akinoshiroihana
2026-02-03 21:50:32
5063文字
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鬼追わぬ里 (2022年節分ネタ)

そういえば22年あたりの作品は持ってきてないなと。
以下、同年の東映版とネオゲ版新ゲ版書きなぐりも置いときます。
東映だけ名刺整形しよっかな……




深い雪を踏む音

あー、つまり多分こいつは、「鬼の角」は、「あっちの」世界では強い洗脳力のあるもので、「そっちの」世界ではそれなりの洗脳力がありつつの爆弾首輪だった、ってことかな
ああ、だいたいそうなんだろうな

じゃあなんで助かったんだろうお前、この方針で進めてたのから
『遂に百鬼帝国は全滅した。そしてリョウたちは海に漂うハヤトを発見するのだった』
死んでました落ちっぽくねえかこれ?
もう鬼にされてたのを回収されたシーンなのかも知らないぞ?だったらこの没になったラストシーンがそういう話かと

  ハッと気付くハヤト、操縦桿をグッと握る
ハヤト『リョウ!ベンケイ!』
ベンケイ『この野郎、やっと気付きやがったか』
  嬉しくて涙がポロポロこぼれる
リョウ『ハヤト!』
   その目にも涙が光る
ベンケイの声『これでまた三人いっしょだぜ!』


いい話ダナー
………
……最終的に百鬼帝国大爆発で全滅した後に「おーい(´∀`)ノシ(チャプチャプ」ってやってたあの落ちよりむしろ王道な感じがするんだけどさ、気のせいじゃねえよな
聞くな
国破れて山河在り、悪の帝国滅んで神隼人ありって毎回こえーよな、お前を拉致るとどこだって大体酷い事になるんだ
だから聞くな!俺に聞いてわかる話じゃないだろう!
わりぃ、麓のコンビニで買ったきなこチロルやるよ
いらん、が、返してやらん。黙って歩け
ええ~~~~

そういえばお前が、「ハヤト一人も救えなくて」と虚脱状態になってて、ベンケイにぶん殴られても復活しない案もあったらしいぞ
えっ
そこに「あなたのところに私も行くわ!」って後追い自殺する勢いで単騎出撃するミチルさんがいたんで慌てて復活するとか
なんだ俺らのその関係って
謎だな。

ざくざくと進む足音

あーでもさ、鬼になっても愛してもらえた鬼だっているって聞いたことがあるぜ、「鬼コ」って
ああ、子供の頃絵本で見たことがあるな。東北の―――愛称として「コ」を付けるんだ、その「鬼コ」みたいに。日々世話になる愛馬は「馬コ」だし、「三(サン)コ」は山火事から民を守って死んだ巨人の創作民話だったか。
ただただ育ちすぎた、という設定で巨人化した奴や、知恵と武力を持ちすぎて後代の英雄に倒されることになったようなああいう奴らは結構全国に語り継がれてるんじゃないかな、鬼扱いされた連中もそのたぐいか、あれもだいたい絵巻では大男として描かれていた。もてあまされたやつらの記号表現だったのかもしれない。

へえふーん、じゃあ、結局鬼になったのは俺らのどっちかな
人々に知恵を授け続けたお前と?あの山奥の道場で孤独をかこったまま、育ち過ぎだろうというぐらいの巨体になっていたお前と?
そのありようを見られた後は、その世界から消える他無かったのはどっちかな
男の嫁と子に見られたらそれきり消えたのかもしれない鬼コみたいに?国譲りの古い神みたいに?女に生涯を捧げるぐらいの恋をしたことがあったのに全部叶わなかったお前みたいに?ああ、混ざって来ちまった、いけねえ

彼等の会話は「自」と「他」はここまでの登山の体温上昇とともに既におおむね融けてしまっていたようであり、だから

どっちでもいいよ、両方そうだったんでかまわねえんじゃねえか、今となっちゃ
いいやだめだ、赤い鬼の首だけ取れて勝手にどこかにいってしまう世界線もあったのを思い出す
待てまてまて、なあ?なあって?あれは察してくれとしか言えねえ
そうか。だったら私も―――俺も勝手にしやがれとしか言わねえ、好きにしてそれでかまわねえよ、お前って奴は本当に
また地球に一定量降って来た時は会おうぜ。雪の時はゲッター線量が多いんだ
知るか、知るもんか、ああ、いいよ

ざくりざくり雪を踏み分け歩いた音が止む、そこまで続いた会話と二組の足跡は、心残りのあったらしい彼らの他愛もない会話は、そこで途絶えていた、ので、確かにレシートを発券した記録があるコンビニ店員や、雪の中唐突に消えている足跡を確認した地元の消防団員たちを困惑させた。
朱塗りの本殿の方には、社叢から白く吹雪く風があり、本殿には駄菓子が一つ供えられてあった。
恐らく彼らの消えたさき、消え去った彼等の語らいが漏れ聞こえる場所、そのひとつ。

鬼神社。



それは北の果ての村にあるという。

(了)