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サブさぶれ
2026-05-31 15:21:50
11362文字
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パロディ
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【パロディ】惑溺空間
人間スグリ×人魚アオイ 人魚パロです。
【注意書き】
・ほの暗いです。やや不穏気味(でも両想いです!)
・性器表現があります。交尾はしてない。
・嘔吐に似た表現があります。
・スグリが可哀想。最終的にはラブラブです。
・メリバ寄り。人によってはバッドかも。ご不快になったら申し訳ございません。
原稿の息抜きに書いたので私の性癖にしか対応していない。文章の書き方もかなり癖があると思います。読みにくくってごめんね。
種族間の文化の違い、認識の違いが好きです。とても好き。ダンジョン飯の水馬回とかめっちゃ好き。
※数十年後のねーちゃん視点も書き足しました。
1
2
3
嵐の後の澄み渡った空色と、理不尽に暴れ尽くした天に汚され濁った深海色が入り混じる浜辺に「それ」はいた。
「わやじゃ
……
」
うちのじーちゃんの、そのまた曾々じーちゃんの時代の伝承の中でしか存在しないもの。今の時代ならUMAっていう奴。
血色の悪い白い肌、茶色の髪の毛、可愛らしい、正直に言えば、好みのタイプの顔。
——
その下に続く、虹色に反射する青紫の鱗と尾鰭。
「に、んぎょ
……
?」
可愛い女の子の上半身と魚の下半身を持った、非現実的な生き物が、海藻や漂流物に紛れて倒れていた。夢でも見てるのか。作り物なんじゃないか。おそるおそる近付いてみる。何も纏っていない、裸の女の胸は浅く荒く上下していた。発見はそれだけではなかった。
「この子、怪我してる
……
?」
人間の腹と鱗が混じりはじめる中間部分に痛々しい裂傷が走り、赤い血が一筋流れている。肌の色は内臓が透けるのではと思うほど青白かった。
「な、何とかしねぇと」
とはいえ、こんな場所にいたら誰かに見られるかもしれない。物語や映画なんかだと、人魚は悪い奴にしょっちゅう狙われている印象だ。こんなに綺麗な子なら尚更危ない。
迷った末、立入禁止の洞窟に彼女を運ぶことにした。足の届く浅瀬がほとんどなく、潮が満ちるとなかなか引かないとかで、地元の人間はまったく近付かない場所だ。
——
数年前には、観光客が行方不明になっている。ここならきっと誰にも見られないはずだ。
人魚に人間の治療薬が効くか不安だったが、俺は蜻蛉返りで取ってきた傷薬を彼女の腹に塗った。彼女の肌は少しぬめりけがあり、水を触ってるかのように冷たかった。
「っ! ぁ、
……
っ!」
消毒薬がしみる感覚で彼女が目を覚ました。尾鰭を地面に何度も打ってのたうち回っている。
「痛いべな、かわいそうにな
……
」
人魚が俺の方を見た。色素のほとんどない柔らかそうな唇。冷めた肌にへばりつく濡れた髪。茶色いような碧いような、不思議な色をした瞳から、ほろほろ涙が溢れていく。人魚の涙は、物語のように真珠に変わったりしなかった。だけど、俺にはこれまで見てきたものの中で一番美しいものに映った。
恋をした。この、美しく弱々しく儚い生き物に、心の全てを持っていかれた。守りたくて、助けたくて、傷つけたくて、手に入れたくて、どうしようもなくなっていた。
俺は彼女を『アオイ』と名付けた。綺麗な鱗の色から取りました、なんて安直すぎるけど、アオイはこの名前を笑顔で受け入れてくれた。名前を呼ぶ度、尾鰭をピチピチ上下させて喜んでくれた。指をさしながら懸命に「アオイ」「スグリ」と教え続けた甲斐もあってか、アオイは音こそ出せなくても俺を見つけると「スグリ」の形に口をはくはく動かした。
