賜るとしたら
美酒か美姫か称号か
そんなものが誉に、戦士の勲章にはなるかもしれない
しかしそうも血腥くもない、血気に逸った日々でもないので
本日旅の途中で頼まれた仕事は、春の長雨の後の橋の修復手伝い。
荷物が悪くなる相場が崩れると先を急ぐ連中を見送り、見れば
肌の色を珍しがられる「彼」に代わって川の中でロープを引くのに率先して加わったヒュンケルは、川縁の焚火の前ホットワインのマグを手渡されるも、紫になった唇でまだ固まっている。
と、ぱたぱたっと、木靴にしては明るい可愛い音と共に腰の高さぐらいを駆け抜けていくものがある、橋を渡った向こうへ春の草摘みに出されたのはまだ機織りも出来ない子供たちか。向こうで食べ尽くしてしまうのを我慢した草いちごに何種類かの若芽、それが覗く小篭にあれなら帰りを待つ母や祖母をがっかりさせはすまいと「彼」は、もっと寂しい春の野を知る半魔は。
子供たちが川べりに降りるとヒュンケルの方に、この辺では見掛けない「きれいな」肌と目と髪の色を周囲に曝しても「問題の無い」青年の方に駆けて行き、野で編んだらしい白い花輪をちょこんと頭に乗せるのが見えた。青年はまだ春の川底を歩いた余韻で固まっていたあと、ようよう相棒に手を振って「彼」を呼んだ。
「なんだ自慢か、勝者の月桂冠代わりか」
勲章だな、といえば、青年は血の気を失ったままの唇で引きつり笑って小声で耳打ち
「地上の子供たちのこの習慣を忘れていた」
植物系モンスターの知り合いもいた俺には、友達によく似た物言わぬだけの種族をむしり取る図だ、これはさしずめ、友達によく似た生首を連ねた冠だぞ。
この勲章ならやるから早く取ってくれ、そして早くはやくここから立とう、
あの子達にはお前が上手く礼を言ってくれ、とてもじゃないが顔が作れない
これからの道中、暫く相棒にとっては恐ろしい贈り物が続く季節になったと知る、毒盃などよりもずっと。
春の、やわらかに触れて来るような風の中、半魔は眉間にしわを寄せた
●勲章
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