【SS集】creek

以前に書いたcreekのSS集です。
テキストで再投稿しようと思ったら、データが見つからない物があるので、とりあえず画像で載せておきます。ゆっくりテキストへ変えていきます。
あと、もしお話が増えたらここへ足していきます。


『少女漫画の王子様』 

「どうにかしてくれよ!」
 恋人が王子様すぎる。トゥイークは両手いっぱいの薔薇の花束に埋もれながらクラスメイトに向かって叫んだ。
「おーすげー。今度はなに?」
まず反応したのはスタンだった。トゥイークの花束を半分引き受けると、流れる様にウェンディに渡しに行って、女子にきゃあきゃあ言われている。
「スタン! なにすんだよ!」
「ごめん要らないんだと思った。で?」
「クレイグに、本当に僕の事が好きなのかわかんないって言ったら、朝これ持って家の前に立ってた」
トゥイークは、「確かにこんなにあってもどうしようも無いけどさ。」と適当な席に座る。
……キマってんな」
「カートマン口挟むな」
「嫌なら嫌って言った方が良いよ」
「微妙なとこだから困ってんだろキャ」
「僕の名前はキャじゃない油壺」
「俺の名前も油壺じゃありません」
 トゥイークが来るまで、スタンはカートマンとカイルとケニーの4人で話していた。一時期メンバーに加わっていたからか、脱線もするが、意外とトゥイークの恋愛を真面目に聞いてくれるので、彼は内心驚いていた。
「最近クレイグがますます優しくて、逆にプレッシャーだよ」
「確かに、最近怖いくらいだよね。強迫観念でもあるのかって感じ」
「はっきり言えよ、うざいって」
「やめろカートマン」
「いいよスタン。その通りだ」
男子達の中では、苦労しているのはむしろトゥイークの方だという認識がほぼまとまっていた。彼氏が少女漫画の王子様だと、付き合う方は大変なのだある。
「薔薇? 要らないの? 女の子にあげてくるからちょうだい」
真っ赤な薔薇は、半分になってなお机を埋め尽くしている。
「それはさっきスタンがやったよ」
「だまれクライド」
やってくるなり罵倒されたクライド意気消沈して着席した。話の流れをカイルが教えてやると、なるほど、という顔をして、「クレイグって、ああ見えて思いきりいいよな。」と頷いた。
「思いきりが良いというより頭悪いんだよ。とりあえずやってから考えようって思ってるだろあれ」
カートマンがすかさず口を挟む。トゥイークは否定できなかった。クレイグは押しに弱いところがある。強く言われるとそうかも、と思ってすぐに受け入れてしまう節があるのだ。勝手に口を挟んでくる周りに言われれば、演じるというより、彼氏とはそういうものなのかもと思っている可能性がある。トゥイークは、減った薔薇を見てクレイグが気分を悪くしないか考えた。
「彼氏ってロールプレイなんかいらないよ。そんなことしなくても僕はクレイグが好きなのに。恥ずかしいし」
「まぁなぁ……女の子なら喜ぶのかも知れないけどさ、野郎捕まえてカップケーキはなぁ」
スタンが言う。
「そのうち全国放送で僕に愛を囁くんじゃないかって心配だよ」
「お前のその愛され自覚なんなんだよ」
「結局惚気か。」と解散解散とカートマンが手を振る。
「2人が順調ならそれが一番だよね」
ずっと黙って話を聞いていたケニーがモゴモゴと笑った。
 授業が終わって、ロッカーの前には人が溢れている。トゥイークとクレイグもまた、次の授業の支度をしていた。といっても、クレイグは教科書なんか知らねーという顔をしてトゥイークを待っているだけなのだが。
「お?」
クレイグが振り向くと、どうしようという顔のスコット・マルキンソンと、その後ろで真っ青な顔をしているトゥイークが目に入る。間違えて手を繋いだらしい。
「あー、ハニー?」
トゥイークは「う、うわ、うわ浮気だー‼︎‼︎」と叫ぶや否やクレイグに向かってタックルをかまし、胸ぐらを掴んだ。今まで僕に優しくしてたのは罪悪感からなの⁉︎と喚き散らかしている。可哀想なスコット・マルキンソンはクレイグにぎゅっと握られた手をなんとか振り解いて逃げた。生徒達の目が一斉に彼らの方を向く。
「ごめんよハニー。許してくれ」
クレイグは甘い声で「お前だけだ。」などと囁いてトゥイークを抱きしめた。彼は「こんなに悩んでるのに!」となお喚くトゥイークを教室へ連れて行く。スタン達はクレイグがこちらに向ける中指を見て、まぁトゥイークも大概なんだよなと解散した。