「好きだよ、アオイ」
言葉を掛けることに意味があるのかは分からない。聞き馴染みのない外国語みたいに、まったく意味が通じていない可能性の方が高いだろう。それでも、伝えないより伝えた方がいいと信じて、俺はアオイに愛を囁き続けた。アオイは微笑むだけだった。
食べられるものが分からなかったから色々な物を持って行った。海藻、生魚、生肉、野菜、果物。なるべく人工物じゃないものを選んだ。初めて見る物が多いようで、アオイは俺が持っていくありとあらゆる物に首を傾げ、指で突き、匂いを嗅ぎ、恐る恐る舌で舐め、お気に召した物だけを口に含んだ。新しい世界を知る時の彼女は、劣情を抱いてしまうほど可愛らしかった。
アオイは少しの間だけなら地上に出てこられるらしく、時折俺が座る岩場までぴょい、と上がってくることがある。何も纏っていない女の子の身体は目に毒だ。まして、こんなに可愛い子の裸なんて。一度、小さくなって入らなくなった俺の服を渡したことがある。どうにか着てもらおうとしたが、アオイはとても嫌がって、海の中に戻ってしまった。布に水分を取られるのが嫌なのかもしれない。
「ごめん、ごめんな」
俺は必死で謝った。決して意地悪でした訳じゃないとアオイに分かってほしくて、とにかく頭を下げた。言葉やジェスチャーで気持ちがどれほど伝わるかなんて未知数だけど、ほんの僅かでも気持ちが伝わるようにと、懸命に謝り続けた。アオイはしばらく海面に上がってこなかったが、夕暮れ間近になってきた頃にチャポンと顔を出してくれた。
「アオイ。許してくれるの?」
彼女は何も言わない。言えない。喉を懸命に動かしているが、出るのは空気が小さく弾ける音だけだった。それでも何か伝えたいと必死に口をパクパクさせる。けなげな様子に愛おしさが増す。
人魚は常に海中にいるためなのか体温がかなり低い。下手に触ると火傷のような痕がついてしまう程だった。アオイの美しい肌に傷をつけたくないが、彼女には触れたい。どうしたものかと悩んだ末、俺は極力海の中に入ることにした。夏が終わりかけた海は存外寒く、長時間はいられなかった。それでも、冷たくなった俺の手をアオイは嬉しそうに握ってくれた。何度か一緒に潜ろうと引っ張って誘ってくれたが、泳ぎがそこまで得意じゃない俺は応じてあげることができなかった。一緒に遊べないと悟ったアオイは悲しげな顔を俺に向けてきた。そっと伏せられた睫毛にやり場のない罪悪感を覚え、彼女の横顔に垂れる髪の毛をひと房取り、三つ編みを結ってあげた。アオイは可愛くなった自分の髪に喜び、俺の周りをぐるぐる泳いで抱き締めてくれた。そのままキスしたくなったほど、最高に可愛かった。
こうやって、どんどんアオイにのめりこんでいった。
近所の誰かに、立入禁止の洞窟に出入りしていることがバレた。当然じーちゃんとばーちゃんに告げ口された。「あの場所に入っちゃいかんと子供の頃から言ってるだろう!」と怒鳴られた。ねーちゃんには「悪いことしたい年頃なんでしょ。お子ちゃまよねぇ」と揶揄われる始末。どうして洞窟に行くのか尋ねられたが、人魚に恋してるからなんて口が裂けても言えない。アオイの存在をほかの誰かに知られたくなかった。俺だけのものにしておきたかった。監視代わりにと、登下校の際ねーちゃんが同行するようになった。アオイの元へ行けなくなった。俺は全ての抑圧に大人しく屈するしかなかった。
それでもこの恋を諦めきれない俺は、真夜中にアオイの元へ通うようになった。深夜の夜はひたすらに暗く、静かで、震えるほどにおどろおどろしかった。だけどこんなことで怯んじゃいられない。
俺たちの秘密の住処は外の海の比じゃないほど寒々しい闇に覆われていた。
「アオイ、いる?」
