暴虐かつ悪趣味、そして勘違い野郎な楠木武一等陸佐が恥をかく物語の通算126話目。いくら美術館に行くのが趣味の私でも「楠木美術館」は絶対嫌だ。あと残忍描写濃い目なので閲覧注意。
数日後、武は『楠木美術館』に展示する美術品が完成したと聞き迷彩服姿のまま駆け付けた。
「おお、どれもこれも俺がイメージした通りの出来栄えだ!この俺の美しい裸体がモチーフだけあって名品揃い!流石我が弟だ、グハハハハ!」
何のことは無い、武が力に作らせたのは
《円盤投げ像》、
《プリマヴェーラ(春)》、
《ダビデ像》、
《裸のマハ》といった名品を自らのブヨブヨ裸体に置き換えただけの代物、要するに世界的名品の超絶改悪版。
「最近は3Dプリンターも生成AIも良いのがあるからね。武兄さんの要望通りのが出来て何よりだよ。」
そう話す力の笑顔が異様に引きつっていることに馬鹿笑いに夢中の武は全く気付いていない。それはそうと馬鹿笑いに夢中のこの殺人犯はいつ自首するの?
『楠木美術館』の開催日程が決定すると、楠木兄弟は会場となる大山崎山荘美術館の地下室に報道関係者を呼び集めた。
「本日はお忙しい中集まってもらいありがたい限り。我が弟もご覧の通り喜んでいる。」
本来の主催者である力を差し置いて己が主催者であるかのように振る舞う武の傲慢さときたら。
「さて記者の諸君!ここにある美術品はこの楠木の裸体をモチーフにしただけあってどれもこれも名品ばかり!だがこの楠木のオリジナルの裸体に比べれば大したことは無い!本日は皆様への感謝の証にこの楠木の裸体をお見せしよう!」
力が止める暇も無く武は全裸姿になり、見たくも無いブヨブヨ裸体を強制的に見せられた報道関係者の中には悲鳴を上げる者も。
「そうか、この楠木の裸体は黄色い声を上げたくなる程素晴らしいのだな!そうだろ、そうだろ、グハハハハ!では今から『楠木美術館』の成功のため祈祷を開始する!ナンマイダホーレンソー!アーメンソーメン鉄仮面!」
全裸姿の武が滅茶苦茶な呪文を唱えるといきなり武の裸体を模した美術品(笑)が不気味な紫色の輝きを放ち、絵画の方は中から全裸姿の武が出てきて彫像の方はそのまま動き始めた。どうやら美術品(笑)には双子の兄に弱みを握られ良いように使われ続けた力の怨念が宿っていたらしく、武本人が唱えた滅茶苦茶な呪文によりその怨念が実体化した模様。ひょっとしたら先日武に殺害された久代の怨念も含まれているのかもしれない。
「お前のせいだ!お前のせいだ!お前のせいだ!お前のせいだぁ!」
実体化し動き始めた怨念達は全裸姿の武を取り囲み、ある者は武の目を抉り、ある者は武の耳をひきちぎり、ある者は武の自慢の口髭をむしり取っている。傍目から見ると全裸姿の武の集団が全裸姿の武1人を取り囲み残忍行為を開始という凄惨かつわけのわからない状態だ。ちなみにこの惨状はネット上に生配信されていてある意味公開処刑である。
「グワーッ!」
結局武は怨念達に心臓を抉られ全裸姿のまま死亡した。殺人犯武が死亡した途端に全裸姿の武の姿をした怨念達は1人、また1人と消えていく。最早『楠木美術館』の開催どころではない。怨念達が皆消え去ったのを目の当たりにして何かが吹っ切れた力は暴力団との癒着を世間に公表し代表取締役社長を辞任した。(終)
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