Adaps_A
2026-01-20 21:32:45
1897文字
Public 統一王者のはなし
 

「ザ・タイラント」が「光の戦士」を獲物にできないはなし


ヘリテージ・ファウンドの南部に、その怪物は現れる。
『それ』は視界に入った動くモノ全てを破壊し、暴れ回り、そうして何処かへと去っていくのだ。

……ってハナシがあってよ」

と、軽く手を振るのは、次の試合についての打ち合わせを終えた『ダンシング・グリーン』だ。
当然、彼もこちらの実力を疑っての発言ではない。
恐らく、不安に思った拾得人たちが、比較的戦闘のできる『エヘーヤ』に対して相談したのだろう。

「了解した。討伐人の方でも共有しておく」
「頼んます」

両手を合わせて軽く頭を下げたダンシング・グリーンは、手早く荷物をまとめて退出する。
こちらも退出しようと荷物をつかみ、そこでひとつ息をつく。

怪物。
そう聞いて頭を過ぎるのは、かの大蛇のことだった。
どのような戦術でも、あらゆる魂であっても、倒すことはできなかった。
あの日の床の苦さは今も喉の奥に張り付いていて、それと同じだけ、あの雷鳴のような挑戦者を思い出す。
障壁を越えてやってきた旅人。
どこから来てどこへ行くのか、誰一人として知らない根無し草。

もう一度だけ、息を吐き出す。
それから、討伐人の連絡網へ怪物の情報を投げ、『ザ・タイラント』は歩き出した。