情けないほど震えた声が俺の喉から出る。ややあってアオイが水面に顔を出した。アオイは俺の姿を認めると、勢いよく岩場に乗り上げてきた。
「アオイ。こんな時間にごめんな?」
アオイは首を傾げて尾鰭をピチピチ上下させた。光のない洞窟の中、アオイの美しい鰭だけがキラキラと輝く。その瞬間、自分でもなぜか分からないが、俺はアオイにまたがって鱗を一枚抜き取ってしまった。
「か、
……
っ! ぁ、
……
」
「痛かった? ごめん。ごめんな、アオイ」
無理やり身体を傷つけられたアオイは顔を赤らめて俺に抗議の視線を寄こしてきた。でも逃げない。いや、逃げられないのか? 俺が人間の男で、アオイはかよわい女の子の人魚だから、怖くて逃げられないのかもしれない。黒くてドロドロした感情が胸に生まれる。欲望はすぐさま大きな渦に変貌し、さらなる暴挙を働かせる。
「前から気になってたんだけどさ、お腹のそれ、何?」
臍のない人間の色をした腹部よりさらに下、人間で例えるなら足の間のあたり。鱗にあまり覆われておらず、白い地肌がむき出しの部分があった。指を添えて広げてみる。保護するような粘液がくちりと垂れ、さらに奥にはピンク色の肉が続いていた。それは、魚の身体に不釣り合いなほど淫猥な光景だった。
そうか。アオイは女の子だから
……
、これは、きっと
……
。
仄暗い欲がいよいよもって隆起する。俺は自分の服をずり下げ、身勝手な感情をアオイの下腹部に押し付けた。
「アオイ
……
」
入りたい。アオイと一つになりたい。確実な何かを植え付けたい。
アオイに空いた孔に狙いを定め、勃起したペニスを無理やり入れようとした。その瞬間、バチンッと何かに強く弾かれた。全身に激しい痛みが走る。俺の身体はそのままドボンと冷たい海に落ちていった。即座に、アオイに尾で払われたのだと理解した。
身体を強く打たれた衝撃より、拒否されたことに絶望する。アオイに嫌われるのが何より恐ろしかった俺は、痛む身体でどうにか立ち泳ぎをし、彼女に誠心誠意謝った。
「乱暴なことしてごめん! でも、本当に愛してるんだ。愛してるから、アオイのこと」
水中に投げ出された俺に続いてアオイも海の中に入ってきた。アオイは冷たく濡れる俺の顔を両手で包み込んだ。アオイの手は水分量の多い粘液に包まれている。サラッとした液体が頬を汚す。アオイは俺の両眼を静かに見つめた後、顔を近づけ、そっと冷たくて柔らかい何かを口に押し付けてきた。
はじめてのキスだった。アオイから、俺にキスしてくれた。慈しむような、赦しを与えるような、そんな優しいキスだった。
嫌がってるわけじゃなかったんだ。ちょっと驚いちゃっただけなんだ。両想いだったんだ。アオイの気持ちを悟った瞬間、黒々とした欲望はおさまり、苦しくなるほどの幸福感が胸の中に広がっていった。
月明りも届かない冷たい洞窟、海の中。俺とアオイは何度も口づけあった。
俺たちが愛を確かめあう姿は、映画のワンシーンのような美しい光景だったに違いない。
アオイがほしい。どうしてもほしい。美しい人魚だからじゃない。アオイだからほしいんだ。
一緒に暮らしたい。美味しいものを食べさせて、一緒にきれいな景色を見て、笑顔にさせたい。儚い彼女を守ってあげたい。普通の恋人みたいにキスしてセックスして赤ちゃん作って、平和に生きていきたい。
でも今のままじゃ駄目だ。今のままでは触れただけで彼女を火傷させてしまう。人目を避けての生活だって長続きしないだろう。アオイが人魚のままじゃ、まともに生活なんてできやしない。
どうにかしなければ。人魚を人間にするなんて、おとぎ話の世界の話だけど何としてでも叶えたい。
できることから始めよう。ネットや文献、ありとあらゆる物を探して方法を模索しよう。そして、アオイに一生一緒にいようって告げるんだ。
