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榎本奏江
2026-03-28 09:05:51
8189文字
Public
ふたさに
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【ふたさに】実家
小説未満の小話。今後、漫画or小説になる予定のモノです。
Twitterに上がっていたものを最低限の加筆修正のみです。
突然始まって、途中ではしょったり、突然終わります。
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桔梗:お母さん、ご馳走様。また、時間ある時に来るから
小百合:うん、いつでも来るんだよ。二筋樋さんもまた、遊びに来てね
二筋樋:ありがとうございます。今日はごちそうさまでした
信也:無理だけはするなよ。二筋樋さんもキョウのことよろしく
二筋樋:はい
桔梗:今度はおばあちゃんが居るときに来るから
小百合:今日はショートだったからね。話はしておくよ
桔梗:ありがとう。じゃあ、おやすみ
2人:おやすみ
二筋樋:お邪魔しました
~~~
桔梗:聞きたいことあるみたいだよね
二筋樋:ああ
桔梗:ここだと誰か聞いていたら問題だから、時空門で境界の森まで行こうか。そこから話すよ
二筋樋:わかった
二筋樋:で、雄一って人は?写真にも写ってたな
桔梗:婚約者
二筋樋:
……
婚約者?
桔梗:そう、婚約者。恋人
二筋樋:じゃあ、あんたは
――
、あの時言っていたことは
――
、
桔梗:そう、あなたの考えは合ってる。間違いないよ。10年前のマル害であり、唯一の犠牲者であり、私が射殺したのは婚約者の雄一。上村雄一。私が、殺した人。でも、親と話して察してるでしょ?知らないの。私が殺したこと。いえ、親だけじゃない。彼のご両親も、仲のいい友達も、警察·一部の自隊以外のこの世のすべての人がみんな知らない。私は婚約者を殺された、悲劇の彼女。被害者。でも、彼を殺したのは強盗犯でも誰でもない。この私。
二筋樋:どうして、話さないんだ?いや、話せないのか?
桔梗:警察側がそれを【正義】とした、と言ったらわかる?
二筋樋:隠蔽か?
桔梗:証拠が消えたから、私や現場にいたこちら側の人間が口を割らない限り、この事件の犯人は【強盗犯】なんだよ
二筋樋:何故だ?何故、隠した
桔梗:1つは警察としての体裁を守るため。そして1つは、私を“個人”として守るため。もし、本当のことが報道されたら私は“ここ”には居られないからし、違う意味で審神者にもなれなかった。
――
、私はそっちの方が良いんだけれど
二筋樋:何故だ?
桔梗:裁かれるものは裁かれてほしい。ちゃんとした形で罪を償いたかった。何年経とうとその罪をしっかりと受け止めたかった。でも、それが叶わない。寧ろ被害者として周りから気を使われ、同情され、悲劇のヒロインとして取り上げられ、本当のことも言えないまま10年も周りを騙し続けている。ねえ、そんな【私の正義】に反した私を私の【歪んだ正義】をあなたが求める正義として受け止めてくれる?それでも【相棒】としてそばに居てくれるの?
二筋樋:あんたがどう思おうと、あんたがやっていることに間違いはない。そうだな。確かに隠蔽は許されることではないが、それを【受けた罰】として背負っていくしかない
……
んだろうな
桔梗:あなたが裁いてくれるなら、私はそれを重く受け止めるよ
二筋樋:あんた、それをどういう意味で言ってるのか分かってるのか?
桔梗:私が、冗談で言うと思う?
二筋樋:
……
いや。だが、本当に求めているのか?その判断を、その裁きを
桔梗:あなたは、切腹を含めた自害や死刑は「逃げ」だと思う?なんなら、殉職も逃げ?
二筋樋:「死をもって償う」、自らの命を差し出すことで責任を果たす、埋め合わせをする、という今では「逃げ」ではない
……
。だが、それを求めていては「逃げ」だと俺は思うが?
桔梗:そう
……
。やっぱり、彼が死んだから、死んで詫びるだけじゃだめ?
二筋樋:あんたはどう思ってるんだ?生きたいのか死にたいのか?
桔梗:無理して死にたいは思わない。それは「逃げ」になると私は思う。生きて、事実を明かすことができない世界で自分が雄一の本当の死と向き合って、罪を償って生きていくのが私のせめてもの彼への報いだと思っているから。ただ、「生きたい」と思うのは別。生きなきゃいけない理由はあるけれど、「生きたい」と思う理由がない。雄一がいない世界で、雄一を奪ってしまった私が、雄一をおいて生きているのが許されない、幸せになるのが許されない。時折、感じてしまう【幸せ】を自覚しまったとき、【幸せ】と思って楽しく生きている自分に反吐が出る
二筋樋:
………
っ、
画面に映っていた過去のあんたの笑顔が脳裏に浮かぶ。
目の前の「生」へ興味もなく、「死」に近づくことが許されない「からっぽ」のあんたはまるで別人みたいだ。
寒気がする。
あんなにさっきまで隣で笑って、表情をコロコロ変えていたあんたがこんなにも遠い。
あんなに目を輝かせて【正義】を語っていた姿はどこへいった?芯のある凛とした、揺るぎない表情。迷いのない真っすぐな声、眩しいぐらいに明るかった雰囲気はどこへ行った?俺が幻覚を見ていたのか?
でも、ああ
……
そうか。だからか。だから「自分」に興味がなかったのか。
だから、自分に不自然なほど無頓着だったのか。どんなに俺や周りがあんたのこと大切だ、と言ってもあんたに響かなかったわけだ。
「雄一、という存在がいない世界では“私”はどうでもいい」
そういうことなんだろう?
だから、どんなに声を届けたって【雄一】という男以外の声は雑音にしか聞こえないんだろう。
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