


 スグリの身体は私のよりも紫が濃い、美しい色になった。尾鰭もだいぶ開いてきたので、そろそろ外に出しても大丈夫だろう。まずは狩りの仕方を教えなくちゃ。地上とこちらでは狩りの方法が違うだろうから
 大丈夫になったら暖かい住処に移るつもりだ。綺麗で穏やかで餌の多い場所の方が、卵も育てやすいから。
 励ましと愛を込めて、今日も薬を与える。私の体内で混ぜ合わせた⬛︎⬛︎⬛︎の秘薬、愛の証。スグリは残さず受け止めた。

「大好きだよ、スグリ」
「あ……、ぁ……

 スグリが微かに笑った。黒い髪が波間に揺蕩い紫がのぞく。深海に堕ちてきた私の満月。未だ汚い色の残る部分に私の鱗を分けてあげる。何箇所か私の色が混じるスグリの尾鰭。夫婦の証左に照れてしまう。
 私は今、とってもとっても幸せです! スグリもそうだよね





【補足】
人魚の繁殖方法は二つあります。一つは普通に交尾すること。もう一つは地上に住む人間を後天的に人魚に変えること。行方不明者の絶えない立入禁止の海岸は人魚の繁殖場になっている可能性が高いので、人魚になりたい人以外は近づかないようにしましょう。