秋も暮れ始めた寒い夜。さすがにもう海の中には入れなかった。潮が満ちたせいで俺が立てる場所はほとんど残されていない。ギリギリの淵にどうにかへばりつく。
アオイは洞窟の奥の方でぷかぷか浮かんで遊んでいた。
「アオイ。今日も来たよ」
返事がないと分かっていても声をかける。いつの日か、大好きだよって語らえる日を夢見て。さて、今日は何をしようかと悩んでると、アオイがゆっくり口を開いた。
「う、ぅ
……
ひ」
絞り出したような苦しい音だった。音はアオイの喉から発せられた。
「わやじゃ! アオイ、言葉喋れるようになったの?」
嬉しさのあまり、大急ぎでアオイが浮かんでいるところまで行った。アオイが俺に手を伸ばす。
「す、うい
……
」
応えるべく、身を乗り出す。
「あはは。スグリだよ。スグリ」
「すぐり」
「何? アオイ」
きっと今日もキスするんだろう。ちょっと生臭いけど、アオイが最高に可愛いから全く気にならない。期待を込めて目を伏せる。冷たい唇が押し当てられる。開いた口にアオイのめんこい舌が侵入してくる。
それで終わりのはずだった。
「ぐ、あ
……
。な、
……
ぁ?」
アオイの咥内からどろっとした液体のような物が流し込まれた。舌や喉を鋭い針で刺されているような刺激に怯み、アオイから離れようとしたが彼女は放してくれなかった。この細腕のどこにそんな力があったのか理解できないほど、力強く俺を掴む。どろどろの何かがさらに身体に侵入してくる。吐き出したくてもアオイに口を塞がれているから何もできない。
いつの間にか、俺たちは海の中にいた。
「これで、大丈夫だよ」
誰の声? 聞いたこともない美しい声に驚いた途端、口の中に留めていた謎の液体を飲み込んでしまった。
あ、あ、ああ、あ、?
痛い熱い寒い熱い苦しい痛い痛い熱い寒い寒い
上にあがりたくて必死にもがくけど、ぬらりと長い尾が身体に巻き付いて放してくれない。どんどん水底に沈んでいく。
苦しい痛い全身が燃える凍える血管中に針が突き刺さってるように痛い息ができない苦しい
たすけて やめて しぬ たすけて たすけて だれか だれか ねーちゃん じーちゃん ばーちゃん おねがいおねがいおねがい たすけ
「大丈夫。すぐ馴染んでくるよ」
アオイの声。こんなにきれいな声だったんだ。
くちびるも やわらかくて つめたくて
ああ 息 でき な
*
あたらしい生活がはじまった
なれないことも多いけど、つまがごはんを取ってきてくれるので大丈夫です
おれは動かずアオイをまつだけ
からだがもうすこし馴染んできたら狩りを教えてくれるんだって
からだがなじむって まるで前はべつのいきもの だったみたいだな おかしいな
「スグリ。お薬の時間だよ」
アオイのかおがちかづく どろっとしたものが流しこまれる
ああ
——
あつい いたい きもちわるい ちがう きもちいい
あったくて、とろとろで、アオイを感じて嬉しくなる
アオイが笑う。
「もうちょっとだから頑張ろうね。スグリ、大好きだよ」
穴の中、不完全な身体に美しい尾が絡みつく。白い腕が力の入らない上半身を抱き締めてくれる。
人間だった部分がどんどん消えていく。いや、そもそも俺は人間なんかじゃなかった。元から人魚だった。そうだ、そうに決まってる。
ああ
……
あたままで
⋆
妻が狩りから帰ってきた。アオイに世話をかけてばかりで申し訳ない。俺も尾鰭の怪我も早く治さねば。
怪我が治り次第、南に移って繁殖を行う予定だ。
ずっとずっと望んでいた、愛する人との日々。家族を増やす行為。二人だけの人生。
アオイの尾鰭に俺の鱗を刺して植え付ける。夫婦の証に照れ笑いを並べてから、そっと唇を重ねる。
俺は今、とても、とても、幸せです。
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