万丈
2026-05-01 17:05:57
2577文字
Public 小説
 

繋ぎ止める楔、あるいは夜明けの誓い

【AI生成】【二次創作】【天空戦記シュラト】
インドラを繋ぎ止めたミトラの「あの夜」の話。

関連の話→雷帝の贖罪
関連の話→紫苑の記憶、雷帝の宿命

それは大戦終結から百年という歳月が流れ、私がデーヴァ神軍の総司令官の座に就いた今でも、時折鮮明に思い出す記憶だ。

あの日、光の牢獄でミトラが私に遺した言葉。
『私の代わりに、お前が、生きて、あの方を……ヴィシュヌ様を支えてはくれないか』
その言葉が、凍てついていた私の時間を再び動かし始めたのだと、今にして思う。



ミトラが去った数日後、私はヴィシュヌ様の温情により、光の牢獄から出されることになった。
だが与えられたのは「解放」ではなく、天空殿の最も日の当たらない片隅にある、窓一つない簡素な小部屋だった。

私をそこへ連行したデーヴァの神将たちは、皆一様に憎悪と侮蔑の視線を向けていた。

「ルドラ殺しの悪魔め。ヴィシュヌ様の慈悲に感謝することだな。本来ならその首を落とされて当然の罪人が」

吐き捨てるように言い残し、重い鉄の扉が閉ざされた。

一人残された暗い部屋で、私は冷たい石の床に座り込み、自らの手のひらを見つめていた。
何度洗っても血の匂いが落ちないような気がした。
愛した故郷の民を屠り、かつての仲間たちに刃を向けた忌まわしい手。
シヴァ様の反魂の術によって生かされ、死ぬことすら許されないこの身体は、ただの重い肉の塊でしかなかった。

ヴィシュヌ様は私を罰せず、「始まりを与えたい」と仰った。
ミトラは「生きて彼女を支えろ」と願った。
だが私にそんな資格はない。
私はただこの灰色の世界で感情を殺し、誰とも関わらず、ただ呼吸を続けるだけの無機物になりたかった。
それが大罪人である私に相応しい、唯一の罰なのだから。

コンコン、と。
静寂を破るノックの音。
返事をする気力もなかったが、扉は静かに開かれた。
そこに立っていたのは幻帝ミトラだった。