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めぐみ
2026-02-11 20:00:57
9823文字
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居場所(ふるあず)
そしかい後はじふる済
新一と梓・降谷の会話
n番煎じポンコツ梓のラブコメです
2026/7/13 加筆後公開
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「ん・・・・・・」
小さく息を漏らして、新一は大きく伸びをした。
平日の夕暮れ時、喫茶ポアロには穏やかな時間が流れていた。高校生の帰宅時間にはなるが、仕事帰りの客はまだ来ないし、昔この店にいたイケメン店員目当ての女子高生たちの姿も、今はもうない。
いつも放課後共に過ごす恋人は委員会の仕事のために遅い。待っていると伝えたが、はやく帰って遅れたぶん勉強しなさい!とどやされてしまった。成績は問題ない・・・・・・のだが、それを言っては蘭の機嫌を損ねるのは明らかだ。それよりは用事を済ませた彼女と待ち合わせて一緒に過ごしたほうが賢いだろうと、新一はここ喫茶ポアロで蘭を待ちながら勉強をしていた。
「ふふ、新一くん、お疲れ様。はいこれ、常連の受験生さんへ差し入れ!」
新一の集中力が切れたことを察して、梓が声をかけてきた。よく見ているな、と苦笑いする。
「ありがとうございます。長居してすみません、ちょっと休憩します」
コーヒーに添えられたチョコレート菓子に手を伸ばす。メニューにはない市販のそれは、梓がよく自分でも好んで食べるものだ。
「あら、気にしないで。知ってると思うけどわたし、お2階さんにはたっくさんお世話になってるからね!」
「う・・・・・・でも、俺には関係ないでしょ」
「やだ、蘭ちゃんの恋人でコナンくんの親戚でしょ?お得意様だし、事件に巻き込まれたときなんか助けてもらったんだから、もてなさなきゃ。ああ、いずれは毛利探偵の義理の息子・・・・・・かな?」
にこっと笑いながら梓が揶揄ってくる。
「いやぁ!その・・・・・・それは気が早いですよ。それに、蘭もコナンも梓さんにはたくさんお世話になってますから、気にしないで。でもありがとうございます」
耳が熱くなるのを感じる。園子をはじめこれまで何度もからかわれてきたはずなのに、梓にからかわれると思わず油断していた。
「うふふ、高校生ってかわいいわ〜!自分のことじゃないのにキュンキュンしちゃう!」
「キュンキュンって・・・・・・梓さんだってあるでしょう。噂になってますよ」
「噂?」
「そう。この間警視庁行ったとき、やっぱり梓ちゃんは安室くんと付き合ってたんだ〜!って刑事さんたちが噂してました」
事件の事情聴取の帰りに聞こえてきた噂話だ。よくポアロで見かける常連の刑事の嘆きが偶然聞こえてしまったのだ。彼はまだ安室が降谷であることを知らないらしい。
「えー!やだ!付き合ってなんかないわよ。新一くんだって知ってるでしょ?あむ・・・降谷さんはよく来てくださるお客様のひとりよ」
「はは、降谷さんも付き合えてないって言ってました。梓さん、安室さん・・・・・・降谷さんのこと、ぶっちゃけどう思ってるんですか?」
休憩がてら、新一はカップに口を付けながら尋ねた。
死線をくぐる潜入捜査を終えたのち、降谷は本来の身分を明かしてポアロに顔を出している。理由は誰の目にも明らかで、梓に会いに来ているのだが、未だ交際には至っていない。
降谷本人に訊けば、難しい顔で「全く伝わらないんだ」と零していた。あの完璧人間にそんな顔をさせる梓の気持ちを知りたいと思っていたのだ。
「えー、ぶっちゃけ?そうね・・・・・・ああ、大尉くんみたいだなって!ほら、うちの飼い猫の」
知ってるでしょ?と人懐っこく笑って首を傾げる。もちろんそりゃあ覚えてますとも。コナンとして飼い主探しをしたし、大尉と会いたがる少年探偵団と一緒によく様子を見に行ったものだ、とは言えない。新一がコナンであったことは相変わらずトップシークレットだ。
「ええ?大尉ですか。もちろん知ってますよ、コナンからも聞きました。でもなんで?」
「うーん、ほら、大尉も前のお家では漱石って呼ばれてたのよ。降谷さんも、昔は安室さんだったでしょ?似てるなーって思って!こう、野良っぽくて居着いてくれないところも似てるわ」
