萩月
2026-03-27 20:44:10
3276文字
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【パロディ】アタル少年と小2ブロッケンのお話

高校2年生くらいのアタル少年と小2ブロッケンくんの話を置いておきます。
他のことははっきり決めてませんので、ふんわりした感じでお読みくださいです。



(2025年2月に画像化してたものの再掲)

はじめての ばれんたいん


「今日いっぱいもらったんだぜー」
 ブロッケンは公園のベンチににこにこと今日の戦利品を並べる。駄菓子からいかにもバレンタインコーナーにありそうなもの、手作りと思われるものまで、様々だ。
「お前はなかなか人気者だな」
 アタルは小さな頭を撫でながら、今日の己の一日を思い起こす。

 下駄箱から始まり、机の引き出しの中の溢れんばかりのプレゼント。数名直接渡しに来た者や「渡してくれと言われた」と配達係を通したものまで。
 しかし、一つとして受け取らなかった。渡しに来たものは断ったし(それでも受け取って!と突進してくる女子も華麗に躱した)。勝手に入れられたものは教室に置いてきたので、誰かのおやつになってるかもしれない。
 アタルがバレンタインのプレゼントを受け取る相手は、身内を除けばこの世にただひとりなのである!
「まぁ……お前もいずれは身内だが……
「うん?なんだ?」
「なんでもない……ところでブロッケン……
 じっ、とブロッケンの顔を見つめる。
 他の者から受け取らなかったのは己のエゴである。それをブロッケンに押しつけるつもりはない。年上の余裕を見せるのだ。
 しかし、唯一その権利を持つ者はそれを行使してくれるだろうか。まぁまだ自分が渡す側という意識はないかもしれない……と一抹の不安も混じりながらも、期待は捨てられない。
 そんなアタルの心中を察してはないが、あっ!とブロッケンは促されたようにごそごそとひとつの包みを取り出した。
「はい!隊長にあげます!」
「ヨシッッ!!」
 アタルはグッと拳を握った。喜んでるらしいことを感じ取ったブロッケンは、えへん、と胸を張って続けた。
「ロビンもラーメンマンもうまい、って言ってたから、多分うまくできてるっつぇ」
……手作りか……あ、え?」
 アタルに更なる喜びと引っ掛かりが生じた。好きな子の手作りとはこんなにも嬉しいものなのか。
 が、しかしである。
「あげたのか……俺以外のヤツにも……
「うん!あとテリーとウォーズと……
 悪びれもない様子で、指折りながらつらつらと名前を並べる。弟の名前もあった。
 俺という者がありながら、他の男にも渡しているとは。それは駄目なことだぞ、と教えてやらねばならない。年上なので。
 ──とアタルがブロッケンの肩を掴もうとした時だった。
「それでな、隊長……
 ブロッケンが口元に手をあてコソコソ話をするように声を落としながら、アタルを見つめた。
「ん?」
 アタルが耳を近づけると、ふふ、と笑う息遣いがこそばゆく感じた。
「隊長のには、とくべつに、キラキラ乗せてるんだ」
「キラキラ」
 アタルは包みを開け、中に入ってるチョコレートを見た。一度溶かしたものを色付きのカップに入れ固め、そこにカラースプレーを乗せた、低年齢でも作りやすそうなそれだった。
 その中にいくつか、銀色の粒が乗ったものがあった。
「これのことか?」
「そう!それはとくべつ!」
 ブロッケンはへへ、とはにかんだ。鼻の頭が赤いのは寒さの所為だけではなさそうだ。
 アタルは冷えてきたな、と内心とは真逆の言い訳を呟きながら、ブロッケンの体を抱えた。
 膝の上に乗せると、上機嫌に笑う恋人が見上げてくる。
「ブロッケン、オレも準備したんだが家に忘れてしまってな。だから、ウチに来ないか」
「今日は公園に行くって言ってきたから、他の所に行っちゃだめなんだっつえ」
……お前のそんな所も好きだよ」
 純粋な瞳に、アタル少年の浅はかな作戦はいとも簡単に打ち破られたのだった。
 それでも、小さなチョコレートの輝きに、今日という日に満足するのであった。


 その日の夜。
 キン肉スグルは兄に「オレのチョコにはキラキラが乗っている」と謎の自慢をされた。


end