spicy2drop
2026-03-08 00:00:00
2714文字
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おまけ~未来組WEBオンリーに間に合わなかった短編たち~

ここまでようこそ。タイトル通りのものです。
ほんとにおまけなのでどうぞ他の方の素敵な作品を見てきていただいて、もし時間があったら…

思いつくタイミングがギリギリすぎて冒頭部分までしか書けなかった短編を2本。
いつか完成させたいです…


つくるぞ知育菓子!(仮)



「今日はみなでこれを作ってみたいのだ!」
キラキラした表情のアポリアが取り出したのは、カラフルなパッケージの菓子の山であった。
「なんだね、それは」
パラドックスが怪訝な顔をする。
「ああ、以前から少年に聞き及んでいてな、アンチノミーと不動遊星の協力でここに再現してもらったものだ」
どこか自慢げなアポリアはパラドックスの質問の意図とは少々ずれた返答をする。
「アポリア、パラドックスはおそらく『作る、とはどういう菓子なのか』と、聞きたいのではないですか?」
「そうか、すまない……説明がまだだったな。これは知育菓子と呼ばれる種類の菓子だ。素材を混ぜ合わせるなどの簡単な工程を踏んで遊びながら完成させて食す菓子なのだ」
「なんと無駄な手間のかかる菓子だ……それも食べ物で遊ぶなど、くだらん発想だ。これだから平和な時代の人類というのは……
ブツブツと苦言を零すパラドックスの横で、アポリアの表情がじわじわと曇っていく。
菓子の一つを手に取ったゾーンがパッケージを読み上げる。
「なるほど、化学反応を利用したりもするのですね……児童向けの簡易な実験のようなものでしょうか?」
「ほほう……実験とな?」
ゾーンの言葉にパラドックスの怪訝な表情が笑みに変わり、アポリアもぱっと顔を輝かせる。
「しかしなぜこのようなものを?」
「憧れだったのだ……こういう平和な世界でしかできない遊びが、友と一緒に遊ぶことが、菓子をたらふく食うことが……
熱の籠もったその言葉に先程まで文句をこぼしていたパラドックスの表情も引き締まる。
そういえばアポリアは4人の中では最年少だ。成人してから世界の崩壊に巻き込まれた自分たちとは異なり、彼は幼い日にすべてを奪われてしまっている。
「やりましょう、アポリア。ええ、あなたが満足するまでお付き合いさせていただきますとも」
うんうんと深く頷く、末っ子に甘いゾーンであった。

……で、エプロンを用意する必要はあったのかね?」
文句を言いながらエプロン着用で髪をひとつにまとめあげているのはパラドックスの真面目なところである。
「こちらの菓子は水と混ぜるだけのようですが、そちらは電子レンジを使ったりと意外に本格的なものであるようですし、念の為にですね」
割烹着を付けたゾーンが楽しそうにあれこれと説明をする。随分と乗り気のようだ。
二人の姿を見て、「希望」とでかでかと書かれた謎のエプロンをしたアポリアは嬉しそうにニコニコと笑顔を浮かべている。
「ところでアンチノミーは来ないのかね?」
「ああ、彼は不動遊星たちのところで何度か食したことがあるとか。それと……なにやら後できっと必要なものを持って行くから先にはじめておいてくれと」
「そうですか……では早速はじめましょうか」

~一品目~
専用の粉を水と混ぜ合わせることにより化学反応でムース状の飴のようなものが作れる有名な菓子である。
「重曹とクエン酸の中和反応で炭酸ガスを発生させて膨らみ、その過程で色が変化するのはアントシアニンによるもの……ふむ、子供向けの初歩の実験としてはなかなか愉快かもしれんな」
どうやらパラドックスのお気に召したようだ。

(つづく)