ミリメートル
2026-05-27 23:25:12
1987文字
Public スケ荼
 

スケ荼SS🌡️

スケプティックさん視点のスケ荼の読み物です。「お、お大事に⋯⋯」みたいな話。


 目が覚めたとき、おれは現し世ではない何処かに突っ立っていた。呼吸を躊躇うほどの熱さ。足元には干乾びて出来たようなヒビが入っている。辺りを見渡しても植物や生命の気配はなく、マグマ溜まりが今にも溢れそうになっているだけだった。ここは火山か、あるいは地底か⋯⋯そうこうしている内に人影を見付けた。
「久し振り、少し老けたか?」
 憎まれ口を叩く男は、そこのマグマ溜まりを泳いできたのかと思うほど全身が火傷に塗れていて、つまり見間違えようもなく荼毘だった。火葬を意味する言葉ではなく、いつかおれの腕を引っ掴んで駆け出した、でも本当に居なくなってしまったあの荼毘。
「貴様が居るということは、ここは地獄か」
「極楽じゃないことは確かだろうな」
 荼毘は「ここじゃ俺が先輩だから」と訳が分からないことを言いながら、ツアーガイドのように先導して歩いてくれた。まさに地獄の案内人。
 何処に向かっているのか尋ねると「俺の家族が居るところ」などと言い出すので、おれは立ち止まった。そういえば、死人について行って碌な目に遭わない筈がない。失念していた。
「何が悲しくて、貴様が死ぬまで執着したものを確認せにゃならんのだ」
「挨拶させてやろうかなと」
「願い下げだ。ヒーローは大嫌いだし、貴様のご家族に合わせる顔もない」
 そう。彼には一般人の妹御や弟御が居たはず。カタギ相手に「お兄さんとは懇ろな関係で〜」と軽薄な挨拶が出来る訳がない。そういう真っ当な感性が、おれにもまだあるのだった。

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