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芹沢亀吉
2026-05-14 07:36:09
3486文字
Public
怪奇
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全裸探偵
暴虐かつ悪趣味、そして勘違い野郎な楠木武一等陸佐が恥をかく物語の通算127話目。本編を読めば楠木武に探偵の資質があるのかどうかよくわかる筈。
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「う、うわぁああああああああ!違う!俺じゃない!俺のせいじゃないぃ!」
いきなり湊川が絶叫しそのまま部屋の外に飛び出したものだから、全裸男楠木は勿論他の部下達も皆何が起きたのか全く理解出来ずただ啞然とするばかり。数分後に何かが地面にぶつかる音がして全裸男楠木らが建屋の外に出ると、そこには屋上から飛び降りて後頭部から夥しい血が出ている仰向け状態の湊川の遺体が。
「そうか、乃木を殺した犯人は湊川だったのか。この名探偵楠木に真相を暴かれたことに怯えて自ら命を絶ったのだな。」
おい待て、この全裸男は湊川が犯人とは一言も言ってなかったぞ。それと外に出る前に服を着ろ、服を。
「とにかくこれにて一件落着!この名探偵楠木の名推理により無念の思いを晴らせた乃木も草葉の陰で喜んでいることだろう!おい、乃木!これからも草葉の陰からこの名探偵楠木の活躍を応援するんだぞ、グハハハハ!」
自称名探偵の全裸男楠木が下品な声を上げ大笑いする一方、他の部下達は皆表情が暗い。これからもこの上官失格のクズから罵倒され暴力を振るわれ、時にはこうして見たくもないブヨブヨ裸体を見せられるのがわかりきっているだけに作り笑顔を作る気力さえ湧かないのだろう。中には「この便所タワシヒゲが犯人だったらどれだけ良かったことか!」と思っている者もいるとかいないとか。
帰宅した武は配偶者の
久代
ひさよ
が作ってくれた夕食を食べ始めたと思いきや、ゴミ箱に捨ててあった乃木からの交際を迫る手紙を見つけて激怒した。以前武は乃木、湊川、そして
軽部
かるべ
孝士
たかし
一等陸士ら部下達を自宅に招きバーベキューパーティーを開催したことがあり、女好きの乃木は自分より二回り近く年上の久代の儚げな美貌に魅了され密かに交際を迫る手紙を送り続けていたのだ。なお気弱な軽部は武、乃木、湊川から執拗ないじめの標的にされ続け、バーベキューパーティーの翌日に自ら命を絶った。
「久代、貴様俺という心清き亭主がいるのにあんなチャラ男と不倫していたのか!」
「違います。あんな手紙は気持ち悪いので捨てただけです。不倫なんて、そんな。」
乃木が一方的に交際を迫り続けただけなのに不倫だと決め付ける武は浅はかにも程がある。そして久代は事あるごとに武から罵倒され暴力を振るわれている身。部下は勿論配偶者にも罵声を浴びせ暴力を振るう人間のクズの何処が「心清き亭主」なのやら。
「わかったぞ!貴様が犯人だな!久代、貴様は不倫を隠すため乃木を階段から突き落とし亡き者にした!エルキュール・ポワロ以上の名探偵であるこの俺様に真実は必ず微笑むのだ!」
だから久代は不倫なんてしていないって。そもそも自衛官でさえ無い久代がどうやって信太山駐屯地の建屋内に入り乃木を突き落とす?
「久代、貴様との夫婦生活は今日限りだ!警察に突き出してやるから覚悟しろ!あと慰謝料もガッポリ頂、うっ、うわあぁああああああ!」
久代を罵倒していた筈の武が急に幽霊を見たような顔になり絶叫したのは軽部の幽霊が見えたから。
「おのれ、悪霊め!俺の聖なる裸体を見て成仏するがいい!」
軽部の幽霊が全く見えていない久代は急に怯え衣服も下着もビリビリ破り捨てた武の醜態を目の当たりにしてただただ啞然とするばかり。
「何ぃ!この俺様の聖なる裸体の力が通用しないだと!だったら体内に封印されているこの俺の真の力を今こそ解き放つ!ナンマイダホーレンソー!アーメンソーメンソウキそば!」
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