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望月 鏡翠
2026-03-29 00:00:34
6383文字
Public
庭師は何を口遊む 霊山班
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儀式的ニトロ 事件背景
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【小野 保子(本名:徒 保子)】
ゾンビの創造
灰色の束縛
墓地へのキス(ゾンビを召使にする魔法。意のままに動かす)
ゾンビーの創造(死体ではなく生きた人間を傀儡にするやつ)
犠牲者を魅了する
などの呪文を所持している。
今回の事件の黒幕。
自殺志願者を誘拐し解体して、臓器売買を行っていた。
自殺志願者を狙うのは、自死を匂わせる内容を勝手にSNSなどに残してくれており、突然行方不明になっても探してくれる人もおらず、死体が見つかっても自殺として片付けてもらえるからである。
精神科医という職業は、不安定で孤独な人間を探すのに都合が良かった。
彼らが孤立し死に向かうほど稼ぎが増えるため、不安定な人の心を乱すのが癖になっている。
比叡と初めてあったときの言動も、偶然ではなく彼を傷つけようという意図を持っての振る舞いである。つい癖で心の弱そうな人間を揺さぶってしまったのだ。
自殺志願者の臓器に薬物による汚染や感染症がないのかという点に関して、彼女はあまり気にしていない。
顧客は非合法の臓器を買うような連中である。手術が成功したのだという満足感を与えることさえできれば、その後の人生など、知ったことではないのだ。
臓器売買は反社会的勢力の協力を得て、流通やや物件の手配、顧客とのやり取りを行なっている。
そして巩心が巻き込まれた火薬の爆弾はそちらから入手したものである。(本当に見つかったらまずい本拠地に仕掛けてあるトラップなので、変質しやすいニトロではなくて、長期保存可能な黒色火薬が用いられていた)
この人脈は、徒家の時からあり、慶一が強制捜査を受けるきっかけになったときのもの。
ちなみに反社会的勢力は、魔術やゾンビのことは全く知らない。知っていたら、もっと悪どい使い方を考えていただろう。
孤独な人間をターゲットにしていたのに、親に愛され(執着)されている碧斗が引っかかってしまったのは小野にとって完全に予想外の出来事だった。救急救命医の山下が、読み違えたのだ。
一度捕まえてしまった以上、自分の顔を見てしまった碧斗を生きて返すわけにもいかないし、もう売り先も決まっている。
生きたままゾンビに変えて、アリバイ工作をしようとした。しかし該当の呪文は被術者が生きていられるかどうかギリギリをせめて精神を摩耗する手段を用いるため、途中で碧斗は死んでしまった。そのまま内臓を摘出したものの、別の作戦を考えなければならなくなった。
ともかく邪魔なのは片貝である。彼女が余計な証言をして警察を動かす前に始末しなければならない。幸い元々小野の患者であり、精神的に不安定で周囲からも白い目で見られていることはわかっている。
慌てて爆発計画を練ったため、今回の事件はあまり緻密ではない。
イカれた末に爆死するカルト信者というのは慶一や真彦の姿そのままであり、小野にとって身近なサンプルがあったため証拠の捏造のしやすさから採用された。
ちなみに真彦はかなり前から小野によって生きたまま傀儡に変えられており、本人に自我や意思のようなものは残っていない。
もしものときに罪の全てを肩代わりするスケープゴートとして、名前と存在を使用され、準備を進められていた。ニトログリセリンを作る作業もしている。万が一事故が起こったら危ないから。
警備員がゾンビを四階に追い込んでしまったので計画は破綻した。
どうしようかと思っていたところで片貝の件を警察が聞き込みに来た。
図らずも計画が当初の路線に戻りつつあることを察して、メディアに彼女の情報を流した。
【片貝 結花】
今回の事件においては被害者。
元々精神的に不安定な部分はあったが、小野のせいでどんどんと悪化していた。
筋道だって自己弁護するほどの知能がないので、一旦渦中に投げ込んでしまえば勝手に警察官と揉めて自爆するというのが小野予想であり、事実そのようになった。
事件のストレスに耐えきれずに自殺したが、留守番電話と遺書に比叡明治に対するありったけの恨み言を残し、お前も責任をとって死ねと罵っている。
弱い人間は、自分を苦しめた人間ではなく、より身近で叩きやすい人間に矛先を向ける。
彼女にとっては、中途半端に自分を助けようと手を伸ばした比叡がそれに当たる。
遺書は捜査本部で確認された後、比叡に届けられた。
留守番電話に関して、比叡は「誓って事件とは関係がないものであり個人の名誉のために開示できない」として、内容は伏せたままにしている。
【片貝 碧斗】
疲れ切った子供。
母親に対して人並みの愛情はあるが、一緒に生活することは大きな負担となっていた。
基本的に家事を担当していたのは彼なので、片貝の家の洗濯物は取り込まれることなく二週間そのままになっている。
自殺を考えたが思い切れずに救急車を呼ぶ。
迎えに来る人はいるのかと言われたときに、母親が狂乱するのが目に見えていたため、身分証など提示せず(そもそも学生証しか持っていなかった)成人済みだと嘘をつき、家族もいないといった。
治療費で貯めていたお小遣いがなくなってしまい途方に暮れていたが、その必要すら無くなった。
【山下】
救急救命医
疲れ切っている。
小野の協力者であり、実行犯の一人である。
ただし彼は魔術的なことについては全く知らない、普通の人間である。
交代の人員がいないため続く当直。ようやく休めると思って仮眠室に向かった途端に運ばれてくる急患。治療したところでまた三ヶ月もすれば手首を切り、あるいはオーバードーズして運ばれてくる自殺志願者たち。
死ぬ勇気もないくせに医療リソースをこれでもかと消費して、結局はまた同じことを繰り返してなにも解決しない。徒労の塊のような若者を前に、彼はうんざりしていた。
あの連中に拘わっている間に助けることができた命が、あったはずだ。ベッドが足りないと断った患者の何人かは、この傍迷惑な社会のゴミがいなければ、もっと長生きできたのでは?
