まどぎわ
2026-04-14 00:06:36
2646文字
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ずっと言いたかった一言に君の名前を添える(ゼロクス)

BL。2015年以前に書きためていたもの。エックスとゼロが久しぶりに再会してイチャイチャする話。双方の視点でどうぞ。素体表現があるのでアーマーレス注意。捏造設定多々あり。



Side Z



あいつが検査室にいると聞いて
自然と歩みは早まる。
あいつも俺も検査室は嫌いだ。
ロボットも、おそらく人間も、体を弄られるのはいいもんじゃない。ましてや意思や自我を持ったレプリロイドだ。
故障して直されるならまだしも、どこも悪くないのに検査という名目で身ぐるみはがされるのだ。たまったもんじゃない。

ひとり結果を待つあいつの、どこか遠くを見た顔はあまり見たいものではなかった。先を急ぐ。
しかし見慣れた青い姿は既に無く、色あせた白い壁と検査室へと続く分厚い鉛色の扉だけがそこにあった。その場にいたものに聞くところ、どうやら中庭にいるらしい。
頭の中でひとつひとつ中庭である理由を挙げては否定を繰り返し、結局答えは出ないまま目的の場所へついてしまった。


俺が待ち焦がれた青は予想に反して、あまり見慣れない素体でそこに在った。
いつも検査後は、毎度同じような結果を渡され憂うつそうにたたずんでいたはずだ。
しかし今、目の前のそれは憂うつとは程遠い顔で両手を広げ風を受けていた。単純に疑問だった。

「アーマーはどうした、緊急事態が発生したらどうする」

俺の言葉を待っていたのか、無防備で華奢な体がこちらを向かれると目の行き場に困った。動力炉の奥が掻き乱されるのを感じながらも気を引き締める。
動く度に、キラリと額のクリスタルが日光を反射した。不思議と惹かれるものがあった。

「まだ検査中。風が気持ちいいから結果が出るまでここで待たせてもらってるんだ。」
「そうか」

とっさに風力を測定した。なるほど、人間が心地よいと感じるであろう風量が吹いている。
この感性は戦闘型レプリロイドの中ではこいつにしか分からないはずだ。
まるで人間が感じ考えるようなことを平然とやってのける。科学者たちが解析に夢中になる由縁のひとつなのだろう。
うーん、と背伸びをする姿に歴戦をくぐり抜けた17部隊隊長の面影は全くない。
細い腕はおれが握れば潰れてしまいそうだ。
こいつは、こんなにもろく小さな体だったのか。
触れたい。動力炉が熱く波打つ。


「君のことだから任務の報告も早々に、すぐ俺に会いに来たんだろう?」

二人の時でもたまにしか見せない、俺を試すような物言いだ。ならば。

「検査室にいると聞いたからな。あそこは嫌いだろ。お前の悲しむ顔はあまり見たくない。すぐにでも、会って抱きしめたかった。」
最後に駄目出しの文を添えてやった。
目を丸くしたと思ったら目線を外しはじめた。してやったな、こちらの頬が緩む。


触れてもいいか、と了解を得た。
少し赤く染まった頬に手を伸ばす。
風か、それとも手か、気持ち良さげに目を細めた。

ずっと言いたかった一言にお前の名前を添えて。


「ただいま、エックス。」