真九龍
2026-02-20 19:53:16
16380文字
Public 小説
 

【鳴ライ新刊】紅月円舞曲 - Blood Moon Waltz -

2026年3月6日(金) 葛葉ライドウWebオンリー・大正妖都ニ華開クにて発行
全76P/全年齢対象
BOOTHにて頒布/価格¥700+送料¥370(※送料はBOOTHのあんしんBOOTHパックのネコポス便の送料分です)
通販URL:https://kuryunosuke09.booth.pm/items/7734911
鳴海×葛葉ライドウの長編小説です。
新刊サンプルとして、第一章を公開します。
注:本編は流血及び吸血表現が含まれます。

【訂正のお知らせ】
奥付に記載されているX(旧Twitter)のアカウント「@funo9ryunosuke」ですが、2026年4月末のアカウント削除に伴い、検索不可能になります。
引越し先の新ユーザー名は「@re_shin9ryu_2nd」となります。
ご了承ください。
また、マシュマロも退会に伴いQRコードからの検索及びメッセージが送信不可能となりますが、Waveboxの方は引き続き検索とメッセージを送ることは出来ます。
本を発行したばかりですが、本当に申し訳ありません。
お手数をおかけしますが、宜しくお願いします。

2026年4月 真九龍


 鳴海の担当医師は、原因不明の貧血、しかも重症という診断が出ている為、あと二日は安静にすべきだと切実に訴えた。鳴海の血色が非常に悪かったのは貧血と判明し、診断書に原因不明と記載したのは、診察で根拠となる原因を発見出来なかったからだろう。
(鳴海さん、貧血を起こしていたのか……でも、あの小さな傷からどうやって血液を……まさか……──吸血?)
 
──吸血──

 字の如く、血液が吸われること。
 人間が多量の血液を吸うことは、絶対に不可能だ。注射器等を使用すれば話は別だが、鳴海を襲撃した犯人は此れと言った道具を持ち合わせず、噛傷から吸血している。
(──此の事件、悪魔に因る犯行が濃厚になってきたか)
 襲撃事件の犯人は悪魔、其れも、人間の血液を異常に好む吸血系悪魔かもしれない。残滓を自ら消す技に長ける高位の悪魔、或いは、変貌した特異個体か。ライドウは手帳を取り出し、鳴海の診断名と、脳裏に浮かんだ自身の見解を記す。
(改めて見直すと、鳴海さんの退院理由が益々──いや、僕は鳴海さんの心を覗くことを諦めたんだ……退院理由云々より、先ずは先生を説得しないと)
 鳴海が退院したい理由は、本人の口から何れ語られること。
 ライドウは割り切った後、担当医師に対し、重度の貧血であっても探偵社で安静に過ごせば、時間の経過とともに体内で血液が生成され、軽快していくだろうと説得する。しかし、担当医師は鳴海の容体が安定したら、検査の予定が有ると厳しく叱責し、退院許可の判を押さなかった。
……おい先生。確かに鳴海ちゃんの顔色は悪いが、口論するくらい元気なんだよなぁ……けど、こうも煩いと他の患者さんに迷惑が掛かっちまう……此処は一つ、判を押してくれねぇか?」
 ライドウが説得の台詞を必死に構成する中、風間が担当医師の前に出た。担当医師は「馬鹿なことを言うな」と毒づくも、風間は一歩も引かず、警察の権限を存分に発揮して脅迫、もとい、あれこれ上手く言い包めて担当医師を説得した。風間の気迫に圧されたのか、それとも対応するのが段々面倒くさくなったのか、担当医師は「本当にどうなっても知らんからな」とぶつぶつ呟きながら、退院許可の判を押した。
 此処で探偵師弟の要望を反故すれば、風間という名の漢が廃る。風間は一世一代の大勝負に出、見事勝利を掴んだのであった。