死にたいのなら死ねばいい。誰にも迷惑をかけることなく。
そう考えていたところに、方法はよく知らないがアリバイを作った上で、人間を臓器に変えてくれる小野が現れて断れなかった。
なぜなら彼女は社会のゴミを、もっと助けるべき人が助かるための資源に変えてくれる。素晴らしいじゃないか。
運ばれてきた自殺志願者は一旦治療をする。家族が迎えに来れば、不採用。誰も迎えに来なければ、いなくなっても気づかれないような人間だととして、小野に連絡して退院後に回収してもらっていた。
身分証もなく、誰にも連絡をしなかった片貝 碧斗(成人と自己申告されたので信じた)を孤独な人間だと勘違いしたことが、儀式的ニトロのきっかけである。
ちなみに爆発に巻き込まれた巩心の治療を担当したのもこの男である。
彼が何か重要な証拠を握っていたことがわかっていたので、治療するふりをして見殺しにするかどうか葛藤があった。
しかし、罪とわかっていて小野に手を貸したのは、助けるべき人を助けるため。そして職務に忠実に向き合って負傷した彼は助けるべき人であるはずだと思い、結局は全力で治療にあたった。医者として手が勝手に動いたという方が正しい。
治療が終わった後は、やはりこのままでは自分が捕まってしまうという葛藤があり、巩心の病室を度々訪れていた。
比叡に余裕がないので認識していないがしつこく話しかけてきた人物は彼である。目を覚ますまでずっと比叡が付き添っていたため、どうにもできなかった。
目を覚ました後は、証拠が警察に渡ってしまったことを確信したので、証拠を奪ったり巩心の息の根を止める意味がなくなった。
比叡の言葉を聞いて、保身に走らず人命を救ったことを肯定的に考えられるようになり、自首することを決意した。
元々、碧斗の件で小野と不仲になっていたのだが、自首を決めたことで完全に決裂。生きたままゾンビに変容させる呪文の餌食になっている。
小野が捕まったことで解放されたが、かなり正気が削れており留置所で自殺した。
遺書に残っていたのは「救命という仕事の意味と正義を思い出させてくれてありがとう」というような内容が記してあったが、彼が死ぬ頃には事件はゼロの手を離れており、宛先もなかったため巩心や比叡の元に届く可能性は低い。
【長谷川 洋平】
運悪く爆発に巻き込まれた警備員。
動き回る腐乱死体を見て発狂した。しかし混乱しながらも人命の救助と己の職務を見失わなかったため、救急を要請する。
ゾンビを四階に追い込んだおかげで、結果として黒幕の思惑は外れて多くの人が助かった。
捜査が始まった当初は、爆発現場にいたのが彼だけだったため、犯人説が囁かれていた。
改装工事を担当していた会社(企業弁護士が付いている大きい会社)と比べると、訴訟リスクが低いためマスコミに犯人扱いをされて家族は苦しめられていた。
片貝に矛先が向いたため今は落ちついており、元上司の溝口があとのことは気に掛けて面倒を見ているらしい。
【羽賀】
所轄の刑事。
特に事件に関わる動きをしたわけではないが、小遣い稼ぎの悪い癖がある。
長谷川犯人説をマスコミに流したのはこの男である。
比叡にバレたら社会的に潰されるが今のところはバレていない。背中に気をつけて生きろ。
【城田】
小柄+肝が据わっていそうという理由で、霊山に指名されて片貝の家の調査に立ち会った所轄の警察官。
六年後くらいに本庁に移動して捜査一課に配属される。
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