「ああ、なるほどそういう。しょっちゅう事件のために毛利探偵のもとに行ったり、コナンと出かけたりしていたらしいですね。」
「そうなのよ、困ったバイトさんでしょ?」
そう言いながらも梓はまったく困ってなさそうに笑った。あの頃頻繁に欠勤していたときと同じ顔だ。
「ずいぶん仲が良かったとか」
「そうねー、今思えばよくあんなイケメンと仲良くなれたわ。そのうえ実は探偵兼フリーターじゃなくて、警察官だなんてちょっとデキ過ぎよね。仕事の買い出し一緒に行くだけじゃなくて、メニュー開発のためのカフェ巡りとかまで付き合ってくれたんだから!今じゃ信じられないわ」
「信じられない?どうして?今も降谷さん、誘えばどこでも付いてきてくれると思いますけど」
「いやあ、あんなすごい人がこんな小娘とプライベートで出かけるなんて本来ありえないでしょ!いくら仕事関連のお出かけって言ったってバイト代も出ないんだし。ポアロには来てくれるけど、前ほどは話さないわ。コーヒー飲んで、ちょっと世間話して帰って行く。誘うなんてムリムリ」
「貴重ですよ?降谷さんの世間話。あの人めちゃくちゃ忙しいから」
「やっぱそうなの?なんかこの間降谷さんの部下?の方が来て、多忙な降谷さんの時間を取らないでください!とか言われちゃってさ〜、でもわたしに言われても仕方ないじゃない?とりあえず、お店でコーヒー飲まなくてもいいようにテイクアウトをお勧めするくらいしかわたしにできることはないわ」
ふう、とため息をついて呆れ顔で梓が話す。何やら修羅場があったようだが、梓はそのことに気づかなかったらしい。
「はは、降谷さん、テイクアウト勧められたってしないと思いますよ。ところで、その部下の方ってどんな方でしたか?」
「そう!そうなのよ、さすが名探偵ね。お忙しいでしょうしテイクアウトいかがですか?って聞いたけど断られちゃった。降谷さん、部下の方困らせてる自覚ないのかしら?部下の方はね、すっごく綺麗な方だったわ!スーツビシッとキメちゃって、ショートカットが似合っててさ〜、わたしとは正反対だけど、憧れちゃう!」
恐らく、その部下は降谷のことが好きで牽制しに来たのだろう。だが、当の梓は二人の思惑を知る由もない。
「その話、降谷さんにはしました?」
「してないわ。部下の方も知られたくないだろうなって思ったんだけど・・・・・・伝えたほうがいいのかしら?」
「うーん、どうかな。伝えてみてもおもしろそうだけど。・・・・・・梓さんは、降谷さんは何故ここに通っていると思いますか?」
「あの人、きっとポアロが大好きなのよ。働いてたときもなんだかんだいって楽しそうだったし・・・・・・わたしもそうだから分かるわ。ポアロってば罪作りよねえ」
「ポアロが好き、か。俺の推理では、梓さんに会いに来てると思うんだけどなあ」
「え〜!!そんなのないない!炎上しちゃうわ!」
身体を大きくのけ反らせて勢いよく否定する梓に、新一は思わず額を押さえた。何故そこまで認めたくないんだ。
「そんなに否定しなくても。高校生探偵の推理ですよ?当たってるかも。それこそ降谷さんに聞いてみてくださいよ」
「ええ・・・・・・?そんなわけないと思うけどなあ。安室さんのときほど仲良く喋ってるわけじゃないし。でも、そうね。来ている理由が分かればお仕事に集中できるように協力できるかもしれないもんね、聞いてみるわ!」
これで素直に降谷が話せば多少は進展するだろう。少しお節介だったかもしれないが、そうでもしなければこの2人は進展しなさそうだ。
カラン、と扉からベルの音がしてそちらを見やると、ようやく待ち人が来たようだ。
「新一!お待たせ、ちゃんと勉強してた?」
「してたっつーの。今はちょっと休憩してただけ」
「ホントかなあ?梓さん、わたしコーヒーと半熟ケーキください!甘いもの食べたくなっちゃった」
「ふふ、新一くんちゃんと勉強してたわよ?ご注文承りました、少し待っててね!よかったら向こうのテーブル先にどうぞ」
勧められるままに席を移動する。蘭が夕飯の準備をするまでの長くはない時間だが、一緒に過ごせるのが嬉しい。いつかあの頃みたいに蘭の父とも食卓を囲めたらな、とは思うけれど。
降谷と梓の話はこれで終いだ。はやくまとまってくれよ、と注文の準備をする梓を見やった。
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