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さん
2025-12-29 09:00:00
7322文字
Public
完成
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ジャガーのおうじさま
童話風味なファンタジーパロ|もう何でも許せる人向け|捏造しかない
デイぐだ♀webオンリー『Falling stars, Falling in Love』開催おめでとうございます!
こちらは展示作品となります。ほのぼの寄りです。
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――
などと捻くれ切ったことを考えていたのが四ヶ月前。
地表は雪で白く覆われ、仕立ての仕事を鬼気迫る勢いで処理していくリツカを見守って過ごした。針仕事に勤しむリツカの横で、手元ではなくそれを見据える横顔ばかり眺めていた気がする。仕事が持ち込まれるペースが落ち着いてきたのはこの頃で、気づけば雪はまだらに残るばかりとなっていた。
首輪に違和感を覚えなくなる程度の時が過ぎ、獣の振る舞いがすっかり板についてしまった。と言っても猫の真似事だが。リツカが猫呼ばわりをやめないのはそれを求めているためと判断した。この獣が何であるかは未だ不明で、生態にしても全くの無知だ。ヒトじみた挙動で気味悪がられるよりいい。愛情を一身に受けることにもすっかり馴染んだ。ヒトの身に戻った程度で手放してなるものか、と考えを改める程度には。
淡い夢では終わらせない。
見出した運命を手放そうなど全く己らしくもない。受けた親愛は情愛で返す。いかに己がリツカを想っているか、獣の姿であろうと表明する。とはいえこの口では愛を囁くなど不可能で、そもそも獣らしく在らねば気味悪がられるだろう。威圧感を与えぬよう甘えた声で鳴き、ごろりと腹を見せて寝そべり、リツカの頬に額を擦り付け、愛情表現に努めている。課題とすればヒトに戻った後のこと。なにせリツカを短期間で口説き落とさなくてはならない。どんな手を使おうとも、だ。末席とはいえこの国の王子であることは、最低でも想いを通わせられるまでは伏せておく必要もあるか。露見すればリツカは己を恋愛対象から除外するだろうから。
リツカ周辺の人間関係もある程度把握できている。幸いにして想いを寄せる相手も恋仲にある人間もいないようだ。とはいえ、一度この家へリツカに近い年頃の男が招かれた時には流石に警戒した。確か三ヶ月ほど前だったか。結局は単なる昔馴染みのようで、心底安堵したことを覚えている。むしろ男の口から己が捜索されている事実を知り、現状が王家としても想定外の事態であると把握できたことは良かった。厄介払いの可能性もなくはない、と愚考していた身としては。
「ごめん、猫ちゃん
……
ご飯の前に癒しが欲しくて
……
ちょっとナデナデさせて
……
」
仕事部屋からよろよろと姿を現したリツカに早足で歩み寄り、労いの意図も込めて脛に額を擦り付ける。
……
と、リツカの匂いに妙な臭気が混じっていた。これはどこかで嗅いだ覚えがある。記憶を手繰れば、思い当たったのはいつかの親子連れだ。時折けほけほと咳き込んでいた幼子から、同じにおいが漂っていた。
幸いまだ症状は出ていないようだが、これは仕事に戻さない方が良い。このままリビングに留め置く算段をしつつ、ラグの上に腰を下ろしたリツカの膝の上に頭を乗せた。膝の上を占領しておけば、立ち上がるのをしばしの間阻止できる。リツカの足が痺れるまでには組み立て終えるはずだ。
リツカが宣言どおり己の頭を撫で始めた。顎の下や首元を撫でる柔らかな手のひらの感触。リツカが楽しげに笑いながら頬を寄せてきた。甘えるように彼女の額へ己の額を擦り付け、鼻先と鼻先を
――
。
合わせようとしたはずが、触れ合ったのは口同士だった。
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