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壱加
2026-02-22 15:03:01
7753文字
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猫の日のブラネロ(現パロ)
2024の猫の日に書いた、ブラッドリーと別れたネロが猫を拾う話に加筆(2025)したものの続きを足した(2026)ものです。
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脱走癖があるブラッド(猫)だが、日が暮れると帰ってくる。
外に出ていたことに気付かないこともあるくらいだ。
「一匹で退屈してんだろう」
過保護すぎだとネロを笑うのは、三年前に別れてなんやかんやあってまた付き合うことになってしまったブラッドリーだ。
帰国して再び本社勤務になったブラッドリーは週末になるとネロの部屋にやってくる。週末じゃなくてもやってくるけれど、週末は泊っていくのだ。
ブラッド、と呼ぶと人間も猫もこちらの方を見る。それが最近のネロのお気に入りだった。
最初はブラッドリーが来ると離れたところからじっと見つめて警戒していたブラッドだったが、今は慣れたのかソファの上で眠ったままだったりキャットタワーのお気に入りの場所で丸くなっている。
たまに玩具を取り出してブラッドリーがブラッドと遊んでいるが、あまり触っているところを見たことがない。
「触ってほしかったらあっちから来るだろう」
確かに、ブラッドはネロの上にはよく乗ってくるし、触れと言うかのように足元にやってくるがブラッドリーにはそれをやらない。嫌いではないが好きではない、ということだろうか。
仲が悪くないならそれでいいか、猫は気まぐれで気難しい。ネロには甘えてくるけれどブラッドリーには甘えないというのも、猫なりに何か思うところがあるのかもしれない。
「
――
あれ? ブラッド?」
仕事から帰宅すると、いつもネロを出迎えてくれるブラッドの姿が廊下にない。
もしかして、また脱走して帰ってきていないのだろうか。そういうときもあるが、だいたいはベランダから名前を呼ぶと近くにいるのですぐに帰ってくる。
おかげで昔みたいに近所を必死になって探すことはなくなったが、一瞬ヒヤっとするのは変わらない。
ネロは買い物袋を抱えてリビングに足を踏み入れた。
「って、いるじゃん
……
ん?」
猫ベッドに黒と白の毛並みを確認して肩から力が抜けるが「にゃー」と耳に馴染みがない声が聞こえてきて首を傾げた。
「え、ちょっ、はぁ!?」
ネロを一瞥したブラッドが立ち上がる。口に何かを咥えて。
何かというか、仔猫だ。
薄っすら汚れた白っぽい仔猫を咥えている。
咥えたままネロの元にやってくるブラッドに目を丸くしたが、すぐにしゃがんで仔猫を受け取った。
痩せすぎて骨が浮いているが意識ははっきりしているようだ。猫が猫を拾ってくるってどういうことだよ、と叫びたいのをぐっと堪えてネロは携帯をポケットから取り出す。
連絡先はもちろんブラッドも通っている動物病院である。
「それでもう一匹増えたのか」
「うん
……
」
週末にやってきたブラッドリーは一匹増えた白猫の経緯を聞きながら、仕事終わりの一杯だとビールで喉を潤した。
動物病院で見てもらった結果は問題なし。ひとまずネロが世話をし、里親を探すべきだろうかとファウストに相談しつつ考えている。
二匹が仲良さそうにくっついている姿は可愛い。
なによりブラッドが仔猫の世話をしている姿が微笑ましいのだ。
仔猫の毛づくろいをしたり、仔猫がブラッドの尻尾で遊び始めれば、ゆらゆらと尻尾を揺らして相手をしているところなんかはたまらず、一日中でも見ていられる。
「だけど二匹かぁ
……
」
「なんだよ、引き離すのか?」
「そういう言い方やめろ」
ますます悩むだろう、と頭を抱えてしまう。
ブラッドが仔猫を拾ってきたという驚きの行動を思うと、引き離してはいけない気がする。拾ってきてからまるで親のように面倒を見ている姿を思うと覚悟を決めなくてはとも思う。
「いや、もう飼う気ではいるんだよ
……
あんなにブラッドが気に入ってるんだし」
ファウストにも「引き離すのは可哀想では?」と二匹一緒にいる姿を見せたら言われた。ネロ自身もそう思っている。
ブラッドが動けば仔猫も一生懸命あとを追いかけ、寝ているうちにブラッドがいなくなればどこにいったのかとにゃあにゃあ切ない声で鳴くのだ。ネロが近くに行っても違うという顔をされ、ブラッドが戻ってくると鳴き止む。
ブラッドがネロを信用しているから仔猫もネロを警戒しないが、一対一になると困惑しているように感じるのは多分気のせいではない。
「そうだな。あいつも自分の相棒が欲しかったってことか?」
「え?」
「自分で見つけてくるなんて、流石俺様と同じ名前だけあるな」
そういうと、ブラッドリーは珍しく自分から猫たちに近寄っていく。
仔猫はぴったりとブラッドにくっついているが、ブラッドはブラッドリーを見つめて鼻を鳴らした。褒められて気分がいいのかもしれない。
「ってことは、そいつはネロか」
「
……
なんて?」
「てめえは今日からネロだってよ」
「馬鹿馬鹿!! なに人の名前で呼ぼうとしてんだよ!」
自分の名前を猫につけて呼ぶなんて頭が可笑しいだろう。そんな変態にはなりたくないと声を荒げるがブラッドリーは笑っていた。
「あ? 勝手に俺様の名前つけたのはてめえだろう。観念しろ」
「なんで!?」
「そりゃ、ブラッドの隣にはネロだから、だろう?」
他にねえだろうと笑うブラッドリーの言葉に口がぱくぱくと開閉するが言葉は出てこない。
なぁっとブラッドリーが猫たちに同意を求めれば、ブラッドがにゃあっと鳴く。
羞恥で顔が熱くなっているネロはぬぐぐぐっと唸り、頭を抱えた。
「
……
せめて、ネリーにして
……
っ」
敗北を認める白旗を心の中で上げて絞り出した声に、仕方がないと言うかのようにブラッドがにゃうっと鳴き、仔猫の顔を舐めるのだった。
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