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彼方理路
2684文字
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#BL_華組
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〈sweet morning call〉
SS/誓汝×雪砂(現在軸)
同棲中の朝の一コマ
1
2
【誓汝side】
(
……
あー、クソ。また“コレ”だ)
胸の奥に潜むドス黒い独占欲が、右腕の痺れとともに毎朝目を覚ます。
腕枕で眠る雪砂の頬にかかる柔らかな髪、薄く開いた唇、呼吸に合わせてわずかに震える白い首筋。そのどれもが、抑え込んでいた衝動を静かに、しかし確実に刺激していく。
かつて、元カノに「愛が重すぎて怖い」と振られたあの日のことを思い出す。あれから、もう二度と誰かにのめり込むまいと誓ったはずだった。適度な距離感を保ち、互いに傷つけ合わない関係。それが楽だと思っていた。
だが、雪砂は違う。
愛を知らず、孤独に生きてきた彼は、歪んだ独占欲さえ「愛されている証」と受け取ってくれるのだ。
『誓汝
……
』
寝言で名を呼び、身体を擦り寄せてくる仕草。その無防備な信頼が愛おしすぎて、理性は毎日限界まで追い詰められている。
このまま部屋に閉じ込めて、誰の目にも触れさせたくない。オレだけのものだと、その全身に何度でも刻み込みたい。
(
……
落ち着け。もう絶対、怖がらせるような真似はしねぇって決めただろ)
そう言い聞かせながら、必死に気持ちを抑える。
……
夢じゃないか確かめるなんて、煽ってくるまでは。
✽✽✽
「朝からオレのこと煽った責任、ちゃんと取ってもらうからな?」
低い声に、小さく震える身体。
逃げようとした手を逃さず、覆いかぶさるように唇を塞ぐ。
「んっ、ふ
……
っ!」
朝の挨拶とは到底呼べない、深く貪るようなキス。
徐々に抵抗する力が抜け落ちていくのを感じながら、舌を絡めて熱を流し込む。息が上がり、涙目でシーツを握る姿さえ、欲望を強く煽った。
「っは、ぁ
……
ちか、な
……
」
「
……
名前、呼ぶな。止まれなくなる」
荒い息を吐きながら唇を離し、首筋へ顔を埋める。甘く匂い立つ体温が、わずかに残った理性を焼き切っていく。
「
……
ここ。見える場所だけど、いいよな?」
「え
……
あ、んっ!」
鎖骨の少し上、襟元から覗くか覗かないかの絶妙な位置に強く吸いつく。
雪砂の声が上擦り、赤い痕が鮮やかに残った。
「っ
……
誓汝、これじゃ外で
……
」
「見せつけとけばいいだろ。お前がオレのもんだって、悪い虫共に分からせるために」
満足げに笑い、潤んだ目尻を優しく拭う。
瞳は情欲で濡れているのに、向ける眼差しだけはどこまでも甘い。
「雪砂。お前はオレのだろ?」
「
……
うん。ボクは、誓汝のもの
……
」
「よし。
……
愛してるよ」
その言葉の重さに雪砂が応えた瞬間、再び強く抱きしめる。そっと柔らかく抱き返される感触に、独占欲も愛情も、すべてが溢れてしまいそうで、思わず苦笑いを零した。
──こうして今日も、尽きることない幸福に溺れていく。
結局、このあと二人がベッドから出られたのは、遅刻ギリギリの時間だったのはここだけの話だ。
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