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usagipai
2026-03-01 19:13:42
3850文字
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「はははー! クリーンヒットだー!!! だっっせぇーー!!!! ははは!!!!!」
乾いた笑い声が、石畳の広場に弾ける。
まるで空気までひび割れるような、不快な響き。
「ふふ、いい気味だわ〜!!」
嘲りの声が重なり、砂埃が舞い上がる。
「
……
っ、これは
……
」
スフィーはよろめきながらも、静かに足を踏みしめた。
崩れた体勢をゆっくりと立て直す。
頬には赤い線。
白い衣は砂に汚れ、袖口がわずかに裂けている。
それでも
――
その背は、まっすぐだった。
「
……
スフィー、いいよな」
低く押し殺した声が、隣から零れる。
ピアの拳が、ぎゅっと握り締められている。
爪が食い込むほどに。
「ピア、大丈夫です
……
ほら、行きますよ」
スフィーは微笑んだ。
いつものように、柔らかく。
何事もなかったかのように。
その笑顔が
――
逆に、火をつけた。
「よくねぇよ!!」
弾けるような叫び。
「スフィー、この行為はな
――
お前が神として
……
神子として舐められてる証拠だぜ!!」
肩が震えている。
怒りか、悔しさか、それとも両方か。
「僕はヤダね。お前がこんな仕打ち受けて『はいそうですか』ってなるわけねぇだろ!!」
拳だけじゃない。
声も、心も、全部が震えている。
スフィーは一瞬だけ目を見開いた。
そして、困ったように微笑む。
「ピア
……
ありがとうございます。貴方がそう言ってくださるだけで、私は救われます」
その言葉は、優しくて。
温かくて。
だからこそ
――
「
……
っ」
苦しい。
「そうじゃねぇよ
……
僕は
……
」
守りたい。
怒りたい。
壊してしまいたいほど悔しい。
でもスフィーは、争いを望まない。
だから自分が怒れば、きっと彼女は悲しむ。
「ピア?
……
きゃっ!」
次の瞬間、ふわりと身体が浮いた。
視界が一気に高くなる。
そこにいたのは、いつものうさぎのフィネピアではなく
――
長身の男の姿になったピアだった。
「スフィーが言うことを聞かないなら、僕も聞かない」
軽々と抱き上げられ、背中に回された腕は驚くほどしっかりしている。
「ふふ、しっかり捕まってないと落っこちちゃうよ? 神子サマ♡」
わざとらしく甘い声。
けれど、その腕は強く、優しく、絶対に離さない意志を宿している。
「ふぁっ
……
ピア
……
!」
思わず、スフィーの指がピアの衣を掴む。
細い指先が、わずかに震えていた。
それを、ピアは見逃さない。
「ほらな」
小さく、呟く。
「僕がいなきゃ困るだろ?」
からかう口調の奥に、滲む本音。
――
お前が傷つくの、もう見てられねぇんだよ。
スフィーは少しだけ視線を逸らす。
それから、そっと微笑んだ。
「
……
困りますね。とても」
その言葉は、拒絶ではない。
どこか甘く、静かな肯定。
ピアは満足そうに鼻を鳴らした。
「じゃあ決まりだ。今日はもう帰る。僕が連れてく」
遠くでまだ嘲笑が続いている。
けれど
――
ピアの腕の中にいる限り、
その声は少し遠くなった。
スフィーはそっと目を閉じる。
ほんの少しだけ、重さを預ける。
それを感じ取ったピアの歩みが、わずかに優しくなった。
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